米AppleがiPod/iPhone向けのプレミアムサービスとして楽曲ライブラリへの無制限アクセスを提供するため、レコード会社大手らとの話し合いを行っていると、英経済紙のFinancial Times(オンライン版)が19日付の記事で関係者の話として報じている。同紙によれば、これは「All You Can Eat(食べ放題)」という同社にとって新しいタイプのビジネスモデルで、昨年12月にNokiaがUniversal Musicと共同で発表した「Comes With Music」に酷似しているという。iPod/iPhone購入に際して一定金額のプレミアム料金を支払うことで、その端末に限りApple側で用意した音楽ライブラリに無制限でアクセス可能になるというもの。

一定金額を毎月支払うことで用意された音楽ライブラリへの無制限アクセスが可能になるサブスクリプションサービスは、NapsterやYahoo!など、多くの事業者で採用されている。一方で楽曲ごとの販売モデルを中心に据えているAppleでは、この種のサービスを採用するのは初となる。FT紙によれば、次世代iPod/iPhoneでのプレミアムサービスの一環として計画されているようだ。MacなどのPCデバイスではなく、あくまで特定の端末のみを対象とした点に特徴がある。

交渉のポイントとなっているのは、Appleがレコード会社に支払う金額とその課金方法である。たとえばNokiaの例では、無限アクセスの年間サブスクリプションとして40ポンド(約80ドル)が携帯端末1台あたりのコストとして上乗せされる。一方でAppleはレコード会社への条件として、いまのところ20ドルを提示しているという。またユーザーへの課金方法も年間サブスクリプションの一部として携帯音楽プレイヤーの価格に上乗せするのか、あるいは月額サブスクリプションとして毎月請求を行うのか、幾分かの検討余地があるようだ。今回FT紙に情報を提供したある幹部によれば、ユーザーが音楽ライブラリへの無限アクセスサービスに支払う料金の上限として、1端末あたりの生涯無限アクセスの場合は最大100ドル、月額サブスクリプションとしては7 - 8ドルという調査結果が出ているという。