iPad用のApple PencilやGalaxy NoteのSペンなど、本物のペンのような書き心地で入力できるスタイラスペンが使える端末がいくつか販売されています。サムスンは毎年秋に発売するGalaxy Noteシリーズの本体にSペンを内蔵させ、いつでもどこでも文字入力や本体のリモコン操作を可能にしています。サムスンは2021年6月末に開催されたMWC2021のオンラインイベントで、今後同社の他のスマートフォンでもペンを使えるようにするとアナウンスしました。すでに今年春に発売したフラッグシップモデル「Galaxy S21 Ultra」はサムスンのスタイラスペン、Sペンが利用可能です。

  • スタイラスペン(Sペン)が使えるGalaxy S21 Ultra

スタイラスペンは使いたいときにすぐに使えなくては意味がありません。Galaxy Noteシリーズは本体にSペンを収納させ、手書きしたくなった時にすぐにペンを取り出せるようにしています。AppleのiPadは第二世代のApple Pencilが本体にマグネットで取り付け可能。ただし本来は充電用途なので装着性はあまり高くは無いようです。

サムスンは2011年にGalaxy Note(初代モデル)を発売して以降、毎年新製品を投入してきました。スマートフォンへのペン入力は紙のメモ帳からデジタルデバイスへの乗り換えという点では優れたソリューションです。Galaxy Noteが登場する以前は、ゴム先のスタイラスペンがスマートフォンで利用されていましたが細かい書き込みは不得意でした。Galaxy Noteシリーズはワコム技術のスタイラスペンを採用することで「充電不要」「細かい書き込み対応」を実現しています。

  • Galaxy Note20は本体にSペンを収納する

ペンを必要とするユーザーは多くは無いものの一定数は必ずいます。イラストレーターなどのクリエーター、エディター、あるいはメモをよく取るビジネスパーソンなどにスタイラスペンの利用は向いています。Galaxy Noteシリーズが10年以上も製品を出し続けていることからも、ペン需要はこれからも無くならないでしょう。

とはいえスマートフォン本体にペンを内蔵させるとなると、ペンの太さは細くしなくてはなりません。しかしながらスマートフォンの内部はバッテリーや大型化するカメラモジュールなどによって空きスペースはほとんどありません。ペン内蔵のスマートフォンがなかなか出てこないのはこの辺りの問題に由来するのだと思われます。

  • Galaxy NoteシリーズのSペン。太さはだいぶ細い

しかしサムスンはGalaxy S21 Ultra本体にペンは収納できなくとも、ケースで収納の問題を解決しました。Galaxy S21 Ultra用に新たなSペンを開発し、純正のペン収納ケースを提供することで本体と一緒にペンを持ち運ぶことができます。なおペンが使えるようにするためにはGalaxy S21 Ultraのディスプレイもスタイラスペンに対応させる必要がありますが、Galaxy Noteシリーズと同じディスプレイ技術を使えばいいので対応は難しくなかったでしょう。

ケースを使ってSペンを使えるようにしたことでメリットとデメリットが生まれました。メリットはSペンを本体に収納する必要がないので、サイズを太くすることができるのです。Galaxy NoteシリーズのSペンはかなり細く、本物のペンの握り心地には及ばないのが実情でした。しかしGalaxy S21 Ultra用のSペンは一回り以上太くなり、握り心地もよくなっています。ペンを使った長文入力も苦にならないでしょう。

  • Galaxy S21 Ultra用のSペンはより太く長くなった

一方、ケースの横にSペンを収納するために本体の幅がやや広くなってしまいます。まあこのあたりはペンを多用する人なら許容できるれべるかもしれません。ちなみにGalaxy S21 Ultraの横幅は75.6mm、iPhone 12 Pro Maxは78.1mm。Galaxy S21 UltraにSペン収納ケースをつけても、iPhone 12 Pro Maxにケースをつけた幅から段違いに大きくなるものではありません。

  • 純正のGalaxy S21 Ultra用Sペン収納ケースを装着。本体幅はやや広くなる

さてiPhoneでもスタイラスペンを使いたいと考えている人は多いのではないでしょうか。iPadではApple Pencilが使えるのだから、その使い心地のままiPhoneの画面に文字や絵が書き込めたら便利なはずです。Appleはペンを使うなら広い画面が必要ということでiPadのみにApple Pencilを対応させているのでしょうか。Apple Pencilが登場したのは2015年のこと。当時発売されたiPhoneは大型サイズでも5.5インチディスプレイの「iPhone 6 Plus」で、たしかにこの大きさではペンを使うには狭すぎたかもしれません。

しかし2020年モデルのiPhone 12 Pro Maxは6.7インチもあります。iPhone 12 Pro Maxの本体高さは160.8mm、Apple Pencil第二世代の長さは166mm。ちょっと短くすればiPhone 12 Pro Maxの高さよりも短くなり、Galaxy S21 Ultra用のように「Apple Pencil収納iPhoneケース」があればいつでもApple Pencilを持ち運べます。

  • Apple Pencil(第二世代)の長さはiPhone 12 Pro Maxとそれほど変わらない

Galaxy用のサードパーティー製ケースはiPhoneより数が少ないため、Sペンが収納できるサードパーティーケースもまだ1、2種類しか発売されていません。しかし、もしもApple Pencilの短いサイズが登場し、次のiPhoneがApple Pencil入力対応になれば様々な収納ケースがサードパーティーから登場するでしょう。持ち運びやすさやデザインのいいApple Pencil収納ケースが出てくるはずです。

  • サードパーティー製のGalaxy S21 Ultra用Sペン収納ケース。純正品より使いやすい

スマートフォンの進化もそろそろ目新しい機能の搭載が望めなくなっています。クリエイターのプロユースにも利用できるApple PencilのiPhone対応こそ、そろそろ次のiPhoneの新機能に求められているかもしれませんね。

  • iPhoneでApple Pencilがそろそろ使えるようになってほしいもの