- 1:Google翻訳の「ライブ翻訳」は、生成AIモデル「Gemini」を活用し、話し方のニュアンスも含めたリアルタイム音声翻訳ができる
- 2:W杯にちなみ英語・フランス語・スペイン語の動画で試したところ、細かな誤訳や遅延はあるものの、内容の大筋を理解できた
- 3:海外チームの配信や現地の観光情報など、これまで言語の壁で触れづらかったコンテンツにアクセスしやすくなりそう
諸説あるが、母国語でない言語を習得するのには、概ね1,000~3,000時間の学習が必要だとされる。もちろん、自ら外国語を学ぶこともやぶさかではないが、それが複数言語となれば話は別だ。英語だけでなく、スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語……のように各人の興味のある言語をピックアップして全て学ぶことは、筆者を含め、多くの方にとって困難であろう。
例えば、2026年6月に開催予定のFIFAワールドカップは、アメリカ、カナダ、メキシコの北米3カ国による共同開催だ。アメリカ英語のリスニングは何とかキーワードを拾えるレベルの方は相当数いるとしても、カナダのフランス語コンテンツや、メキシコのスペイン語コンテンツまで流暢に理解できる方は、おそらくかなり希少だろう。
もし各国チームによる配信をチェックしたかったり、観光の前準備としての情報収集や、文化背景を動画で知りたいという意欲があっても、それを実現するのは相当骨が折れる。もちろん、最近はYouTubeにオートダビング版のコンテンツも増えているが、どうやら英語→日本語の変換はあっても、他の言語は日本語に変換されていないようだ。
そこでチェックしておきたいのが、かの有名な「Google翻訳」が「ライブ翻訳」なる機能をリリースしたという話題である。AIを使ったリアルタイム翻訳機能自体はもはや珍しくはないが、最新イヤホンなどのハードウェアに依存していたり、慣れないツールを通したりする必要があったり――とハードルが高く感じる部分もあった。
しかし、ここにきて多くの人が知る「Google翻訳」アプリをスマートフォンで起動し、手持ちのワイヤレスイヤホンを装着するだけで、リアルタイム翻訳が使えるようになったという。しかもAndroidだけでなく、iPhoneも含めて、である。AIによる同時通訳の裾野は一気に広がったのかもしれない。
そんなわけで早速、左耳にワイヤレスイヤホンを装着し、YouTubeを開き、アメリカ英語、フランス語(カナダ)、スペイン語(メキシコ)の3言語でそれぞれ動画コンテンツを視聴してみた――という話をしたい。
Google翻訳の「ライブ翻訳」をおさらい。“表記ゆれ”に注意
まず、Google翻訳におけるライブ翻訳機能の概要をおさらいしておこう。同機能は、2025年12月にベータ版機能としてリリースされた。
仕組みとしては、同社の生成AIモデルである「Gemini(ジェミニ)」が活用されており、なんと抑揚や話すペースなど、ニュアンスを反映したうえで音声翻訳が実行されるという。すごい時代になったものだ。
そして2026年3月、同機能は日本のAndroidおよびiOS版のGoogle翻訳アプリでも提供開始を迎えた。対応言語は70以上で、日本語も含まれている。
同機能を利用するには、スマートフォンで「Google翻訳」アプリをインストールし、イヤホンを装着した状態で、アプリ内のボタン操作を進めれば良い。筆者が今回試したiOS版アプリでは「リアルタイム翻訳」というボタンが、画面左下に表示されていた。
同ボタンをタップすると「ライブ翻訳モード」という画面が表示される。最上部にある「リスニング」モードを選択した状態が、上述してきた「ライブ翻訳」機能を使える状態だ。あとは画面右したに表示される「開始」をタップすれば、同機能が実行される。
ちなみに、これらの機能名表示が微妙にばらけている状態には少々混乱した……。アプリのボタンでは「リアルタイム翻訳」、選択画面では「ライブ翻訳モード」、Google Japan Blogで公開されている記事では機能名表示が「ライブ翻訳」となっているからだ。ひとまず、本稿での表記は、公式ブログに記載のある「ライブ翻訳」を採用しておく。
同時通訳のように聞けて実用的! 動画を楽しむ用途なら十分
まずは小手調べに、「Google I/O」のキーノートの動画配信を冒頭のみ視聴してみた。Googleの開発者向けカンファレンスであり、同社の新機能などについて発表されるイベントでもある。筆者としても馴染みのあるジャンルであり、日本語の字幕もあるので、答え合わせもしやすいだろうという思惑だ。
使用感としては、冒頭の挨拶や一部の専門用語などで違和感のある表現が若干あったものの、情報の7~8割前後は正しく頭に入ってくるという感覚だった。筆者は職業柄、プロの同時通訳者の方による同時通訳も何度も利用したことがあるが、話者の話に少し遅れて、日本語の翻訳内容が音声で流れてくる感覚は、かなり体験として近いと思う。正直、この精度の翻訳がスマートフォンのアプリでできてしまうのかと驚いた。
これは便利だなと感動しつつ、続いてカナダのフランス語で料理や調理器具を解説しているコンテンツを視聴してみる。一応、大学時代の第二外国語としてフランス語を学んだ経験はあるものの、もはや大昔の話であり、恥ずかしながら何も身についていない。
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今回は、MacBook ProのスピーカーでYouTubeの動画を再生し、手持ちのワイヤレスイヤホンである「JBL Tour Pro 2」を左耳に装着した状態で、各国言語で配信されている動画を視聴した(上記画像の画面にはぼかしをかけている)。なお、翻訳にはiOS版の「Google翻訳」アプリを使用した
このフランス語に関しては、英語の動画を視聴したとき以上に恩恵を感じた。動画内でインタビューに答えながら料理をしている話者(シェフ)の、伝えたい内容が概ね理解できたからだ。話している内容がシンプルだったということもあるだろうが、テレビで流れる吹替の番組を見ているくらいに、自然に楽しめた。細部の正確性について判断はできないものの、コンテンツとして楽しむ目的ならば十分だと思う。
何より、オートダビング版のコンテンツと異なり、翻訳前の原音も聞こえてくるため、サウンドの違和感が少ない印象だ。片耳で同時通訳を聞く時ならではの疲労感はあるかもしれないが、気になるようなら両耳を早着すれば解決する話だろう。
そして、最後にスペイン語で配信されているメキシコのサッカー系動画を視聴した。動画コンテンツを探してみて思ったのは、直接のサッカーの試合の映像には実況があまりなく、翻訳の有無はさほど重要ではなさそうだということだった。一方で、チームの裏事情や選手のインタビューなど、各国の言語で配信されている動画は結構多そうだった。こちらに関しても翻訳の正確性こそ評価できないものの、動画の映像を見ながら、違和感のない日本語音声で動画を自然に楽しめた。
3種類の動画を視聴してみた印象として、(1)動画の喋り出しの翻訳がややおかしくなりやすい、(2)複数人の発言が飛び交うようなタイミングや雑音のある環境では翻訳が正常に実行されない、という2点には気になったものの、「困ったらライブ翻訳を使えば良い」と思えるほど、非常に頼もしく感じた。
少なくとも、国際イベントの裏側を知るための各国のご当地情報や、現地の方が発信している観光地のリアルな情報を得るうえで、Google翻訳のライブ翻訳機能は重宝しそうだ。
マイナビニュースでは、6月11日から開催される「FIFAワールドカップ」開催国のアメリカ・カナダ・メキシコの最新事情、エンタメ、グルメなどの情報を伝える記事や、ワールドカップ観戦を楽しむための情報をお届けする特集「W杯で注目! 今こそ楽しみたいアメリカ・カナダ・メキシコ」を展開中。


