前回の「イヤホン、ワイヤレス全盛でも3,999円の有線モデルが一番人気」に引き続き、e☆イヤホン秋葉原店に中古イヤホンの売れ筋を尋ねました。

一般に、中古イヤホンは新品と比べて入荷時期や入荷数が読みづらく、価格変動が激しい傾向があります。品ぞろえでいえば、買い取り金額がそれなりに高いハイスペックモデルが厚くなりやすいのが特色といえるでしょう。そうした違いから、大筋のトレンドは新品と重なっても、売れ筋の顔ぶれは変わってきます。

店頭スタッフの千國和輝氏は「完全ワイヤレスが人気を集めているのは新品と変わりません。ただ、中古は売れ筋ランキングのトップ5すべてが完全ワイヤレスになりました。そういう意味で、人気トレンドの傾向がより顕著に現れているかもしれません」と語ります。

  • e☆イヤホン秋葉原店の中古フロア(取材後の7月23日、8階にリニューアルオープン)。店頭スタッフの千國和輝氏に説明してもらった

中古イヤホン選びの3つのポイントは以下のとおりです。

  • 中古はケーブルの状態やボディの傷、付属品の点数などに個体差アリ。どこを妥協するかを決めて選ぶのがベター。
  • ワイヤレス型のバッテリーは消耗の度合いが見えにくい。製品の発売日や製造番号から大まかな製造時期を調べるのは有効。
  • 人気モデルの場合、後継モデルの登場前後に買い取りが増える傾向があり、割安に買えるチャンスとなることも。

中古イヤホンは、やはり新品の購入時とは異なる視点が必要になります。サイトや店頭で入荷状況をチェックし、価格を見て欲しいモデルが見つかったら店員さんに声をかけて実機に触れて品定めする――といった丁寧なプロセスが理想といえそうです。それを踏まえて、中古品の売れ筋ランキングを見ていきましょう。

※原稿と写真で掲載している価格は、2019年7月11日14:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:例外的に指名買いが多い「初代AirPods」

1位となったのは、アップルの「初代AriPods(MMEF2J/A)」でした。2016年12月に登場し、完全ワイヤレスブームの火付け役となったモデルです。現行世代に切り替わったあとも、10~20代の若年層や海外の観光客を中心に探している人が多いとのこと。税込み価格は1万2800円~となります。

「なるべく安くAirPodsを手に入れたいという人に指名買いされます。中古イヤホンは、的をある程度絞ったうえで在庫があるモデルを品定めするという買い方が多いですが、AirPodsは決め打ちということが多いんですよね」

  • アップルの「AirPods」。上段が2世代目、下段が初代となる

なお、最近は片耳(R側、L側)のみの買い取りと販売もスタートし、なかなかの反響があるそうです。「ちょっとポケットに入れたつもりで片方を落としてしまったり、スポーツ観戦で熱狂してなくしてしまう人もいて、案外需要があるんですよね」

  • 片耳のみのAirPodsも販売しており、反響があるそうだ

第2位:装着性の高さで根強い人気の「SoundSport Free」

2位は、BOSEの「SoundSport Free」です。2017年11月に税込み3万円弱で発売されたモデルで、取材時の中古価格は税込み1万8900円~でした。

BOSE独自の「StayHear+ Sportチップ」を採用し、激しいスポーツをしている最中でも耳から外れにくいことに定評があります。「スポーツ向けの完全ワイヤレスでは、国内外で高く評価されているモデルですね。発売からけっこう時間が経っていますが、『あのSoundSport Freeが安く手に入る』という感じで売れています」

  • BOSE「SoundSport Free」

第3位:後継が出てもなお売れ続ける「WF-1000X」

続く3位には、ソニーの「WF-1000X」がランクインしました。2017年10月にソニー初の完全ワイヤレスモデルとしてデビューし、2万5000円前後の価格で長らく多くのショップで売れ筋ランキング上位にいたモデルです。

取材時は、後継モデル「WF-10000XM3」の発売直前ということもあり、価格は一段と安い税込み6,900円~となっていました。

「やはり、完全ワイヤレスのなかでも音のバランスが優れていると評判があり、今でも探している人は少なくありません。あの名機がこれだけの安さで買える、というのが中古の魅力のひとつではないかと思いますね」

  • ソニー「WF-1000X」

第4位:タフなスポーツ向きの定番「Elite Active 65t」

4位は、Jabraのスポーツ向きモデル「Elite Active 65t」。2018年6月に売り出されたモデルで、現在もスポーツ向け完全ワイヤレスの分野で人気の上位に挙げられることが多いモデルです。新品の価格は税込み2万7000円前後で、中古は税込み1万9900円~でした。

「IP56認証のタフな仕様で、音質も装着性もよく、音声コマンドやモーションセンサーを使った操作機能が優れているということで発売時に評判になりました。その評判が中古市場にも響いている印象ですね」

  • Jabra「Elite Active 65t」

第5位:3万円前後でも上位に食い込む「MOMENTUM True Wireless」

5位は、2018年12月に登場したゼンハイザー初の完全ワイヤレス「MOMENTUM True Wireless」となります。完全ワイヤレスのなかでも一段高級なモデルながら、新品市場でも発売前から大きな反響があったモデルです。取材時の中古価格は税込み2万9400円~でした。

「ゼンハイザーファンの人に注目されているのもありますが、何より音が抜群に良い。ボディのデザインも洗練されていて、少しでも安く入手したいという人は少なくないと思います」

  • ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless」

はみ出し情報…中古市場の代表的なロングセラー「MDR-EX1000」

最近の売れ筋ランキングとは別に、中古イヤホン市場で長らく売れ続けているモデルも尋ねました。千國氏が挙げたのは、ソニーが2010年10月に売り出したモニター向けのワイヤードイヤホン「MDR-EX1000」。すでに販売終了となっていますが、大定番の地位を築いたモデルだけに今も人気が安定しているそう。取材時の価格は税込み2万8950円~でした。

「いまでも、キズなしの完全品は入荷したら即売れるくらいの反応がありますね。新品は税込み6万7000円程度しましたし、現在の価格でも割安感があるので、チェックしている人は多いですね」

  • ソニー「MDR-EX1000」

著者プロフィール
古田雄介

古田雄介

フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『死とインターネット』(Kindle版)、『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。