ダンスミュージックに強いといわれる「FL STUDIO」、他のソフトとは異なる、独自のインタフェースも特徴だ。今回はFL STUDIOでの曲作りの基本を確認してみよう。

プレイリストでパターンを組み合わせて曲にしていく

FL STUDIOでは、ステップシーケンサ、そしてピアノロールを複数開くことはできない。しかしステップシーケンサは音源を鳴らしたい位置のボタンを点灯させることでパターンを組むため、1つパターンを完成させても、新しいパターンを組むためにボタンをクリックすれば当然パターンが変わってしまう。パターンを活用して一曲作るには、イントロ、Aメロ、エンディング、そしてドラムにシンセ、ベースとさまざまなパターンを使い分ける必要があるだろう。FL STUDIOではどうするのだろうか?

これはウィンドウ上部のメニューバーにある、パターンセレクタを使う。新しいプロジェクトを立ち上げてステップシーケンサでまずパターンを作成し、パターンセレクタでパターン2に切り替えてみるとすぐわかるが、ステップシーケンサの表示が初期化され、どのボタンもクリックされていない状態になる。つまり、パターンを組んでパターンセレクタで切り替え、また新しいパターンを作成していくわけだが、プロジェクトを終了しない限りは作成したパターンは記憶されている。FL STUDIOでは999種類ものパターンを作成・保存できるのだ。

「PRT」と表示されているディスプレイがパターンセレクタ、これを上下にドラッグすると、ステップシーケンサに読み込まれているパターンが変化する

では、作成したパターンをどうやって組み合わせていくのだろうか。そこでプレイリストが登場する。FL STUDIOのプレイリストは横方向が小節となっていて縦横に細かく区切られており、その点では一般的なDAWソフトでオーディオ/MIDIファイルを貼り付けるインタフェースと一見似ている。しかしよく見ると、縦方向はParttern1、Parttern2、Parttern3……と表示され、それぞれの列がパターンセレクタのパターン番号になっているのだ。

このプレイリストの操作はステップシーケンサと似ており、クリックするとパターンブロックが配置される。たとえばパターン1で1小節分のドラムパターンを作成したならば、Parttern1の行をクリックすると、1小節分のパターンブロックが配置される。プロジェクトを再生すると、パターンブロックが配置されているところはパターン1のドラムパターンが演奏されるという仕組みだ。つまり、あらかじめさまざまなパターンを作っておき、あとは曲の進行に合わせてプレイリストの各行でパターンブロックを配置していけば曲の形ができていく。

作成したパターンの演奏をコントロールするプレイリスト、各行はパターンセレクタの番号と連動し、パターンブロックを配置した位置でそのパターンが演奏される。パターンブロックの配置はクリック、消去は右クリックで、スピーディーに入力が可能だ

FL STUDIOの再生モードはステップシーケンサに読み込んでいるパターンを演奏するパターンモード、プレイリストを演奏するソングモードがあり、メニューバーのPAT/SONGインジケータをクリックして切り替える

オーディオファイルの配置、そしてパターンをより自由に扱えるクリップトラック

これまではパターンを使っての曲制作について触れてきたが、このプレイリストの下側にはクリップトラックというものが用意されている。これは一般的なDAWソフトと同じように、オーディオファイルを波形表示して読み込ませることも可能だ。ループファイルを読み込めばプロジェクトのテンポにシンクロして演奏される。また楽器ごとや短いフレーズに限らず、曲そのもののファイルを配置し、テンポを検出してFL STUDIOのプロジェクトにマッチさせることもできるので、オリジナルリミックスを作って遊ぶこともできるだろう。

プレイリスト下に用意されたクリップトラックにはオーディオファイル、オートメーションクリップ、パターンクリップを貼り付け、直感的な曲作りができる。パターンクリップの作成はクリップトラック左側の空欄をクリックすれば、作成済みのパターンから選択して簡単に出来てしまう

クリップトラックはオーディオファイル以外にも、ソフトシンセやエフェクト、ミキサーのパラメータをコントロールできるオートメーションクリップ、そしてFL STUDIO 7の新機能として、パターンクリップというものも配置できるようになった。

このパターンクリップとは、パターンをプレイリストではなく、クリップトラックでコントロールするもの。プレイリストではたとえば100種類のクリップを作成した場合、非常に縦に長くなってしまうため曲のアレンジがしづらい場合があるのだが、パターンクリップは配置する行が制限されず、たとえばギタートラックとして一列に複数のパターンクリップを貼り付けることができるため、より直感的なアレンジができるようになっているのだ。

次回はFL STUDIOに用意されている豊富なソフトシンセやエフェクトについてチェックしてみることにしよう。