Microsoft Excelはブックのオープンと保存が「Ctrl」+「O」と「Ctrl」+「S」に割り当てられている。「Ctrl」+「O」と「Ctrl」+「S」はほかのWindowsアプリケーションでも同じ機能に割り当てられていることが多い。「Ctrl」+「W」はブックを閉じるショートカットキーだ。これはWebブラウザなどでタブを閉じる機能に割り当てられている。タブを使うアプリケーションは「Ctrl」+「W」を同じようにタブを閉じる機能に割り当ててることが多い。
なぜブックやタブを閉じる機能が「Ctrl」+「W」なのだろうか。小話をフックにして、このショートカットキーを覚えよう。
ブックを開く・保存・閉じるのショートカット
キー | 操作内容 |
---|---|
「Ctrl」+「O」 | ブックを開く。 |
「Ctrl」+「S」 | ブックを保存する。 |
「Ctrl」+「W」 | ブックを閉じる。 |
ちょこっとアドバイス
今回取り上げるショートカットキーは、次のとおりだ。
キー | 操作内容 |
---|---|
「Ctrl」+「O」 | ブックを開く。 |
「Ctrl」+「S」 | ブックを保存する。 |
「Ctrl」+「W」 | ブックを閉じる。 |
「Ctrl」+「O」と「Ctrl」+「S」はMicrosoft Excelに限らず、多くのアプリケーションでファイルを開くショートカットキーおよびファイルを保存するショートカットキーとして使われている。覚え方も簡単だ。「Ctrl」+「O」のOは「Open (開く)」から来ているし、「Ctrl」+「S」のSは「Save (保存)」から来ている。
問題は「Ctrl」+「W」だ。どうして「W」なのかが分かりにくい。同じロジックで行くなら、ブックを閉じる(Close)のであればCが使われそうなものだ。しかし、「Ctrl」+「C」はコピーのショートカットキーに使われている。「Ctrl」+「C」は、コピーとしての歴史が長く、シェアも高く、デファクトスタンダードのポジションにある。このショートカットキーを上書きしてまで、ブックを閉じる処理に当てるのは不可能だろう。
キー | 対応する英単語 |
---|---|
「Ctrl」+「O」 | Open |
「Ctrl」+「S」 | Save |
「Ctrl」+「W」 | ? |
Microsoft Excelにおける「Ctrl」+「W」の動作は、Webブラウザにおける「Ctrl」+「W」の動きによく似ている。「Ctrl」+「W」は歴史的に複数の機能に割り当てられているが、最近では、Webブラウザにおける「Ctrl」+「W」の動作が、「Ctrl」+「W」の動作そのものとして広く認知されているように思う。
主要Webブラウザにおける「Ctrl」+「W」とその意味をまとめると、次のようになる。
Webブラウザ | 「Ctrl」+「W」 |
---|---|
Google Chrome | Close the current tab |
Microsoft Edge | Close the current tab |
Firefox | Close Tab |
Safari | Close the active tab (Mac: Command+W) |
【参考】
- Chrome keyboard shortcuts - Computer - Google Chrome Help
- Keyboard shortcuts in Microsoft Edge
- Keyboard shortcuts - Perform common Firefox tasks quickly | Firefox Help
- Keyboard shortcuts and gestures in Safari on Mac - Apple Support
要するに、タブを閉じる処理が「Ctrl」+「W」だ。
「Close the current tab」からショートカットキーを作るとなると、「Ctrl」+「T」となりそうなものだが、「Ctrl」+「T」は「新規タブの作成」のショートカットキーに割り当てられている。もう使われているのだ。
タブを閉じるという「Ctrl」+「W」の動きがどこからやってきたのか、確かな研究や資料が見つからないのだが、どうもMacで古くから採用されてきた「⌘」+「W」から転用されたものではないか、という分析されていることが多い。
「⌘」+「W」は現在フロントにあるウィンドウを閉じるショートカットキーだ。タブの存在するアプリケーションでは、まずフロントにあるタブから閉じていき、タブがなくなると次はウィンドウが閉じる対象になる。
ここから転じて「Ctrl」+「W」に同じ機能を割り当てたのではないか、というものだ。登場した時期はMacの古いので、MacからWindowsへ転用が広がっていたのではないか、ということだ。
Macのこの動きを転用したとすれば、ブックを開く・保存・閉じるのショートカットは次のように文字に対応させることができるようになる。
キー | 対応する英単語 |
---|---|
「Ctrl」+「O」 | [O]pen |
「Ctrl」+「S」 | [S]ave |
「Ctrl」+「W」 | close the front [W]indow |
この説明では根本的な疑問が解決していない。なぜ、Macで「⌘」+「W」がウィンドウを閉じるという機能に割り当てられたのかという、なぜ「W」が使われたのか問題だ。この点に関しては明確に根拠を示した書類が見つからない。
よく言われる憶測は次のようなものだ。Macでは、「⌘」+「Q」がアプリケーションの終了に割り当てられている。「⌘」+「Q」と「⌘」+「W」は明確に別の機能なのだ。キーボードを見るとわかるが、「W」は「Q」の右隣だ。つまり、意味として似ており、かつ、キーの場所も隣にある。「ウィンドウを閉じる (close the front Windows)」ということで「W」を使うことにもこじつけができる。こんな感じで、「⌘」+「W」がウィンドウを閉じるショートカットキーに採用されたのではないか、というわけだ。
「W」がウィンドウを閉じるショートカットキーに採用された理由は定かではないが、憶測はそれほど間違ったものではないように思える。少なくとも、こじつけとして覚えるにはある程度納得できるのではないだろうか。似たような機能を隣り合うキーに割り当てる手法は、これまでMicrosoft Excelでいくつも示してきたとおりだ。この手法はよく取られるし、覚え方としてもある程度妥当だと思う。
「Ctrl」+「W」のイライラ問題
MacやLinuxなどのオペレーティングシステムを長く使っていると、Windowsにおける「Ctrl」+「W」がイライラする原因となることがある。こうしたオペレーティングシステムのインタラクティブシェルでは、「Ctrl」+「W」が「カーソルの左側の単語を削除する」、というショートカットキーに割り当てられていることが多いためだ。このショートカットキーに慣れていると、カーソルの左側の単語を削除する時に自然と「Ctrl」+「W」を押してしまうのである。
しかし前述したように、Windowsでは「Ctrl」+「W」はタブを閉じるショートカットキーとして使われていることが多い。文字を削除しようとしてタブが閉じられた時のイライラといったらない。この辺りは用途に応じて、どちらかのショートカットキーを変えるほうがよいだろう。作業効率を引き上げるショートカットキーだが、すべての環境で共通ではないのだ。ある程度自分でカスタマイズしないと、複数のプラットフォームを混在して使う場合には混乱することが出てくるのだ。