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Windows 10で削除したファイルを復元するには、「以前のバージョン」「ファイル履歴」といった機能を用いるが、いずれも事前に有効にしなければならなず、既定ではどちらも無効である。そのため、操作を誤ってファイルを削除した際の緊急対応策として頼ることはできない。

そこで、使っているWindows 10がバージョン2004(ビルド19041)以降であれば、Microsoft Storeで配布中のマイクロソフト純正ツール「Windows File Recovery」をインストールしておくことをおすすめする。サポートページを確認すると、2020年4月には本ツールの提供が始まっていたようだ。

Windows File RecoveryはNTFS / FAT / exFAT / ReFSでフォーマットした各種ドライブから削除したファイルを復元するツールだ。管理者権限を持つコマンドプロンプトから、「winfr 復元元のドライブ 復元先のドライブ [オプション]」という形式で実行する。

削除済みJPEGファイルを復元する

Windows File Recoveryは既定のデフォルトモードに加えて、ファイル生成時にMFT(マスターファイルテーブル)に入力するFRS(ファイルレコードセグメント)を検査してファイル復元を行うセグメントモードや、ファイルのパスや*(ワイルドカード)でフィルターしてファイルを復元するフィルター検索モード、ファイルの種類を調べながら復元するシグネチャーモードを備えている。

実際の動作を確認しよう。以下で実行しているのは、Cドライブで削除したJPEGファイルをEドライブに復元する流れだ。

  • 「Win」+「R」キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「cnd」と入力後、「Ctrl」+「Shift」キーを押しながら「OK」ボタンをクリック/タップする

  • 「winfr C: E: /n */jpg」と入力して「Enter」キーを押し、続いて確認プロンプトが現れたら「Y」キーを押す。その後フェーズ1、フェーズ2と処理を経て、上書き・スキップなどの操作をうながされる

  • デフォルトモードで512GBのM.2 SSDを対象に実行したが、対象ドライブをスキャンするフェーズ1だけで5時間。ファイル復元処理となるフェーズ2で30分ほどを要した。復元先となるドライブのルートフォルダーに生成されたフォルダー内に、復元したファイルがフォルダーごとに並ぶ

ファイルの種類は拡張子を用いたワイルドカードに限らず、拡張グループを使うこともできる。ただし、拡張グループはシグネチャーモードでしか実行できないため、JPGEファイルを対象に復元する場合は「winfr C: E: /x /y:Jpeg」と実行しなければならない。

  • サポート済み拡張グループは「winfr /#」と入力して「Enter」キーを押せば確認できる

いずれにせよWindows File Recoveryは、特定のファイルやパスを指定しない場合はドライブ全体をスキャンするため、数時間単位の時間を要する。また、シグネチャーモードを選択した場合、さらに時間がかかることに注意したい。

  • Windows File Recoveryで使用できるオプション