高音質なヘッドホンが次々と発売され、スマートフォンでも臨場感あふれるサウンド体験ができる時代になっています。とはいえヘッドホンは耳を覆ったり、あるいは耳の穴に差し込んで使うものがほとんど。自分の耳の形状に合わないとか、暑い時期に耳を覆いたくない、と言った理由で敬遠する人もいるでしょう。また「音楽はカジュアルに楽しめればいい」という考えもあると思います。

スマートフォンやヘッドホンなど身体に装着するIoT製品をウェアラブルデバイスと呼びますが、新しいウェアラブルデバイスが最近になって登場しています。それは眼鏡やサングラスにヘッドホン機能を融合させた「アイウェア」です。ファーウェイなどスマートフォンメーカーも参入をはじめ、少しずつ製品の種類が増えています。

  • サングラスなのに音楽を聴ける「アイウェア」

アイウェアの見た目は眼鏡そのもの。アイウェアが注目されるようになったのはファーウェイが2019年にファッショングラスメーカーのジェントルモンスターと提携してからでしょうか。ファーウェイが現在第二世代となる「HUAWEI×GENTLE MONSTER Eyewear II」を販売中。なお日本でも2021年7月12日までクラウドファンディングで予約を受け付けています。

  • HUAWEI×GENTLE MONSTER Eyewear II

アイウェアは眼鏡の「つる」の部分にスピーカーやマイクを内蔵。装着すると、つるの耳近くにあるスピーカーから音楽を聞くことができます。電話がかかってきたときの受信や、音楽再生コントロールはつるの部分をタッチやスワイプさせて行います。そのためつるの部分が若干太くなっていますが、普段から眼鏡やサングラスとして使えるようにはなっています。

  • つるの部分にマイクやタッチセンサーを内蔵

アイウェアはIoT製品の中でも顔に装着して目立つものですから、デザイン性が強く求められます。ファーウェイのアイウェアはヘッドホン部分はファーウェイが開発していますが、眼鏡・サングラスのデザインはジェントルモンスターが手掛けています。そのため一部の製品はレンズの交換も可能。現在眼鏡をかけている人も自分の視力にあった度数のレンズをつけて使うことができるのです。普段は眼鏡として使い、必要な時だけヘッドホン機能を使う、ということもできるわけです。

  • レンズ交換可能なモデル「SMART KUBO」

なお本体は充電が必要です。初代の製品は専用ケースに収納し、内部の接点経由で充電を行う機構になっていました。最新の第二世代モデルはワイヤレス充電となったため、ケースの中に置くだけで充電できます。なお音楽再生時間はフル充電で5時間とのこと。

  • 高級感が漂うケースはワイヤレス充電台を兼ねる

ゲーミングデバイスを次々と送り出しているRazer(レイザー)も「Razer Anzu」を販売しています。RazerはゲーミングPCやキーボード、ヘッドホンなど多数の製品を展開しています。ブラックボディーに同社のコーポレートカラーであるグリーンのラインや「トリプルヘッドスネイク」と呼ぶ3匹の蛇が絡まったアイコンを配した製品だけではなく、ピンク色やホワイトカラーなどファッショナブルな製品を多数展開しています。

  • RazerのAnzu

Razer Anzuはアイプロテクションガラスを採用し、長時間のPC利用時にも目が疲れないよう、ゲーマー向けの仕様にもなっています。もちろん一般的なPCで使うのにも向いています。在宅ワークが増えた今だからこそPCの前に座り画面を見続ける時間も増えているでしょう。Razer Anzuなら仕事の合間にリビングルームへ手ぶらで移動して休憩中でも、かかってきた電話を逃すことはありません。

  • ファッショナブルなRazerのノートPCにも似合うデザイン

さてこれらのアイウェアはつるの部分のスピーカーから音を流すので、外出先での移動中などに外の音は遮断されません。ウォーキングや街歩き中などは外部の音が聞こえたほうがいいでしょうが、室内で音楽に完全に没頭したいときはどうしても一般的なヘッドホンに軍配が上がります。しかしながら、音響メーカーのボーズが発売した「Bose Frames」はオープンタイプのヘッドホンであるアイウェアでもクリアな音楽を再生できるといいます。音にこだわったアイウェアを選ぶならこちらもよさそうです。

  • 音響メーカーもアイウェアに進出、「Bose Frames」

アイウェアはメジャーなメーカーの製品の数はまだあまり多くありません。今はマイナーメーカー製品をECサイトで多く見かけますが、いずれは大手の眼鏡メーカーなどの参入が予想されます。アイウェアはまずは眼鏡としてのデザインや質感が重要視されますから、実際につけてみて使い勝手を試したいもの。家電量販店のヘッドホン売り場の試聴コーナーのように、いずれはアイウェアの試着コーナー、なんてものができるかもしれません。ヘッドホンはつけたくない、でも外出中でも音楽を手軽に聴きたい、ということならアイウェアにも注目してはいかがでしょうか?

  • アイウェアが音楽の新しい楽しみ方を提供してくれる