夏の終わりから、家電量販店では大型家電の売れ行きが目立っているそう。今回は、ヨドバシカメラ新宿西口本店 マルチメディア館にて、洗濯機乾燥機の売れ筋を取材しました。

同店で生活家電を担当する南陽介氏は、8月下旬からの動きについて「ファミリー向けのドラム式が人気です。新製品に完全に切り替わった縦型と違って、ドラム式は新旧モデルが混在している状況なので、旧モデルが底値で買える魅力があるんですよね」といいます。売り場全体としては「エコポイントのころに購入した製品を増税前に買い換えたい、という方が多くて盛り上がっています」とも説明します。

  • ヨドバシカメラ新宿西口本店 マルチメディア館 7階の洗濯機売り場。南陽介氏にナビゲートしてもらった

そこで、今回の人気ランキングは、ファミリー層向けのドラム式洗濯乾燥機に絞ってもらいました。底値モデルが売れ筋を作るなか、予算規模も含めて購入する際のポイントも3つ挙げてもらっています。

  • 予算は旧モデルがまだ買える今の時期なら20万円強、新モデルのみになったら30万円前後が現実的
  • 購入時期が遅くなるほど旧モデルの入手性が下がるうえ、設置までの時間がかかりやすくなる点は要注意
  • 乾燥方式と騒音、洗濯&乾燥時間はモデルごとに差があるので見比べたい

では、売れ筋順に人気モデルのトップ5を見ていきましょう。

※本文と写真で掲載している価格は、2019年8月28日14:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:風アイロンと洗剤自動投入が好評な「ビッグドラム BD-SX110C」

人気トップとなっていたのは、日立グローバルライフソリューションズの洗濯11kg/洗濯乾燥6kgモデル「ビッグドラム BD-SX110C」でした。「風アイロン」に加え、AIを使った自動設定や液体洗剤や柔軟剤の自動投入機能を備えています。税込み価格は19万4100円。

「やはり、風アイロンのしわ伸ばしに定評があります。ドラムから取り出してそのまま着ていける、という理想に近いですから。そのうえで、今モデルから搭載した洗剤の自動投入機能も購入の決め手になっている人が多いです」

第2位:温水泡洗浄Wの洗浄力が高評価の「NA-VX9900」

2位は、パナソニックの洗濯11kg/洗濯乾燥6kgモデル「NA-VX9900」です。こちらも、液体洗剤と柔軟剤の自動投入機能やエコナビによる洗濯制御機能を備えています。スマホからの遠隔操作で洗濯が始められるのもポイントで、税込み価格は26万4370円でした。

「洗剤の自動投入機能も人気ですが、水道水を温水にして洗浄できる『温水泡洗浄W』を気に入って買われていく方が多い印象です。夏場はそこまで問題なくても、冬になると水道水が冷たすぎて、洗剤が本来の洗浄力を発揮できないことがありますから。どちらかといえば、洗浄力重視の人に人気です」

  • 日立グローバルライフソリューションズ「ビッグドラム BD-SX110C」(右)とパナソニック「NA-VX9900」(左)

第3位:デザイン性とハイブリッド乾燥で注目される「ES-U111」

3位は、シャープの洗濯11kg/洗濯乾燥6kgモデル「ES-U111」。超音波ウォッシャーやマイクロ高圧洗浄機能を備えますが、それ以上に注目されているのが乾燥機能といいます。税込み価格は18万2500円。

「ハイブリッド式なので、ヒーターの乾きやすさとヒートポンプ式の省エネ性、衣類の傷みにくさが両立でき、“いいとこ取り”な内容になっています。乾燥重視という意味では、BD-SX110Cのライバル的なところもありそうです」

BD-SX110Cと比べると、若い世帯の支持がやや厚い傾向もあるそうです。「ドラム式っぽくない直線的なデザインを気に入る方も多いですから」

  • 特徴的なデザインで選ばれることも多いという、シャープの「ES-U111」

第4位:ウルトラファインバブル洗浄Wが支持される「ZABOON TW-127X7」

4位には、東芝の洗濯12kg/洗濯乾燥7kgモデル「ZABOON TW-127X7」が入りました。仕上がりが柔らかく省エネなヒートポンプの乾燥方式を採用した製品で、水道水を温水にしたうえで洗浄する「温水ウルトラファインバブル洗浄W」機能が指名買いの理由になっているといいます。税込み価格は22万4640円。

「洗浄力の高さに定評がありますね。NA-VX9900のライバルといえるかもしれません。売れ筋のなかでは大容量なのもポイントですね」

なお、これまで挙げたモデルは、週によって頻繁に順位が入れ替わるほど売れ行きが拮抗しているそうです。

  • 洗浄力の高さが評価されている東芝の「ZABOON TW-127X7」

【お詫びと訂正のお知らせ】記事の初出時、ZABOON TW-127X7はハイブリッド式の乾燥方式を採用していると記載していましたが、正しくはヒートポンプ乾燥のみの搭載でした。お詫びして訂正いたします。記事は修正済みです。(2019年9月25日 16:00)

第5位:叩き洗いの強みがアップする大口径ドラム「ビッグドラム BD-NX120C」

5位に入ったのは、日立グローバルライフソリューションズの洗濯12kg/洗濯乾燥6kgモデル「ビッグドラム BD-NX120C」です。基本的な機能は、第1位のBD-SX110Cに近いですが、幅735mmと一般的な同サイズと比べて10cm近く横に長く、その分ドラム径が大きいのが特徴です。ドラム径は、BD-SX110Cの直径53cmに対して、BD-NX120Cは61cmとなります。税込み価格は25万3800円。

「ドラム径が大きくなると、衣類が上から下に落ちるパワーが大きくなって洗浄力が上がります。幅があるぶん奥行きは抑えられていますが、置ける住まいが限定されるのがネックですね。置けたらほしいという人は多いです」

  • シリーズ名でもおなじみの大口径ドラムを搭載する、日立グローバルライフソリューションズの「ビッグドラム BD-NX120C」

はみ出し情報…単身住まいでも導入しやすい小型ドラムも人気

ファミリー層のメインストリームからは逸れるものの、容量とサイズを抑えたドラム式洗濯乾燥機も安定した人気があるそうです。

「単身向けの住まいで60×60cmの洗濯機しか置けないけど、乾燥まで効率的にできるドラム式がほしい、というニーズは根強いですね。遠心力で乾かす縦型と比べて、ドラム式は重力で落として温風で乾かすので、しわがつきにくくて絡みにくい。そこを気に入っている人は多いです」

定番的な人気があるのは、シャープの洗濯7kg/洗濯乾燥3.5kgモデル「ES-S7D」と、パナソニックの洗濯7kg/洗濯乾燥3.5kgモデル「Cube NA-VG730」とのこと。税込み価格は、順に15万8540円と19万3030円でした。

  • 幅と奥行きをそれぞれ60cmに抑えたシャープの「ES-S7D」

  • スクエアなデザインを採用するパナソニックの「Cube NA-VG730」

著者プロフィール
古田雄介

古田雄介

フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『死とインターネット』(Kindle版)、『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。