去年からウクライナ侵攻など、世界情勢の影響から、日本でも未曽有の値上げラッシュが続いている。

今日もニュースで「近々7,000商品が値上げ」と報道されていたが、まだ値上げされてないものが7,000個もあったことに驚きである。

一方で正月需要が終わって「車エビ」などが値下げされているらしいが、元々単価が高めな商品なので「成城石井全品5%オフ」と言われているようなものであまり盛り上がれない、ザ・ビッグ5パーオフなら軽トラで向かう。

しかし物価が軒並み上昇しているのに対し、給料が上がったという話は聞いたことがないし私の原稿料も全く上がらない。

つまり、今まで収入から支出を差し引くと「無」が誕生していた人間は、この値上げラッシュで「-」が生成されてしまう可能性が高いということだ。ずいぶん画数が減ってしまった、湯婆婆だってもう少し手加減してくれたはずである。

画数を戻そうと思ったら生活水準を下げるか仕事を増やして収入を上げるしかなく、どちらも国民の心身に負担をかける。

よくこれで暴動が起きないなと思うが、おそらく国民の大多数が「なぜみんな暴動を起こさないのか」と思っているだけだから起こらないのだろう。

しかし暴れて問題が解決するとは思えないしむしろ余計腹が減る。Twitterでの集団暴行は得意だが、なかなかリアル暴力に出ないのが日本人の良いところだ。

私は、昔から「値段を見ずにいらないものを買う」という、江戸っ子から粋といなせを奪ったような生活をしているため、あまり値上げを体感することがなく、知らないうちに金がなくなるスピードだけが上がっている「ステルス貧困」に陥っているだけで済んでいるが、今まで値段を精査して買い物をしていた人は相当やっていられなくなっているだろう。

ステルスと言えば、値上げにもステルスがある。

値段は据え置きだが、実は量を減らしている実質値上げであり、パっと見値上げとわからないことから、普通の値上げよりもある意味悪質と言われている。

しかし、ステルスと言いながら全然隠れていないのがステルス値上げであり、値段の上昇には気づかない私ですらステルス値上げには気づく。

特にスーパーで売っているコーラなど、久しぶりに会った親よりも小さくなっていた。幸い私もコーラの炭酸に本気でえづく年になっているため、そこまでコーラを常飲してはいないが、水よりコーラを飲んでいた高校時代にこの値上げが来たら暴動を起こしていたと思う。

庶民の胃袋を支えた「薄皮パン」までも実質値上げに

  • 薄皮パンがまた5個一組になる日を信じて……

食が細くなる一方の中年ですらこの値上げは辛いのだから、食べ盛りの子供がいる家庭はさぞつらいだろう。

そんな家庭にとって「安くて量が多い」食品は心強い味方だが、そんな頼れる仲間にも値上げの波は容赦せず、ついに山崎製パンの「薄皮つぶあんぱん」が倒されてしまった。(編集注:薄皮シリーズ、つぶあんぱんのみならず全品で実質値上げが行われました)

「薄皮つぶあんぱんは四天王最弱」と強がりたいところだが、家庭によっては確実に最強クラスだったのではないか。

薄皮つぶあんぱんは、その名の通りあんぱんだが「薄皮」と謳っている通り、皮が薄く、あんこの量が非常に多いのが特徴である。

そんなあんぱんが5個入って150円前後という、非常に高コスパで人気の高いパンだったため、その薄皮つぶあんぱんが5個から4個に減るという発表がされた時は冗談ではなく激震が走った。

かなりダイナミックな実質値上げだが、多くの商品が値上げを宣言しないままステルス値上げをする中、1個を少しずつ小さくしたり、薄皮をやや厚皮にしたりしてやりすごそうとせず、堂々と1個減らすというのはある意味潔く「玉砕」と言っても良い。

しかし愛好者の間での嘆きの声は大きく「力石が死んだときもこんな感じだったのだろうか」というお通夜ムードになってしまっていた。

そんなわけですでに売り場では4個になった薄皮つぶあんぱんが売られているようだが、実はこの話には続報がある。

このニュースに続報がでること自体驚きだ、いくらなんでも3個になるのは早すぎる。

だが幸いにも悲報というわけではない。一般ユーザーの調べにより、5個入りと4個入りの全体重量は変わっていないという説が発表されたのである。

メーカーの見解によると、確かにあんこの量を増やしており1個当たり10%重くなったのは事実らしいが、パン自体は小さくなっているため、やはり5個入りのときより全体量は減っているようだ。しかし単純に1個減らされただけでもないということである。

実質値上げを隠さず、そして陰ながら消費者が損をしないように企業努力しているところが渋い。

今回の値上げラッシュは消費者にとってもつらいが、企業側にとっても苦渋の値上げである場合が多く、両方厳しい状態である。

こんな時だからこそ、消えて欲しくない商品は積極的に買い支えるべきなのかもしれない。

薄皮つぶあんぱんも、5個目の魂を受け継いだ4個のあんぱんたちが頑張っている。「4個になったから買わない」ではなく「3個にならないために買う」「5個目を蘇生させるために買う」という気持ちで薄皮つぶあんぱんと接していきたい。