日本では様々なスマートフォンが販売されており、日本で売られているグローバルメーカーの製品は海外でも同じモデルが販売されています。一方、日本で販売されている日本企業の製品を海外で見かけることはあまりありません。ソニーのXperiaシリーズは台湾や香港、ヨーロッパの一部の国で見かけますが、日本でも人気のシャープのAQUOSスマートフォンは台湾などごく一部の国で販売されている程度です。

シャープは2021年の「AQUOS R6」からライカとの協業を開始し、翌年の「R7」そして2023年の「R8 Pro」「R8」とカメラ強化モデルを出し続けています。ライカとのコラボは海外でも話題であり、世界のメーカーを見てみると現在はシャープとシャオミだけがライカ画質のカメラを販売しています。海外のスマートフォンファンから「日本のAQUOS R8 Proが欲しい」という声も筆者はたまに聞くほどで、AQUOS R8 Proは海外でも少しずつ注目を集める製品になっています。

とはいえスマートフォンは性能だけで選ぶ製品ではありません。特に海外では日本のように家電量販店がスマートフォンを投げ売りするような売り方は行われません。高価なモデルは高価なだけに、それ相応の質感も求める人がほとんどです。

ではAQUOS R8 Proは海外でも堂々と戦えるだけの製品と言えるのでしょうか? シャオミの2022年のフラッグシップモデルであり、ライカコラボ最初のモデル「Xiaomi 12S Ultra」とAQUOS R8 Proを1か月ほど併用してみました。個人的な感想ですが、結論から言えばAQUOS R8 Proはこのまま海外に出しても高い価格で売っても良いくらいに仕上げも性能も優れた製品と感じられました。

  • Xiaomi 12S UltraとAQUOS R8 Pro

Xiaomi 12S Ultraはアナログカメラ風のレザー調仕上げで、4つのレンズを覆う円形ガラスがまるでカメラのレンズのようなデザインになっています。カメラ風にかなり寄せており、後継機の「Xiaomi 13 Ultra」ではよりカメラっぽく仕上げられています。

AQUOS R8 Proはマット仕上げのブラックな背面で、表面は肌触りがよくつるつるとした仕上げになっています。本体質量は230gですが、225gのXiaomi 12S Ultraより体感的には軽く感じます。一見すると重厚感あるデザインなのに、握ってみると楽に持てる、そんな感覚でしょうか。指紋の跡も残りにくく、十分な高級感もあります。カメラ部分はこちらも円形にまとめており、R7よりもカメラ風になりました。

  • 両者の背面の質感とカメラデザインの比較

ただ個人的にはシャオミのように遊び心というか、さらにカメラを思わせるデザインにしてほしかったなと感じます。海外メーカーのカメラ強化モデルは各社カメラ部分のデザインに様々な工夫をこらしています。最近はiPhoneのようにカメラを片側に寄せたデザインではバランスが悪いことからか、円形に配置したデザインが主流になりつつあります。OPPOは「Fnd X6 Pro」でカメラ周りにローレット加工や交換レンズを合わせるような赤い点をつけるなど、アナログカメラに寄せたデザインを採用しています。

  • OPPO Find X6 Proのカメラ部分

本体性能を見ると、チップセットにSnapdragon 8 Gen 2を採用しており、パフォーマンスに不満が出ることはありません。またシャープ自慢のIGZOディスプレイの発色も良く、スマートフォンとしての使い勝手は十分合格です。そして気になるカメラの性能ですが、あいにく筆者はカメラマンといえるほど撮影に自信があるわけではありません。そこで日々写真撮影を行って失敗が気になる夜景や食事の写真を撮影してみました。

  • 両者のカメラを比較

まずは夜景から。ソウル訪問時にだいぶ暗い路地で撮影をしてみました。1インチセンサーの効果もあってか小さな灯りもつぶさず写してくれます。同じ場所をシャオミでも撮影してみましたがどちらもAI処理によりいい感じの夜景に仕上げてくれました。

  • AQUOS R8 Proで撮影

  • Xiaomi 12S Ultraで撮影

続いて大通りに出てみました。ソウルのカンナムには巨大なデジタルサイネージが何本も立っているのですが、そこに映る広告もしっかり撮れています。夜間ですがAI処理で全体的に明るくなっており、実際よりはだいぶ明るく写っています。一方、Xiaomi 12S Ultraで同じ場所を撮影するとより明暗差をつけた仕上がりになり、シャオミのほうが加工した感が強いと感じられます。

  • AQUOS R8 Proで撮影

  • Xiaomi 12S Ultraで撮影

カフェでの紅茶のひと時を撮影。いい具合にボケてくれるのはどちらも同じ。やはりここでも色味の差はかなり出ます。ただ色味の差は個人の好みもありますし、SNSに写真をアップしたらどちらも受けは良いでしょう。

  • AQUOS R8 Proで撮影

  • Xiaomi 12S Ultraで撮影

両者で大きな差がでたのがサラダとチキンの料理で、シャープは明るく、シャオミはコントラストをはっきりさせる、という傾向の差が見られました。この辺りはAI処理設計の差が出てくるのでしょう。

  • AQUOS R8 Proで撮影

  • Xiaomi 12S Ultraで撮影

料理をもう1つ。サムゲタンを撮りました。こうしてみるとAQUOS R8 Proのカメラ性能は十分であり、どんなシーンでも満足のいく写真を撮ることができるでしょう。

  • AQUOS R8 Proで撮影

  • Xiaomi 12S Ultraで撮影

台湾ではライカコラボを外した「R8s Pro」「R8」というモデルが発売されるとのこと。写真の色合いに若干の差は出るでしょうが、高い本体性能と質感はそのまま日本のモデルが引き継がれるため、台湾ではこれまでの製品以上に人気になるかもしれません。台湾を皮切りに他の国にもAQUOSシリーズをぜひ展開してほしいものです。

  • シャオミとも互角に戦える製品、海外展開を広げてほしい