ETロボコン2010ではコースと走行体の仕様が変更に
2009年のチャンピオンシップ大会の結果を紹介したところで、「ETロボコン2010開催・記者発表会」での発表内容に戻ろう。
ETロボコン2010の今後のスケジュールは、まず3月中旬までの各地区での実施説明会を経て、4月上旬に2010年版の競技規約や審査基準を公開。5~6月に技術教育、7~8月には本番同様のコースを用いた試走会を展開する予定。そして、9~10月に地区大会、12月1(水)~2日(木)には今回もパシフィコ横浜でチャンピオンシップ大会を開催、という流れになるそうだ。
競技内容は基本的に2009年のものを継続するが、走行体の仕様やコース形状は一部変更となる。前述の通りRCX走行体は2009年で引退し、2010年からはNXT走行体のみで競うことになるが、2009年のチャンピオンシップ大会では初採用にも関わらず完走率が高く、難所を見事にクリアして好成績を収めるチームが多かった。NXTにはモータの回転数の値が取れるロータリエンコーダ機能があるため、左右の車輪の回転距離の差から走行体のコース上の位置を割り出すことができ、ライントレースをしなくても事前にコースをプログラミングすることでうまく動かせてしまう。そこで、今年はこのロータリエンコーダを狂わせることを至上命題とし、コース上の難所を大幅に見直すと言う。段差や階段、シーソー、坂道の勾配拡大、さらに超音波センサで検知する動的な障害物の導入などの案が検討されているそうだ。
新たな難所の導入に伴い、走行体もタイヤの幅を外側に広げて「ワイドトレッド」化が図られる。これにより横方向の安定性が高まり、悪路走破性能も大幅に向上。傾斜角最大15°程度の坂道の走行、1~3cm程度の段差の昇下降も可能となるそうだ。段差や坂道にライン認識用の光センサが接触する可能性を低減するため、2009年版の地上高は維持しつつ、取り付け位置は走行体の中心に近づけた。また、前述した通り、動的障害物の導入に合わせて超音波センサの使用も解禁すると言う。走行体の最終的な仕様は現在策定中だが、発表会では暫定版の走行デモが披露された。
|
|
|
なお2010年版走行体も、2009年版の走行体キットと共通のパーツで構成し、昨年NXTで出場したチームは組み換えのみで対応できるようにするそうだ。ちなみに製作用キットは今回も運営委員長の小林氏が代表取締役を勤めるアフレルから参加チームを対象に特別販売される。
開発/実行環境としては、2009年同様「TOPPERS ATK1」ベースの国産オープンソースC/C++開発環境「nxtOSEK」がETロボコン技術委員会から無償提供されるが、その他の開発環境についても参加者が競技ルールに従って申請すれば使用可能とすると言う。TOPPERSプロジェクトのオープンソースRTOS「TOPPERS/JSP for LEGO MINDSTORMS NXT」についても動作確認済みで、使用公認とする方向でTOPPERSプロジェクトと調整中とのこと。