上場条件を巡って調整続く
管理弁法案発表5日後の3月26日、証監会は金融専門家、証券業者、投資家、実業家などを集め、「創業板に関して専門家の意見を募る座談会」を開催した。「創業板がメーンボードの上場企業に対して一定の参入制限を設けることは、わが国の資本市場の実情に合致している」というのが、出席者共通の見解だったという。だが参入制限、すなわち上場条件となる会社の存続期間、純利益額、純資産額、収益能力など具体指標の設定に関しては、意見が分かれたものとみられる。
投資ファンドの戈壁投資パートナーの徐晨氏は、「管理弁法案が示した上場条件を満たす企業は、少なくとも全国に1万社以上はある。そのため、実際に同法が実施される際の上場条件は、いまの条件より高くなってくるはず」と、上場条件の引き上げを予測している。
また、中国の司法管轄官庁である司法部直轄の大学である中国政法大学教授の劉紀鵬氏は、「上場条件のレベルが高く設定されるのも、低く設定されるのも望ましくない。上場条件は国際的な経験を吸収しながらも、わが国の実情に合わせて設定すべきだ。むしろ高いレベルから漸次引き下げていくのが理想的」と主張している。
さらに、中信(CITIC)集団傘下の証券会社である中信証券研究部の徐剛氏は、「上場条件のハードルを下げ、より多くの新興企業を参入させるべきだ」と、条件引き下げを求めている。これらの多様な意見をみれば、これらの意見に従って今後上場条件が調整されていく可能性はかなり高いと考えられよう。
100社? 20社? 上場第一陣の企業数に注目集まる
こうした中で、新興企業と、新興企業を数多く抱える国家ハイテク産業開発パークである高新区や高科園区などが、管理弁法案にある上場条件に照らしながら、早くも上場へと動き出した。最も動きが速かったのが四川省の成都高新区で、パーク内の13社が既に証監会に対し、創業板への上場申請書を提出したとされるが、管理弁法案がまだ正式に制定されているわけではないないため、具体的な進捗はいまだにない模様だ。
また、上海の国家ハイテク産業開発パークである上海張江高科園区 管理委員会 副主任の劉小龍氏は、「われわれのパークに入居している5,000社以上の企業のうち、創業板の上場条件に満たしている企業は数百社もあり、今後毎年50社以上のペースで増えてくるはず」と胸を張る。さらに、北京の国家ハイテク産業開発パークである北京中関村科技園区 管理委員会の責任者は、「創業板への上場を狙い、準備を続けてきた。2007年に純収益が2,000万元(約3億円)に達した企業が100社はある。これらの企業は創業板上場に挑む可能性が高い」とこれまた強気だ。
浙江省で証券業界を管轄する浙江省証券監督局によると、今年、創業板上場計画を策定した企業が、同省だけで108社ある。深センの証券取引所である深セン証券交易所(以下、「深交所」と略)総経理の張育軍氏も、「創業板上場に向けて準備を進めている企業は1,100社を超える。特に新興企業とハイテクパークなどが創業板に対して積極的。すでに大きな上場企業予備軍を形成し、しかも膨れ上がっている」としている。
創業板に第一陣として上場できる企業数については、いくつかの予測がある。深交所のある責任者は、100社以内に限定されるだろうとの見方を示している。また、20社前後と見る業界筋もいる。この他、北京中関村科技園区にある企業から選抜するとする説、中小ボードの上場審査などを受けた企業から選抜するとする説などがある。
いずれにせよ、上場予備企業軍の数の多さに対し、第一陣の企業数はそれほど多くないことが予想されている。このため、創業板への上場、特にその第一陣に入れるかどうかを争う競争が熾烈なものになることは間違いないだろう。