教育効果の検証を目指し、モデル審査でも新たな取り組みを
モデルの審査についても、現状の問題点をピックアップし、2010年大会は新たな取り組みを始めると言う。まず「モデル主導開発への誘導」。モデルに書かれた内容と、実際の走行内容やソースコードとの一致度を確認する。次に「追加課題によるマンネリ化の打破」。モデリングする上での注力ポイントを毎年変更される追加課題として提示する。そして「スキル向上度合いの検証」。ロボコン参加の前後でどの程度スキルアップできたかを「ETSS(組込みスキル標準)」に則って判断し、次年以降の運営に活かす。
その他、開催地区拡大、参加者増大による大量審査に耐えうる、より効率的な審査方法や、評価基準のより詳細な具体化などを審査委員会では検討していると言う。
冒頭で触れたように今回の記者発表会は2部構成となっており、第2部では「教育ロボコン」として、ETロボコンの教育的メリットに関してさらに踏み込んだ紹介が行われた。再び登場した小林氏は「教育内容、地区展開の必要性」を説明。「教育をテーマにした連携」と「各地区の特徴紹介」ということで、各地区からのビデオレターも紹介された。
また、実行委員会本部顧問、東海大学専門職大学院 組込み技術研究科長の大原茂之氏からは「ETロボコンの教育の観点での有効性について」の説明があり、参加企業の事例紹介として、2009年のチャンピオンシップ大会でNXT、RCX両部門で入賞を果たした富士通コンピュータテクノロジーズの代表取締役・菊池伸行氏より「ETロボコンへの取り組み」と題した発表も行われた。
そして最後に、ETロボコン実行委員会 実行委員長の星光行氏より「教育効果の見える化の推進と2010年への思い」と題した挨拶があり、ETロボコンの"やる気スイッチ"効果により「日本の組み込み技術者教育に貢献したい」という言葉で記者発表会は終了となった。
ETロボコン2010参加チーム募集は2010年3月8日(月)から開始されており、4月6日(火)17:00締切で公式Webサイトにてエントリーを受け付けている。あわせて、ボランティアの実行委員会やスポンサーも募集中だ。こちらには特に期限は設けられていない。
また、ETロボコンの新ロゴマークも一般公募される。これまでのロゴはRCX走行体をモチーフとしていたが、NXT走行体の全面採用に伴いロゴも一新することにしたそうだ。4月10日(木)から5月10日(金)まで募集を行い、プロ・アマなどを問わず誰でも応募が可能とのこと。こちらの募集要項も公式サイトに掲載されている。
なお、地区オリジナルイベントも予定されており、3月27日には名古屋市西生涯学習センターで「ETロボコン・フォーラム 東海・関西参加者の集い」が開催されている。
ともあれ、走行体とコースのオフロード(?)ライクな仕様変更により、観戦者にとっても今年のETロボコンはますます面白いものになりそうだ。
個人的には、どの難所でどれだけのボーナスタイムを得てリザルトタイムがどうなったのか、競技結果をより分かりやすく提示していただき、特に表彰式では2回合計の最終的なリザルトタイム、モデルが評価されたポイントなど、入賞と順位の根拠を観戦者にも"見える化"していただければ……などと思いつつ、今年も熱き組込みバトルに期待したい。