コロナ禍で人と会うことが難しくなっているなか、オンラインサロンの人気が高まっています。オンラインサロンとは、会員制コミュニティのこと。月額制の有料となっているサロンが多いですね。月額で数百円から数千円、1万円以上と幅があります。

有名人が開くサロンでビジネスの話を聞いたり、運動やメイク、料理について専門家から学んだり、同じ趣味を持つ人たちで交流したり。会費を払う意欲がある人たちで集まっているため、有意義なコミュニティになりやすいと言われています。

  • 有益で楽しいオンラインサロンがある反面、詐欺まがいのトラブルが急増しています

オンラインサロンは、専用プラットフォームやSNSを使って運営されます。専用プラットフォームはサロンの運営システムを一括して得られますが、開設するには審査を受けなければなりません。なので、Facebookのグループ、LINE、Discordといった閉じた空間が利用できるSNSを利用して、オンラインサロンを開いている人達もいます。オンラインサロンでは、テキストでの交流、主宰者によるライブ配信、オフラインイベントなどが行われます。

多くのオンラインサロンでは、そこでのやり取りや内容を口外禁止としているケースも多く、どんな人が入会し、どのようなコミュニケーションがされているのか、入会してみなければ分かりません。そこで、「入ってみたら交流頻度が低かった」「雰囲気になじめなかった」などの理由で退会するケースもあるそうです。

それだけなら勉強代と割り切ることもできますが、深刻なトラブルも起きています。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2021年5月に公表した「オンラインサロンの動向整理」によると、「商品の購入や投資、出資等を求められた」「新たな参加者の勧誘を求められた」など、若い世代ほど比較的トラブルに遭遇しやすい傾向としています。

急増するオンラインサロンでのトラブル

オンラインサロンに関しては、国民生活センターも注意を呼びかけています。オンラインサロンに関するトラブル相談は2020年度で約200件。2019年度の3倍です。2021年7月発表の報告書では、オンラインサロンに関する相談事例が公開されています。

ある相談者は、SNSでDM(ダイレクトメッセージ)が届き、「ビジネススキルを情報商材で提供するのでオンラインサロンで勉強できる」などと勧められ、約30万円でオンラインサロンに入会したとのこと。実際には「オンラインサロンの人が○万円稼げました」などと偽りの発信を指示され、しかも稼げる内容ではなかったので、解約したいと訴えています。

また、オンラインサロンを人に紹介すると紹介料がもらえるサロンに入会し、会費25万円を支払ったケースや、オンラインサロンで高額なセミナーの勧誘を受けたケース、解約したいが事業者の住所や連絡先が分からないケースも。

オンラインサロン契約のきっかけは、SNSに届く知らない人からのDMだけでなく、実際の友人や知人からの誘い、SNSで出会った人からの誘いなどが多いそうです。

きちんと運営されているオンラインサロンであれば紹介を受けてもいいのですが、上記のような危ういオンラインサロンもあるため、しっかりと見定める必要があります。知人が自分を怪しいオンラインサロンに誘うわけがないと思ったとしても、主宰者に感銘を受けたあまりに冷静な判断ができていないこともありえます。たやすく儲けられる話をしてくる、紹介を強制される、主宰者の連絡先が明記された契約書がない場合は、はっきりと断るようにします。

音声SNS「Clubhouse」がブームとなったとき、怪しいオンラインサロンへの勧誘が行われていたと聞きました。音声での交流はネット越しでも人となりを感じやすいため、相手を信じたくなります。また、一緒に参加している人達の様子で「この人は人気者なんだ」と感じると、妄信しやすくなります。SNSで勧誘された場合、念のためスクリーンショットや音声データを残しておくと安心です。

金銭トラブルへと発展してしまった場合、または不安を感じる場合は、消費者ホットライン「188(いやや!)」番に相談してみましょう。契約の取り消しやクーリングオフができるかもしれません。

同じ趣味や目的を持つ人とオンラインで交流することで、自分を高めたり、楽しい時間を過ごせたりとオンラインサロンには良い面もたくさんあります。しかし、悪い人はどこにでもいます。金銭の支払いが生じる契約は、事前に周囲の人に相談するようにしましょう。