メーンボードへの影響は限定的

中国の株式市場は一年半ほど前から大きく変動しはじめている。上海A株指数(上証指数)は、2006年10月の1,800ポイントから2007年10月に6,100ポイントとなるまで、一年間に四倍近くも急騰したが、今年4月初めには3,400ポイント台にまで反落した。

A株指数が下落し、低迷状態にある今の時期に創業板が開設されると、一部の投資が創業板へと流出し、A株市場における株価がさらに流動的になるのではないかとの懸念が、一般投資家からも聞こえている。

これに対して、証監会の姚氏は否定的な見方を示している。同氏は、「創業板に上場する企業の資金獲得額は1社あたり1~2億元(15億円~30億円)で、100社が同時に上場するとしても、資金獲得額の総額はせいぜい100~200億元(1,500億円~4,500億円)となる。これは上交所に上場する大手企業1社の資金獲得額に相当する程度でしかない。このため、創業板が株式市場全体に与える影響は非常に限られるものになるだろう。仮に影響があるとしても、心理的なものにすぎない」と力説している。

今のところ、姚氏の見方は証券業界などで幅広く受け入れられており、創業板がメーンボードにマイナスの影響を与えることはない、との見方が大勢を占めている。

開設時期は未定、海外の例から悲観論も

こうなってくると、あとはいつ開設されるかということだが、姚氏は、「パブリックコメントの募集は終わったとはいえ、管理弁法案自身の改訂のほかに、推薦制度や発行審査制度、取引規則などの策定もしくは改訂を行わなければならないため、早期開設は難しい」としている。このため、具体的な開設時期は今もって分からない。

ベンチャーボードや新興企業向け市場といえば、米国のNASDAQ、英国のAIM以外では成功事例が少ない。この事実を踏まえ、中国国内には創業板は必ずしも成功しないのではないかという悲観的な見方がある。

これに対し、姚氏は、海外のベンチャー・ボードが不振である原因として、「良質の上場予備軍となる企業が少ないこと、上場条件が甘すぎること、規律違反に対する監督と処罰が甘いこと、特定産業への偏りがあることなどがうまくいかない原因」と指摘。そのうえで、「中国はこれらの教訓を生かし、有効な対策を講じ、創業板を必ず成功に導く」と話しており、楽観的な見方を示している。