2011年6月のTop500で1位を取った「京」スパコンについては、SPARC64 VIIIfxプロセサやTofuインタコネクトについては情報が出てきているが、まだ、システムの全貌や、ソフトウェアがどのようになっているのかについては殆ど情報が無かった。

しかし、8月25日に開催されたScientific System研究会(SS研)における富士通の発表で、全体構成やソフトウェアなどについて新しい情報が公表された。SS研は富士通のHPCユーザ法人の集まりであるが、今回のHPC Forumなどは会員以外でも参加が可能であり、NECや日立製作所などのライバルメーカーの技術者も情報収集に参加している。ということで、筆者も参加させてもらった。

今回の研究会のテーマは「ペタスケールHPC技術が支える地球科学」で、津波や地震のシミュレーションなどに関する4件の講演が行われ、最後に富士通の追永氏が「次世代スパコン『京』について」と題する講演を行った。なお、この講演の資料はSS研のWebページからダウンロードすることができる。

「京」スパコンの概要(SS研での発表資料から転載)

「京」スパコンであるが、プロセサは富士通が開発したSPARC64 VIIIfxという8コアプロセサで、それに6次元メッシュ/トーラス構造のインタコネクトを作るICCという、これも富士通の開発のLSIを組み合わせたものが1つの計算ノードとなっている。そして、システムボードには4つの計算ノードが搭載され、プロセサやICCは水冷されている。

このシステムボード24枚とIOボードが1つのラックに収容されている。ラックに約100ノードとぼかした表現になっているが、ラックの写真や、後のTofuインタコネクトの説明を見るとIOノードは6ノードであり、ラックあたりの総ノード数は102である。この数はTop500で1位になったシステムの総プロセサコア数と別途公表されたラック数の関係とも一致している。

そして、800ラック以上で全体システムを構成し、目標の10PFlopsを実現するというシステムである。

「京」システムの構成

今回、明らかになった京システムの構成は、計算ノード群がTofuインタコネクトで接続され、さらにIOノードもTofuインタコネクトで接続されている。そして、IOノードから高性能クラスタネットワークが出ており、これにファイルサーバが接続され、ファイルサーバにグローバルディスクが付くという構造になっている。

そして、高性能クラスタネットワークにはフロントエンドサーバやポータルサーバというスパコンユーザをサポートするサーバ群と、制御サーバ、管理サーバ、保守サーバというシステムの運用や保守をするためのサーバ群が接続されている。これらのサーバには富士通の標準品が使われると思われるので、高性能クラスタネットワークも標準のInfiniBandや1G/10G Ethernetなどが使われていると考えられる。