最近「終活応援」と称して、高齢者向けに古本などをまとめて引き取るサービスが人気を博していると聞いた。

「古本」と言っても学術書や夏目漱石全集などではなく、どちらかというと走れエロス方面、端的に言えば大量の「エロ本」の引き取りが多いという。

いつの時代も「死後家族に見られたらヤバい物の処理」は頭の痛い問題なのである。

それらをうっかり遺して、死後遺族が微妙な気持ちになるだけならまだ良いが、下手に歴史に名を刻んでいると、深夜に書いたラブレターが歴史的資料として厳重に保管され、展示されてしまう危険性すらある。

例え無名であってもこの時代、邪悪な孫が軽率なバズ狙いで「X」に遺品や遺稿を次々に晒しだす可能性は十分にある。

よって我々中年世代は「自分の心臓が止まったら連動してパソコンのHDDが爆発するシステムを作ってくれ」と言い続けてきたし、現在の老は「心臓が止まると同時に家が全焼してほしい」など、もっとスケールのでかいことを考えているのだ。

ちなみに、この話を教えてくれた別媒体担当は「自分は大事なエロはデータ化し、クラウドに保存しているので抜かりない」と言っていた。

未だにクラウドと聞くと、ファイナルファンタジーの方が先に出てくるし、逆にそっちのクラウドを題材とした薄めの本の処遇を迷っている世代である。

どうせFF VII REVERSEを待っているのはすでに中年から初老なので、その世代が寿命や3Dに対する目と三半規管の限界を迎える前に早く完結させた方がいい。

ともかくクラウドのことは未だによくわかっていないが、漠然とパソコン内ではなくネット上のサーバにデータとかいうものを保存する方法だと理解している。

家を燃やしてもHDDにドリルしても安心できない

  • CDの寿命とクラウド時代の終活と整理整頓エントロピー

    心臓停止をスイッチにパソコンが爆発するシステムをつくったとしても、安心して死ねない時代になってしまったようだ

まぁよくはわからないが、クラウド上に保存しておけば、死後家族がどれだけパソコン内を改めてもヤバいデータが見つかることはないのだろう。

ただし、パソコンのデスクトップにクラウドへアクセスするショートカットを設置、さらにIDパスワードを保存状態にしていた場合は別だ。

そしてIDやパスワードを遺さなかったとしても油断はならない。

海外では急死した息子がiCloudに保存していたアートなどのデータがどうしても欲しいということで両親がappleに直談判、慎重に故人の遺族であるという証明を取った後、無事両親にクラウド内のデータが渡ることになった、という。

この話は美談で終わっているが、担当の話とミックスすると、故人の大事なデータがあると信じていた遺族の前にエロでパンパンのクラウドが開示されてしまう可能性がある、ということだ。

やはり、物理でもデータでも残っている限りは見つかる可能性がある、ということである。

絶対に人目に触れられたくないものはやはり自分が生きているうちに完全抹消するしかない。 しかし、不意に残ってしまった場合も困るが、本当に取り返しがつかないのは不意に消えてしまった時である。

データの方が一瞬の操作ミスで跡形もなく消えてしまったり、「保存せずに終了しますか?」の問いに脳死で「はい」を押して3時間の苦労が水泡に帰したり、ある意味アナログより儚い一面があるのだが、データには「複製保存が簡単」という利点がある。

複製を作って、いろんな場所に保存しておけば、完全に消えるというリスクをかなり減らすことができる。

もしアナログで大事なものがあるなら今の内にデータ化して保存しておいた方が良いだろう。 記録媒体にも「寿命」があるので、バックアップをとっておかないと取り返しがつかない場合もある。

その一例か、先日「音楽CDが突然粉々になった」という報告が相次いで上がり、注目を集めた。

記録媒体というのは新しい物ほど寿命が長いというわけではなく、今でも一番物理的に長持ちなのは「石板」と言われており、映画のフィルムでも100年はもつらしい。

それに対してCDの寿命は30年と言われており、CDが粉々になったのは「寿命による爆散」という可能性はある。

つまり1980~1990年代のCDは壊れる危険性があるので、再生の際は注意、そして早めに必要な音源はデータ化しておいた方が良いであろう。

とにかくCDはもう後期高齢者だから注意な

CD時代の音楽であれば、今でもほとんど配信サイトで聞けるから問題ないだろうと思う若人もいるかもしれないが、CDは音楽だけではないし、今では入手が難しい貴重なものだってある。

私が持っていたアンジェリークの守護聖様が歌うシングルCDを全て揃えた者にだけ全プレされるドラマCDを配信しているサイトはさすがにないだろう。

そう思って調べたところ、動画投稿サイトに音源を上げている奴がいたので戦慄したし「一度CDになったものはネット上を探せばどこかにある説」も否定できないが、見つけるのは大変だろうし、それより古いカセットやビデオテープになればさらに発見は困難になると思うので、手元に持っている人は早めに何らかの方法でバックアップを取っておいた方が良いだろう。

しかし、オタク気質の人間が、アナログのコレクションをデータ保存したとしても、それで安心してデータ元である本やCDを処分するとは考えづらく、それはそれで「保存用」として取っておく可能性が大である。

よって整理整頓ができないオタクがコレクションのデータ化を始めると、家は物であふれ返ったまま、さらにパソコンやクラウド内は、フォルダ分けはもちろん名前さえつけられていない自分でも把握できない謎データが溢れかえり、身辺を余計汚すことになる。

クラウド保存という方法が現れても「心臓停止と共にPCを爆発させるシステム」など物理的消滅を希望する奴がいなくならないのは、保存方法がどれだけ進化しても、性格的にそれを使って整理ができない奴がいるからである。