令和も5年になり、家庭での家事の在り方も大分変容してきた。

一昔前までは、夫婦共働きなのに明らかに妻側の家事負担が重いというのがよく問題になっていた。

現在でも「夫婦共働きなんで僕も家事は『手伝う』つもりです!」と曇りなき眼で言ってしまう人や、「うちの夫は掃除洗濯、製氷機に水まで入れてくれる」というとデキた旦那だと褒められるが、同じことを妻がやっていると言ったら「うちの妻は毎日呼吸してくれるんですよ」と言ったかのようにきょとんとされるなど、未だに性差を感じるシーンはある。

しかしそれでも昔に比べれば家事負担は平均化されており、我が家のようについに負担が男女逆転した時代の最先端家庭も存在する。

つまり私は家事負担の話になると十字架に磔にされ、顔面にカラーボールや高圧洗浄機を当てられる側の人間なので言えることは何もない。

だが戦う相手を間違えてもいけない。

痴漢問題に対する話し合いがいつの間にか痴漢撲滅派と痴漢冤罪絶許勢の殴り合いと化し、肝心の痴漢が野放しになっているように、家事も夫VS妻、製氷機に水補充人VS必要な分だけ氷ほじり野郎の構図として戦っても家庭に平和は永遠に訪れない。

倒すべきは家族やパートナーではなく「家事」である、そこを見誤ると冗談ではなく家庭とシンクに積んだ洗っていない皿が崩壊する。

目指すは家事を倒し、なおかつお互い勝者になることだ。つまり家事は「誰もやらない」がベストである。

服は一度着たら捨てる、もしくは全裸に服の絵を描き、自分の家がゴミ屋敷なのではなく、ゴミの屋敷に自分が居候させてもらっているという謙虚な姿勢を持ち、水道水のロックは諦めろ、という意味ではない。家事は自分たち以外に任せればよいのだ。

実際、石油王とかは家事は使用人に任せ、自分たちはサッシの黒ずみをつまようじで取るなど楽しいところだけやって家庭円満なのだろう。

一般家庭でそれをやるのは無理だが、家事を「家電」に任せ、人間の負担を極力減らすことは可能である。

配線不要のコンパクト食洗機は「置けない勢」を救う?

  • 食洗機の味、一度知ったら戻れない……?

人間の負担を大きく減らした家電の代表といえばやはり「食洗機」だろう。これは「家のドア幅よりでかい食洗機を買ってしまった」もしくは「食器が食洗機よりでかい」など、使用不可レベルのものを選んでしまった人間以外は買って後悔したという声をあまり聞かない。

次点としてドラム式洗濯機があるが、うちのドラム式洗濯機は、ドラム式最大の売りである乾燥機能が死んでしまい、4時間かけて洗濯物を生乾きにしてくれる装置と化したため、結局毎回外に干しているので恩恵をあまり受けられていない。

だが食洗機は本当に便利である。食器を入れて洗剤を入れスイッチを押すのと、洗った食器を棚に戻すところは未だに人力だがそれ以外はやってくれる。

また何かと手でやることを尊ぶ日本だが、手洗いよりも食洗機がやった方がキレイである。

特に私のようなタイプに食器を洗わせると「サッと湯にくぐらせただけ」という高級しゃぶしゃぶムーブで「洗った」と言い張るため、衛生的にも食洗機は導入した方が良い。

しかし、これだけ買って損なしと言われ続けている食洗機だが、未だに新規導入時にはひと悶着ある家庭も少なくないようだ。

これは「食器ぐらい手で洗え」という怠けの問題ではなく、値段、置き場、そして水道の配線工事が必要で賃貸に置くのは難しいなどの問題があるからだ。

食洗機はビルトインタイプで20万前後、据え置きタイプでも10万前後と割と高価であり、必須とも言えない点から「手で洗えるものをこんな大金を払ってまで楽しようとしやがって」という苛立ちが発生し、食器ぐらい発言につながってしまうのかもしれない。

しかし、その発言によって起こった殴り合いによる複雑骨折や割れた皿などの損失は、さっさと食洗機を買っていれば発生しなかったことであり、長い目で見ればやはり食洗機は家庭にとってプラスである。

だがそんな、コスト、場所、工事の問題で食洗機を断念してきた層をターゲットにした商品も出始めており、パナソニックがA4コピー用紙程度の場所があれば設置でき、工事も不要の単身者向け食洗機「SOLOTA」を近々発売予定である。

1人分の食器ぐらい洗え、という声も聞こえてきそうだが、1人だからこそ永遠に洗わずそこから新しい生命体群が爆誕し、単身者でなくなってしまう可能性があるのだ。

金額も38,000円程度と食洗機としてはかなり安価であり、さらにサブスクでのお試しも対応するという。

しかし、お試しと言っても一度食洗機の味を知ったら、戻れる気がしない。結局購入し、さらに家族が増えたら高価な大容量の食洗機を購入することになると思った方が良い。

もし、お試しをやってみたいという人がいたら、軽い気持ちではなく「食洗機」という名のドラッグに挑むつもりで申し込んでほしい。