Samsung Electronicsは8月5日、最新スマートフォンを発表するイベント「Galaxy Unpacked 2020」を開催。新型コロナウイルスの影響で初めてオンラインのみの開催となり、オンラインならではの工夫を盛り込んでいました。

  • 初のオンライン限定開催となった「Galaxy Unpacked 2020」。毎回招待されていた「Galaxy Members」もオンラインで参加。発表を盛り上げていました

Galaxy Unpackedといえば、近年は毎年2月にGalaxy Sシリーズ、8月にGalaxy Noteシリーズを発表してきました。2020年2月のGalaxy S20発表時は米サンフランシスコでイベントを開催しており、いま考えるとタイミング的にはギリギリでしたが(コロナ禍)、筆者も現地で取材しました。

その後、新型コロナウイルスの影響で海外に行くことが難しくなり、今回のUnpackedはとうとうオンラインのみ。以前までは発表会後に新製品のタッチ&トライが設けられ、いち早く使い心地をお届けできたのですが、今回は新製品の実機に触れる機会がないという残念な状況でした。

毎回、リアル会場に招待されていた「Galaxy Members」もオンライン参加で、登壇者の背後にサムネイルとして一覧表示され、発表を盛り上げるという役割を担っていました。単に発表を届けるのではなく、ファンの参加を促して一緒に盛り上げようという姿勢は好印象です。

最初に登壇したSamsung ElectronicsのExperience Planning and SDIC部門、SVPであるFederico Casalegno氏は、コロナ禍の現状で従来のままではいられず、これまでとは異なったよりよい未来を一緒に再設計しなければならないと強調。「次のノーマル」に向けたビジョンを紹介するとしました。

そして登場したのが、DJ Koh氏の後を継いでMobile Communications部門のトップに就任したTM Roh氏です。Roh氏は冒頭、「テクノロジーが世界を変えると言い続けてきたが、(2月にUnpackedを開催した)サンフランシスコ以来の6カ月で、テクノロジー以外の理由で世界は変わってしまった」とコメント。異常な事態であり、チャレンジングな現況を語ります。「困難に陥ったときにすべきことはひとつだけ。それはペダルを踏み続けることだ」とRoh氏。

  • TM Roh氏

「このイベントではテクニカルなことも話すが、私はエンジニア。私を信頼して欲しい」と笑顔を見せるRoh氏は、技術的な部分で大きな自信を見せつつ、単なる技術やスペックの発表ではなく、新製品によって「Galaxy Ecosystem」を構築してユーザーの人生をサポートするという点を強調しました。

そうして発表された製品が、Galaxy Note20シリーズGalaxy Tab S7シリーズなど5製品です。ステイホームで離れている人とコミュニケーションしたり、健康をサポートしたり、仕事、勉強など、さまざまな状況にあるユーザーをサポートする製品としてアピールします。

Galaxy Note20・Galaxy Note20 Ultra

  • Galaxy Note20シリーズ。左がNote20 Ultra、右がNote20

日本ではニューノーマル、新しい生活様式とも呼ばれている言葉を、Galaxy Unpacked 2020では「次のノーマル」という言い方をしたようです。新製品は、この「次のノーマルのためにデザインした」とCasalegno氏。

Galaxy Note20シリーズを紹介したのはStrategy & Partnership部門のMary Lee氏。「仕事と遊びの境目があいまいになっているいま、その間をスムーズにつなぐというニーズを満たすために設計した」と紹介します。

Note20は、従来のNoteシリーズから直接の後継機種となるNote20 Ultraと、よりコンパクトなボディに仕上げたNote20という2製品を用意。ディスプレイは、Note20が6.7インチFHD+(2,400×1,080ドット)のSuper AMOLED Plus Infinity-O Displayを搭載。側面までフラットなディスプレイを採用しました。

  • 画面サイズの異なる2つのモデル

Note20 Ultraは、6.9インチQHD+(3,088×1,440ドット)のDynamic AMOLED 2X Infinity-O Displayを採用。側面がカーブしたエッジディスプレイで、120Hzのリフレッシュレートもサポートしています。「スマートフォンで最も明るく鮮明なディスプレイで、屋内外で高い視認性」(Lee氏)を実現しており、屋外の視認性は25%向上しているそうです。

また、最新のSoC(Snapdragon 865+ 5G)を搭載したことによるパフォーマンス、30分で50%以上を充電できる急速充電、Knoxによるセキュリティといった、仕事や遊びに存分に使えるスペックである点をアピール。

もちろんカメラも高性能化。いずれもメインカメラ、超広角、望遠のトリプルカメラを備え、特にNote20 Ultraはメインカメラに1億800万画素、望遠カメラに光学5倍レンズを採用して、これまで以上に幅広いシーンでの撮影を可能にしています。Lee氏は特に超解像ズームと暗所撮影機能、8Kに対応してマニュアル撮影も可能なビデオ撮影機能をアピールしました。

  • カメラはトリプル。こちらはNote20 Ultraで、カメラの右側にある黒い部分はレーザーAFです

デザイン面も特徴的で、新たに採用されたMystic Bronzeカラーは「最高の色」とデザイナーが自賛するように、落ち着きながらも洗練された印象の仕上がりに見えました。Note20はポリカーボネート、Note20 Ultraはガラスの背面。素材を変えつつも、カラーは同等の印象です。

最大の特徴であるSペンは、大きく性能を強化。Sペンを画面に触れて実際に動作するまでの遅延が9msまで高精度化しています。ペンが画面に触れると、その信号をソフトウェアが制御して画面上に線を描くといった動作ですが、低遅延化するために採用したのがAIベースのポイント予測技術です。

  • ペンの動きからポイントを予測

  • 120Hzもペンの滑らかさに貢献しています

このポイント予測技術では、何百万ものサンプルを集めて分析。Sペンの動きに対して次に動く地点を予測して描写します。さらに画面のリフレッシュレートも120Hzになったことでも、より低遅延の描写が可能になったようです。そのため、真価を発揮するのはNote20 Ultraになるということでしょう。Samsung Electronicsは、紙に手書きする感覚により近づけたと自信を見せます。

Galaxy Tab S7・Galaxy Tab S7+

同じようにSペンを採用したタブレット「Galaxy Tab S7」シリーズも発表されました。11インチWQXGA(2,560×1,600ドット)LTPSディスプレイのTab S7、12.4インチWQXGA+(2,800 ×1,752ドット)Super AMOLEDディスプレイのTab S7+という2モデルです。120Hzのリフレッシュレート、Sペンの9msの低遅延といった点はNote20シリーズと共通しています。

  • Galaxy Tab S7シリーズ

  • 画面サイズの異なる2モデルを用意

ハイエンドながらコンパクトで軽量なボディ、Note20シリーズと同様の3カラー、キーボードカバー(オプション)を装着することによる生産性といったメリットがアピールされました。さらに、Sペン対応の新アプリとして「Clip Studio Paint」も目玉のひとつ。。Android版は初めての登場で、しばらくはGalaxy専用となるそうです。

  • Sペンは9msの低遅延

  • キーボードやマルチウィンドウに対応

Windowsとの連携性がアップ

マイクロソフトとの協業の成果として、新たにノートアプリ「Samusung Notes」(日本ではGalaxy Notes)がOneNoteと同期したり、ToDoとリマインダーの同期をしたりなどの連携が強化。Windows PCとAndroidスマートフォンを連携させる「スマホ同期」では、Note20上のアプリをWindows PCからアクセスできるようになりました。スマホ同期上でNote20のアプリを選択するとWindows PC上でアプリが立ち上がり、PCのキーボードやマウスを使って操作できるのです。

  • Windows PC上でAndroidアプリを使えるように

Tab S7も同様ですが、さらにWindows PCのセカンドディスプレイとしても活用できるようです。

ゲーム面ではマイクロソフトのXboxとの連携で、Xbox Game Passが3カ月間無料になるほか、Bluetoothゲームコントローラーも9月15日発売されます。

  • ゲームコントローラーを使ってXboxのクラウドゲームも楽しめます

アクセサリとしては、空豆のようなデザインのワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds Live」、健康機能を強化したスマートウォッチ「Galaxy Watch 3」が発表され、Galaxy Ecosystemを構築する製品群が紹介されました。

  • Galaxy Buds Live

  • Galaxy Watch 3

大注目を集めた「折りたたみスマホ」の第2世代

最後に登場したのが、折りたたみ型スマートフォンの最新モデル「Galaxy Z Fold2」です。横折りのスマートフォンで、開くと大画面のタブレットに変形するという製品の2世代目となり、完成度が大幅に向上しているよう見えます。

  • Galaxy Z Fold2

  • 閉じた状態でも6.2インチの大画面に

  • 開けば7.6インチのタブレットに

  • 髪の毛より細いという極薄ガラス(UTG)を配置したディスプレイ

デザインやカラーは新しいNote20シリーズと共通していて、Mystic Bronzeモデルも用意されています。開いたときの厚さは6mmと薄型化。閉じた状態のディスプレイも、従来の4.6インチから6.2インチへとかなり大型化しています。初代モデルは、閉じた状態だとスマートフォンとしてはちょっと使いづらかったのですが、画面サイズが大型化して実用的になりました。

開いた場合も、Infinity-O Displayの採用でボディ全体がディスプレイ化したことで、7.3インチから7.6インチに拡大しました。120Hzのリフレッシュレートにも対応しているそうです。

  • Z Flipのように開閉の途中で固定できるようになりました

  • そのため、テーブルに置いて動画を楽しむ、といった使い方も可能に

人間の髪の毛よりも薄いという極薄ガラスを採用したディスプレイは、ガラスを採用しながら折り曲げに対応。Galaxy Z Flipが持っていた、自由度の高い位置で開閉を止められる構造もサポートしました。なお、ファッションブランドThom Browneのデザインを採用したGalaxy Z Fold2 Thom Browne Editionも発売予定。Z Fold2の詳細は9月1日に改めて発表されるそうです。

  • Z Flipに続いて、Thom Browne Editionが今回も用意されます

最後に再び登場したTM Roh氏は、消費者のニーズを重視し、そのニーズに応えられるよう幅広いバリエーションを用意して選択できるようにしていることを強調。Galaxy Ecosystemによってすべての製品がシームレスに連携し、消費者の生活をより良くできるとアピールします。

個人的に気になっていた、Galaxy Z Fold2にSペンが対応していない点について、Casalegno氏がRoh氏に質問をしていました。Roh氏は、Z Fold2が独特の製品で独自の品質が必要である点や、Z Fold2ならではの折りたたみによるメリットを紹介して、Noteシリーズとは異なる位置づけにあると話しました。ただ、消費者のニーズに耳を傾け続ける、とRoh氏。「将来のFoldにご期待ください」と話していました。

  • 将来のFoldへの期待をアピールしたRoh氏(右)

盛りだくさんの製品群を「次のノーマル」に向けた製品だとアピールしたSamsung。今回は実機に触れていないため、そのアピールがどこまで実現されているのか確認できず、物足りなさが残ったのは否めません。実際に製品に触れられるのはいつになるのか、国内での展開に期待したいところです。