「"サーバ"と言われてもよくわからない」――ITに詳しくない人でも難なく管理できるよう設計された真のSOHO・中小企業向けサーバOS。それが「Windows Small Business Server 2011 Essentials」(以下、Windows SBS 2011 Essentials)である。

日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 プライベートクラウド製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの野中智史氏

では、同製品には具体的にどのような特徴があるのか。本誌は、日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 プライベートクラウド製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの野中智史氏に話を聞いたので、その内容を簡単にご紹介しよう。

そもそもWindows Small Business Serverとは?

Windows SBS 2011 Essentialsは、「Small Business Server (以下、SBS)」という名を冠しているが、他のSBSとはまったく違った製品になる。ここではその詳細を明らかにしていきたいのだが、その前に「そもそもSBSとは一体どのような製品なのか」について簡単に説明しておこう。

SBSは、その名のとおり、中小企業向けにカスタマイズされたサーバOSである。現在提供されている「2011」版で実に7バージョン目となる実績のある製品だ。

従来のSBSはOSのみならず、中堅・中小企業に必要なソフトウェアをひとまとめにパッケージングしている点が最大の特徴。そこには、メールおよびスケジュール管理サーバとして機能する「Microsoft Exchange Server」、社内ポータルや社外向けWebサイトの構築・管理機能を提供する「Microsoft SharePoint Server」などが含まれていた。

新たにSOHO・中小企業を考えて厳選した機能とは?

そんな"行き届いたSBS だが、野中氏によると、「国内のSOHO・中小企業の現場を考えると、まだ導入の障壁は高かった」という。

「総務担当者がシステム管理者を兼務しているような会社では、とにかくシンプルなインタフェースが求められる。これまでのSBSでは、オールインワンのソリューションとしてExchange ServerやSharePoint Serverなどを同梱してきたし、SBS専用の管理Toolも提供してきたが、それにより"できること"が増えた結果、かえってSOHO・中小企業のIT専任ではないシステム管理担当者を困らせることにもなっていた」(野中氏)

こうした国内の現状を加味した結果、誕生した製品が「Windows SBS 2011 Essentials」である。

Windows SBS 2011 Essentialsでは、SOHO・中小企業が本当に求める機能だけを洗い出し、余分なものを削ぎ落とし、Exchange ServerやSharePoint Server、SQL Serverなどはあらかじめ同梱していない。またWindows Home Serverで培ったわかりやすい管理ユーザーインターフェースを存分に活用している。

Windows Home Serverのユーザインターフェースをベースにしている点は大きなポイントだ。同OSは、PCのデータを自動的に複製したり、あるいは複数のPCでデータを共有したりする、家庭用ストレージでの採用を意図したものだが、実のところSOHO・中小企業においては、この製品をオフィスで利用するケースが多いのだという。

「Windows Home Serverは、家庭用のメディアサーバーの用途がほとんどですが、実際のところは業務用のファイル共有サーバやバックアップサーバとして利用しているSOHO・中小企業は少なくありません。導入も簡単ですし、機能もシンプルなので操作に迷うことがないというのがその理由のようです。であれば、"そのWindows Home Serverの管理ユーザーインターフェースをベースに、SOHO・中小企業が本当に求める機能を組み込んだらよいのでは? " というのが、Windows SBS 2011 Essentialsの発想です」(野中氏)

追加対象の機能として洗い出されたのが、「ID管理(Active Directory)」、「ファイル共有とアクセス設定」、「バックアップとリストア」、「社外からのデータアクセス」の4つである。Windows Home Serverも元々はWindows Serverをベースに開発された製品。Windows Serverで当たり前のように使われているこれらの機能を組み込むのは、それほどイレギュラーな話ではなかったようだ。

こうして、従来のWindows SBSとは根本から違う製品として、Windows SBS 2011 Essentialsが開発されるに至ったのだという。

Windows SBS 2011 Essentialsの位置づけ。これまでの製品からは大きく機能を絞っている。