Great Place to Work Institute Japan Forum 2008

「働きがいのある会社~ベストカンパニー」をテーマにした「Great Place to Work Institute Japan Forum 2008」が開かれ、日本で働きがいのある会社に選ばれた企業などが講演を行った。

働きがいのある会社は、Great Place to Work Institute Japanが、リスティングされた94社の企業を対象に分析を行い、25社を選定したもの。2回目となる今回の調査で、第2位となったのが、ソニーマーケティング。これを受けて、ソニーマーケティングの田中晴規取締役執行役員専務および佐々木裕執行役員が、「Costomer Delightへのチャレンジ」をテーマに、同社の取り組みについて紹介した。

Great Place to Work Institute Japanでは、今回のソニーマーケティングの受賞について、「ソニーグループの充実したインフラを活用して、企業理念や各制度がしっかりしたコンセプトの上に構築されている。アワードシステムなどは、さらに自社独自のものを加えてバラエティのあるものになっている。また従業員の触発の仕方やダイバーシティの推進など、ソニーグループの理念と関連づけて施策が講じられている点も特徴的である。人材育成は特に優れている。ブランド力の高さも従業員の働きがいに大きな影響を与えている」と、第2位となった理由をあげた。

ソニーマーケティング 取締役執行役員専務 田中晴規氏

ソニーマーケティング 取締役執行役員専務 田中晴規氏は、「ソニーマーケティングにおける働きがいとは、ブランドへの誇り、グローバルな価値観、社内コミュニケーション、そしてチャンスを与える風土にある。とくに、チャンスを与える風土が長年に渡って培われている点では、働きがいに直結している。たとえ、失敗という結果になっても、チャレンジした姿勢やプロセスを高く評価することがソニーの特徴だといえる。職位や部署に関係なく、若い人が、新しいことにチャレンジできるような環境をトップが作り続けきたことがベースある」とした。

ソニーマーケティングの"働きがい"を支える4つの要素

社員のアイデアが事業化するまでのステップ - チャレンジの姿勢が重要

ソニーマーケティングでは、キャリア実現のコミュニケーションツールとして、「Challenge!システム」「HRダイレクト」に取り組んでいることを紹介。「Challenge!システムは、社員と上司のコミュニケーションとして、年間目標設定や業績評価のほか、今後の個人のキャリアについての話し合いを、年1回行っている。これまでは、キャリアについては、面談して書面に記入するということへの実行率が20 - 30%程度だったが、昨年はこの部分を徹底し、実行率を100%とした」(ソニーマーケティング 執行役員 佐々木裕氏)という。

HRダイレクト

ソニーマーケティング 執行役員 佐々木裕氏

ソニーマーケティングでは、社員が入社してから10年目に至るまでのモデルキャリアパスを用意。「これをベースに、個人のチャレンジと、会社の方針を摺り合わせていく。また、ソニーには40年前から社内募集制度を設けており、キャリア領域を限定せず、さまざまな可能性を追求できる仕組みがある。これも、自身のキャリアに生かしていける」とした。

また、HRダイレクトは全社員から人事部門に直接意見ができたり、相談ができるツールで、「組織マネジメントや、上司への180度評価、会社への提言などが行えるようになっている。要望は記名式となっているが、年間200 - 300件の提言がある。結果は人事部門から上司にフィードバックされ、フィードバック研修も行っている。2004年から実施しており、全58問の質問と自由記述が可能で、なかには、厳しい評価となる課長や係長もいる。ギャップを埋めるために、コーチングに関するノウハウを持った外部会社を活用することもある」(佐々木氏)という。

そして、ソニーマーケティングにおける課題として、「社員のチャレンジと、会社の求める方向性とが、一致しないことがある。個人としても、会社としても、いい方向にいくこと目指す必要がある。また、ソニーは、女性の登用にも先進的とはいわれるが、コンシューマ系の支店/営業所では、女性のマネジメントがおらず、実力ある女性をどう活用していくかが課題になっている」などとした。

マーケティング人材におけるキャリアパスの例

佐々木氏は、「人事制度では、とくに新しいことをやっているわけではない。特徴をあげるとすれば、当たり前のことを、愚直に馬鹿正直に運用していることに尽きる。それに社員が応えてくれている。今回、2位を獲得したことで、改めて社員に働きがいについて聞いてみたところ、反応してくれる社員が多いことを感じた。人が財産である。制度は修正すべきところを修正して取り組んでいきたい」とした。