すでにお伝えしたとおり、NASAがアポロ計画以来、久々に月に向けて打ち上げた無人探査機は「LRO」「LCROSS」ともに予定通り月の軌道に入った。7月2日(米国時間)、さっそくLROが最初の月面イメージを地球に届けてくれたので、今回はその画像を紹介したい。

LRO搭載のカメラLROC(Lunar Reconnaissance Orbiter Camera)が撮影した「雲の海(Mare Nubium )」付近のモノクロ画像。画像の下側が月の北にあたる。2点間の距離はおよそ14km内。LROCは2台の狭角カメラ(高解像度モノクロ画像撮影用)と、1台の広角カメラ(カラーおよび紫外線撮影用)で構成されており、この画像を撮影したモノクロ撮影機は1m単位まで撮影可能

それぞれの写真の横幅は距離にして約1,400m、この画像で判別できるスポンジ状のいちばん小さなクレーターの大きさがだいたい3mくらいだという。NASAによれば1972年にアポロ16号が着地した地点のほど近くだとか。

古いクレーターは断面がまるくてやわらかく、逆に若いクレーターは尖った形になるという。モノクロ写真がその違いをいっそう際立てているが、実はこれらの写真、月の昼と夜の境界線 - 明暗境界線(ターミネータ)に沿って撮られているため、その地形の特徴がよりいっそう際立って見える。

すぐ手に届くところまで近づいて眺める月の姿はあまりにリアルで、人類が地上で思いをはせながら描いてきた神秘的、幻想的なイメージはそこにはない。空想をはるかに上回る本物の迫力に、ただただ圧倒される。

LROは今後、すべてのアポロ探査機の着地地点を撮影する予定だ。もちろんカラー撮影画像もまもなく見せてくれるだろう。LROとLCROSSが解き明かしてくれる月の新しいリアルな姿を楽しみに待ちたい。