2020年で3年目を迎える「クラロワリーグ 世界一決定戦」が12月5日、6日に中国・上海にて開催されました。コロナ禍の影響により無観客のオンライン対戦です。出場チーム8チーム中、上海を訪れたのは、中国を拠点とするNova EsportsとW.EDGMの2チームのみ。それ以外の、6チームは現地から参加しました。

  • クラロワリーグ 世界一決定戦

    上海でのオフライン大会の開催も模索していましたが、結局はオンライン開催に。会場が例年通り豪華な作りなだけに、選手や観客が訪れることができなかったのは残念

「クラロワリーグ 世界一決定戦」に参加するチームは、「クラロワリーグ イースト」と「クラロワリーグ ウエスト」で、それぞれリーグ戦の成績上位6チームが参加できる「プレイオフ」で勝ち上がった上位4チームずつ。「クラロワリーグ イースト」からは、1位「Nova Esports」、2位「PONOS」、3位「W.EDGM」、4位「FAV gaming」、「クラロワリーグ ウエスト」からは、1位「Team Queso」、2位「SK Gaming」、3位「Tribe Gaming」、4位「paiN Gaming」の計8チームが世界一決定戦へ出場しました。

「クラロワリーグ 世界一決定戦」はトーナメント形式。イースト1位とウエスト4位、イースト2位とウエスト3位、イースト3位とウエスト2位、イースト4位とウエスト1位が初戦で戦います。

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    クラロワリーグ 世界一決定戦に出場する8チーム。左がクラロワリーグ イースト、右がクラロワリーグ ウエストの各4チーム

対戦方式は、ペア戦の2v2、シングル団体勝ち抜き戦のKOH(キング・オブ・ザ・ヒル)、シングル戦の1v1を3試合、計5試合行います。先に3勝したチームが勝ち抜け。KOHのみ1ゲーム先取で行われますが、2v2と1v1は2ゲーム先取。また、1v1の1セット目と3セット目には同じ選手が出場できるので、KOHで3連勝、1v1で2勝すれば、絶対的エース1人でも勝ち抜くことができます。

大会はこのルールが見事にはまり、Team QuesoのエースRUBEN選手が八面六臂の活躍を見せました。

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    試合形式は3勝勝ち抜けのBO5方式。KOHは3対3のチーム対抗の勝ち抜き戦

日本チームの初戦は、FAV gamingがTeam Quesoと対戦し、PONOSがTribe Gamingと対戦しました。FAV gamingは、Jack・Kitassyanペアが2v2を落とすものの、KOHはエースHajime選手が3連勝の活躍で勝利します。

残すは1v1ですが、1v1の1戦目はKOHでも実現したRUBEN選手対Hajime選手のエース対決。ここはRUBEN選手が勝利し、Team Quesoが初戦突破にリーチをかけます。

1v1の2戦目はJack選手対iAMJP選手の対戦。Jack選手が2-0でiAMJP選手を下し、イーブンにするものの、3度めとなるHajime選手対RUBEN選手の最終決戦でRUBEN選手が勝利し、FAV gamingの世界一決定戦は終了しました。

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    クラロワリーグ イーストのリーグ戦では6位ながらプレイオフで勝ち上がり、4位通過で世界一決定戦に出場したFAV gaming

PONOSは、2v2、KOH、1v1と3連勝し、初戦突破を決めます。世界大会での初戦突破は、2018年に日本で開催した世界一決定戦以来。準決勝はFAV gamingを倒したTeam Quesoとの対戦です。

KOHはRUBEN選手を温存したままTeam Quesoが勝利。1v1の1戦目で、RUBEN選手対Mugi選手のエース対決をRUBEN選手がもぎ取り、2戦目は、KK選手対iAMJP選手による対戦では、KK選手が勝利します。

FAV gaming対Team Quesoと同じく、最後の最後で両チームのエースの1v1にゆだねられます。結果は、フルセットフルカウントまでもつれ込むも、RUBEN選手が勝利し、PONOSは敗れました。

Team Quesoは、RUBEN選手の安定感が光ります。もはや、2v2かKOHのどちらかを取れば、チームの勝利が確定するといえるほど。

PONOSは、3位決定戦でpaiN Gamingと対戦し、2v2を落とすも、KOHではリーチをかけられてからMugi選手が2連勝で獲得。1v1もMugi選手が1戦目と3戦目に登場し、どちらも勝利して、初の3位に輝きました。PONOSもTeam Quesoと同様に絶対的エースであるMugi選手のフル回転によって、世界3位を引き寄せた印象です。

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    初戦と3位決定戦で勝利し、見事世界3位に輝いたPONOS

決勝戦は、Team QuesoとSK Gamingのクラロワリーグ ウエスト対決。SK Gamingは、2v2とKOHをとり、絶対的な優位性を取りながら、1v1で3連敗を喫してしまいます。ここでもRUBEN選手の活躍が光り、Team Quesoが優勝を決めました。

奇しくも、SK Gamingはクラロワリーグウエストではリーグ戦1位抜けをしていながら、プレイオフ決勝でTeam Quesoに敗れ、リーグ2位で世界一決定戦に出場しています。そしてまた、世界一決定戦の決勝でも同じチームに敗北する悔しい結果となりました。

SK Gamingは、選手層が厚く、Team QuesoのようにRUBEN選手のワンマンチームではありません。それでも、Morten選手というエースがいます。決勝では、そのエース・Morten選手を1v1の最後まで温存していたのが気になりました。

エースであれば、1v1では1、3戦目に出場し、2度RUBEN選手と対戦するのが定石。もしくは、2v2、KOHと勝利にリーチをかけており、1v1は1勝すればいい状態だったので、1、3戦目に出場するであろうRUBEN選手との対決を避け、4戦目にMorten選手が出場する手もありました。なにかチーム内での事情があったり、監督の思惑があったとは思いますが、1v1の3戦は戦略的な悪手で負けたという印象が残りました。

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    5戦目に実現したRUBEN選手対Morten選手の対決。RUBEN選手が勝利し、優勝を決めました

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    チームを優勝に導き、MVPを獲得したTeam QuesoのRUBEN選手

何はともあれ、これで2020年のクラロワリーグは終了。今回は、コロナ禍により大会の開催自体が危ぶまれたうえ、2019年の「クラロワリーグ アジア」「クラロワリーグ チャイナ」「クラロワリーグ ウエスト」の体制から、「クラロワリーグ アジア」「クラロワリーグ チャイナ」が「クラロワリーグ イースト」に吸収されることで、シュリンクしたイメージがあったので、リーグの存続すら心配になるほどでした。

しかし、チーム数が減ったことで、選手やチームが厳選され、例年よりも質の高い試合が観られたと感じます。そのなかで、日本チームはHajime選手、Mugi選手という新人選手が、FAV gaming、PONOS両チームのエースとして活躍したのも、クラロワリーグの今後の期待感を高めてくれました。

2021年は、コロナ禍の状況によるものの、2019年と同様のオフライン大会と2020年以上の質の高い試合が観られることを楽しみにしています。

『クラッシュ・ロワイヤル』は、高校生対抗のeスポーツ大会「STAGE:0」の公式タイトルでもあります。なので、高校生が目指す先としての存在を示してほしいところ。できれば、クラロワリーグの下部リーグとして、クラロワリーグジャパンが設立され、狭き門となったプロリーグの下支えをしてくれればと願うばかりです。