ヴイエムウェア、仮想化プラットフォームの新版「VMware vSphere 4」発表

ヴイエムウェア代表取締役社長三木泰雄氏

ヴイエムウェアは4月22日、同社が提供する仮想化プラットフォームの新版「VMware vSphere 4」(以下、vSphere 4)を発表した。vSphere 4は、「VMware Infrastructure 3」の後継製品。バージョンアップに伴い、製品名が刷新された。

vSphere 4で強調されているのが「効率性」「管理性」「選択肢」の3テーマ。これらのうち、効率性と管理性では、機能追加/強化が多数行われており、アプリケーション/インフラオーナーの負担軽減を後押ししている。

vSphere 4では、「効率性」「管理性」「柔軟な選択肢」という3つのテーマが強調された

効率性

効率性では、まず「VMware vStorage Thin Provisioning」という機能を新たに搭載。これは、仮想マシンが必要な場合にのみストレージを消費する機能で、最大50%のストレージ容量削減を実現している。

また、「VMware VMotion」を使って仮想マシンの実行場所を適宜移し、可能な限り少ない物理サーバでシステムを稼働できるように最適化する機能も組み込まれた。不要な物理サーバの電源が自動で切断されるため、最大20%の追加電力/冷却エネルギー削減になるという。

加えて、vSpehre 4では統合率も約30%向上しており、アプリケーションあたりのインフラコスト削減に寄与している。

さらに、パフォーマンスや拡張性の強化も随所で実施。従来のVMware Infrastructure 3に比べ、最大サポート範囲を次のように向上させている。

仮想マシンあたりの仮想プロセッサ数が4から8に
仮想マシンあたりの仮想NICが2.5倍に
仮想マシンあたりのメモリが64GBから255GBに
ネットワークスループットが9Gb/sから30Gb/sに
1秒あたりに記録されるI/Oオペレーションの数が100,000から300,000以上に
1秒あたりに記録される新しい最大トランザクション数が8,900に

また、単一の論理リソースプールとして扱えるリソースの上限も向上させており、最大で、32台/2048コアの物理サーバ、32TBのRAM、16PBのストレージ、8000のネットワークポート、1280台の仮想マシンをサポートできるようになった。

効率性向上に寄与する新機能群。シンプロビジョニング、省電力機能などが追加されている

管理性

管理性という点では、ネットワークスイッチを論理的に統合する「VMware vNetwork Distributed Switch」機能を追加。さらに、「VMware Fault Tolerance」という新機能により、ハードウェアに障害が起きた際に仮想マシンを自動的にセカンダリへ移行させ、ダウンタイムほぼゼロで処理を継続できるという。

そのほか、異種ストレージ間で仮想マシンのディスクファイルのライブマイグレーションを行える「VMware Storage Motion」や、論理ネットワークを再構成した際にも各仮想マシンのセキュリティポリシーを自動的に引き継ぐことができる「VMware vShield Zones」といった機能も追加されており、同社では「100台の仮想化ホスト環境でシステム管理者の労働時間を約25週間短縮することが可能」と説明している。


VMware Fault Toleranceのデモ。VMware vNetwork Distributed Switch搭載のスイッチを使用した環境で一方のサーバを落とし、アプリケーションがどうなるかを確認する	デモで使われたアプリケーション。動画やゲームを実行している

ゲーム/動画を実行中のサーバの電源を落としても……	処理がセカンダリサーバに瞬時に引き継がれ、ゲーム/動画はほとんど止まることがなかった

vSphere 4の画面。VMware vNetwork Distributed Switchを使用したデモ環境の構成	vSphere 4の画面。デモ環境のSotrage View。右側のチェックを入れたり外したりすることで表示を変えられる

vSphere 4の画面。デモ環境でサーバを落とす前の概要表示画面	サーバを落とした後の概要表示画面。プライマリサーバが落ちると、セカンダリサーバが自動的にプライマリサーバに昇格する