4月30日の打ち上げを目指していたインターステラテクノロジズ(IST)の観測ロケット「MOMO」3号機であるが、同日10時前ころ、姿勢制御スラスタ用の液体酸素バルブに異常が発生。機体を格納庫に戻し、対策を進めていたものの、バルブ交換と気密試験が必要となり、当日中の打ち上げを断念。5月2日の再打ち上げ目指すことになった。

  • MOMO3号機

    早朝、射点に立てられたISTの観測ロケット「MOMO」3号機

同日は未明より打ち上げの準備作業を開始。エタノールと液体酸素の充填が完了し、打ち上げ2時間前の第5次GO/NOGO判断まで順調に進んでいたが、その後にカメラの映像でリークが発見されたという。この時点で昼のウィンドウの打ち上げは無くなり、夕方のウィンドウでの打ち上げを目指し、推進剤を排出してから、原因の究明を行っていた。

しかし、対策にはバルブの交換が必要と判明。交換後には気密試験も行う必要があり、当日中の打ち上げには時間が足りないことから、延期を決めた。翌5月1日は天候が悪く、強風が予想されることから、この日も見送り、打ち上げは最短で5月2日の昼、11:15~12:30のウィンドウを目指すことになった。

  • 笹本祐一

    延期が発表され、メディアに囲まれるIST広報担当の笹本祐一氏(本業はSF作家)

今回、異常が見つかったのは、民生品の極低温バルブで、3号機で初めて採用したもの。2号機は、メインバルブの下流で配管を分岐させ、エンジンと姿勢制御スラスタに推進剤を供給していたが、3号機はタンクから直接配管を出す形態に変更したため、姿勢制御スラスタ用の小型ソレノイドバルブを追加する必要があった。

新規採用品とはいえ、これまでのCFT(Captive Firing Test)試験で同様の問題が起きたことは無かったという。ただ、リハーサルで近い現象が起きたことはあったそうで、同社の稲川貴大社長は「バルブ自身の問題というより、供給系全体の問題」との見方を示した。バルブを交換した上で、再発しないことを確認してから打ち上げに臨む。

  • 稲川貴大

    左はISTの堀江貴文取締役、その隣が稲川貴大社長

今のところ、5月2日には現地の天候も回復する見込み。前日までの雨により、盛大に霧が発生してまた射点が見えなくなる可能性もなくはないが、いずれにしてもしっかり準備し、今度こそ成功して欲しいところだ。