今回は、ヨドバシカメラ新宿西口本店 時計総合館にて、カシオ計算機の人気腕時計「G-SHOCK」の売れ筋をリポートします。

G-SHOCKは、1983年発売の初代モデル「DW-5000」から続くタフネスな造りと個性的な外観がコアな人気を獲得していて、腕時計のジャンルのなかでも独特の市場を形成していることで知られています。時計専門チームスタッフの西條剛氏は「G-SHOCKは先進技術や新しいフォルムに惹かれて購入する人が多く、新モデルの反応はいつも良いです」と解説します。購入層は昔から男性が中心ですが、女性人気もサブブランドの「BABY-G」を含めて広がってきているといいます。

  • ヨドバシカメラ新宿西口本店 時計総合館 1階のG-SHOCK売り場。時計専門チームスタッフの西條剛氏にガイドしてもらった

まずは、G-SHOCK購入の際に気にしたいポイントを3つ挙げてもらいました。幅広いバリエーションを持つブランドながら、売り場で気にされることの多い項目は共通しているとか。

  • G-SHOCKといえば先進技術。コアガード構造やスマホ連携機能など、搭載する技術で見比べたい。
  • 人気海外モデルの復刻版などもあり、デザインの歴史を追って買い物する楽しさも味わえる。
  • カラーの幅も広いので、パーソナルカラーや好きなキャラクターの世界観に合わせやすい。

それを踏まえて、今夏の売れ筋トップ5を順に紹介してもらいました。

※本文と写真で掲載している価格は、2019年8月28日14:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:カーボンコアガード構造採用で1万円台前半の「GA-2100」

一番人気となっていたのは、2019年8月に登場した「GA-2100」でした。アナログタイプながら初代モデルの八角形フォルムを継承し、それまで高級モデルにしか採用実績のなかったカーボンコアガード構造が使われているなど、伝統と先進性がバランスよく盛り込まれたモデルとなります。税込み価格は、ブラックモデルの「GA-2100-1AJF」で1万1660円。

「カーボンは、レジン(樹脂)とメタルに続く第3の素材として注目を集めています。それがこの価格で買えるということで、発売からずっと勢いよく売れています。カーボンコアガード構造によって、薄さ11.8mmを実現しているところも見逃せません」

  • 「GA-2100-1AJF」

第2位:G-SHOCK入門機として長らく定番の「GW-M5610」

続いて人気があるのは、2012年3月から店頭に並んでいるデジタルタイプの「GW-M5610」です。初代モデルの正統後継的なモデルで、往年のファンからの支持が厚く、入門機としても定番の地位を守り続けているそうです。「GW-M5610-1JF」の税込み価格は1万5120円。

「中学校の入学祝いへのプレゼントとしても定番のモデルですね。『G-SHOCKといえばこのデザイン』という人も多く、入門でありながら長らく愛用され続ける存在になっています」

  • 「GW-M5610-1JF」(中央)

第3位:カーボンコアガード構造採用の高級機「GRAVITYMASTER GWR-B1000」

3位に入ったのは、航空機グレードの素材を使った高級シリーズ「GRAVITYMASTER」に属する「GWR-B1000」。2019年3月に登場したカーボンコアガード構造を採用したモデルで、発売前から問い合わせが多かったといいます。「GWR-B1000-1A1JF」の税込み価格は7万7760円。

「カーボンコアガード構造を採用した初のモデルで、G-SHOCKファンの心を捉えました。ボタンガードがなくてもボタンシャフトや基板への衝撃を抑えられるようになったのも大きいですね」

  • 「GWR-B1000-1A1JF」

第4位:アナログG-SHOCKの定番モデル「GAW-100」

4位は、2017年8月発売のアナログタイプ「GAW-100」です。カラーバリエーションの多いモデルですが、とくにブラックの「GAW-100B-1AJF」が売れているとか。税込み価格は1万7930円でした。

「デジタル表示の定番がGW-M5610なのに対して、アナログタイプはGAW-100が定番となっています。ケースがやや大きいので、中学校の入学プレゼントよりも高校入学以降のプレゼントによく選ばれていますね。もちろん、自分用としても安定した人気があります」

  • 「GAW-100」シリーズ

第5位:スーツ用として支持を集める「MT-G MTG-B1000」

5位は、樹脂と金属の強みを融合させた高級シリーズ「MT-G」に属する「MTG-B1000」がランクインしました。2018年10月に売り出されたモデルで、メタル外装ながら樹脂バンドやメタルバンドの裏側を樹脂層にしたバンドを採用するなど、シリーズの個性を強く打ち出しています。税込み価格は、とくに人気があるメタルバンド&シルバーカラーの「MTG-B1000D-1AJF」で8万6400円です。

「GWR-B1000と同じく高級路線ですが、とりわけスーツのときに使いたいという人が多い印象があります。『G-SHOCKはプライベート用』と使い分けする向きもありますが、メタル感の強い高級タイプはそうしたニーズで注目されることがよくありますね」

  • 「MT-G MTG-B1000D-1AJF」

はみ出し情報…バンド交換可能な「GA-2000」の支持も広がる

人気トップ5には入らなかったものの、シリーズ単位で見ると2019年春からラインアップが広がっている「GA-2000」の勢いも見落とせないといいます。カーボンコアガード構造を採用したバンド交換式のモデルで、税込み価格は「GA-2000-2AJF」が1万3820円でした。付け替えバンドも3240円~4320円でショーケースに並べられています。

「バンドを付け替えてカスタマイズする潮流は、腕時計業界全体のトレンドになっています。そうした需要を見越して開発されたシリーズですね。バンドの故障で修理に出す必要もないというところにメリットを感じて買われる方もいます」

  • 「GA-2000」シリーズと付け替えバンド

著者プロフィール
古田雄介

古田雄介

フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『死とインターネット』(Kindle版)、『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。