2年目に突入したオンラインストラテジーゲーム『クラッシュ・ロワイヤル』のプロリーグ「クラロワリーグ アジア」。2019年のシーズン1から、どのチームも監督を置かなければならないというレギュレーションが加わり、新たに監督として活動する選手が増えました。そこで、リーグの開催地韓国で、シーズン2が始まる前日に日本チームの監督4人に集まってもらい、「監督の仕事や役割」について、座談会方式でざっくばらんに話をしていただきました。選手が注目されがちなeスポーツですが、今回は監督の苦労や苦悩をお伝えします。

【参加者】
フチ監督(以下、フチ):PONOS所属。2018年までは選手として活躍。2017年の「クラロワ日本一決定戦」で優勝し、「クラロワリーグ 世界一決定戦」には2017年、2018年と2年連続で出場した。選手兼監督だったみかん坊や選手に替わって、2019年から監督専任となった。

ルイス監督(以下、ルイス):DetonatioN Gaming所属。「クラロワリーグ アジア 2018」で選手兼監督を務め、「クラロワリーグ アジア 2019」シーズン1では選手として活躍。シーズン2から監督専任となった。

おこめちん監督(以下、おこめ):FAV gaming所属。唯一プロ選手未経験の監督。「クラロワリーグ アジア 2018」から監督を続けている。本業は編集者。

ゼロス監督(以下、ゼロス):GameWith所属。2018年までは選手として活躍し、「クラロワリーグ アジア 2019」のシーズン1より監督に就任した。

  • クラロワチーム監督座談会

    クラロワチーム監督座談会の様子。「クラロワリーグ アジア 2019」シーズン2の開幕前日に集まっていただきました

――今回はシーズン2の開幕直前にお集まりいただき、ありがとうございます。早速ですが、2019年からチームに必須になった「監督」の役割や仕事について教えてください。

フチ:時間を作ることですね。選手にはできるだけ練習をしてほしいので、韓国滞在時の料理は私がすべて担当しています。選手に料理をさせないのは、時間の確保だけでなく、ケガのリスクを減らす意味もあります。以前は、チームオーダーも自分だけで決めていましたが、今はミーティングで決めるようになって、私自身の仕事も効率化できました。

  • クラロワチーム監督座談会

    PONOSのフチ監督

ルイス:前シーズンは選手だったんですけど、うちのチームにはアナリストがいなかったので、その役割も担っていました。監督になってから、アナリストの役割に集中することができ、選手の負担も減っていますし、自分の負担も減ったと思います。やはり、選手はプレイに集中してほしいですからね。また、選手に不自由を感じさせない関係作りをしていきたいと思っています。

  • クラロワチーム監督座談会

    DetonatioN Gamingのルイス監督

おこめ:今回の座談会メンバーのなかでは監督歴が一番長いのですが、唯一プロ出身ではないので、スキル面のアドバイスについては、ほかの監督に比べて不利かもしれません。ただ、年齢が上であったり、社会人経験があったりするので、人の面倒を見ることに関しては自信があります。監督の業務というか、目標としては、自分が抜けても強くなれるようなチーム作りをしています。

  • クラロワチーム監督座談会

    FAV gamingのおこめちん監督

フチ:おこめ監督の話めっちゃいい。やりなおしたい(笑)。

ゼロス:私は、料理や練習のスケジュール管理をしています。料理は体調管理の目的もあるので、栄養バランスなどもしっかり考えて作っています。

  • クラロワチーム監督座談会

    GameWithのゼロス監督

フチ:試合中はタイムアウトが出番。戦略的なアドバイスもそうですが、どちらかというと空気を換えるためにタイムアウトを取ることが多いですね。なので、タイミングが重要です。

おこめ:タイムアウトでタイミングを失敗したことはある?

フチ:場当たり的にやったときは失敗しがちですね。

おこめ:私がタイムアウトを取るときは、ほとんど「勘」です。基本的に、ほかのチームは負けているときにタイムアウトをとることが多いのですが、場合によっては、勝ったあとにタイムアウトを取ることもあります。

――監督としてシーズン1を過ごしてみた感想はいかがですか。

フチ:シーズン1は無我夢中でしたね。シーズン2ではもっとやれるのではと、自分に期待しています。初めての監督ということもあったので、選手目線でやるか、それとも選手とは距離をとるか悩みました。最初は選手寄りだったんですけど、徐々に割り切るようにななって、今では選手と接する機会を減らして、効率的に仕事をするようにしています。効率よくやらないと、私の体調が悪くなってしまうので。

おこめ:私が初めて監督に就任したのは2018年。その1年だけでも多くの学びがありました。2019年のシーズン1では、去年の反省を活かそうと挑んだのですが、あまりいい結果を出すことができませんでした。ほかの日本チームは韓国に滞在していましたが、FAVだけ試合のたびに日本から渡航していたので、選手にも負担をかけてしまったと思います。私自身も辛かったですね。シーズン2では韓国に滞在できるようになったので、だいぶラクになりました。

ゼロス:チームとしては、序盤から勝ち星をあげられましたし、準優勝という結果を残せました。なので手ごたえはありましたね。ただシーズン2は、ほかのチームも強化してくると思うので、同じことをやっては勝てないかもしれません。いろいろ体制を変えていく予定です。

――監督の役割には、コーチングやまとめ役、選手育成など多岐にわたると思いますが、どれを重視して、どのような取り組みを実施していますか。

フチ:長くプロチームでやっていると、メンバーの入れ替えは必ず起こるので、新メンバーがチームにとけこめるかが重要になってくると思います。そのため、新加入の選手とは対面でしっかり話して、ひととなりを理解したうえで、チームの選手同士の相性を考えるようにしています。練習については、私がコーチングするより、選手で話し合えることが重要ではないでしょうか。

ルイス:私はほかの監督に比べて選手歴が長いので、選手に寄り添う点では有利だと思います。選手個人の悩みを聞くことができるので、そこはおこめ監督にはない強みかと。

おこめ:ご指名ありがとうございます。確かにルイス監督とは対極かもしれません。私自身は、監督と選手は馴れ合わず、一定の距離感を維持することが大事だとシーズン1で学びました。選手に近すぎる弊害として、言葉が響かなくなることがあると思います。eスポーツのなかでもクラロワリーグって、選手が若いじゃないですか。当然、社会人経験の少ない人が多いので、社会常識など、選手をやめても恥をかかないような一般教養を教えていくことを考えています。

フチ・ルイス:ありがとうございます!

ゼロス:この順番嫌だな(笑)。私もおこめ監督に近い考え方ですね。クラロワリーグ アジアに参加している選手は、ほかのeスポーツに比べかなり若く、あまり世間を知らない選手も多いので、そのへんをフォローしています。ゲームに関しては、練習時間の管理くらいですね。

ルイス:おこめ監督とは両極の位置にいますが、そういう監督のあり方もあるんだなと勉強になりました。ありがとうございます。

フチ:「馴れ合い」――。響く言葉ですね。ちゃんとしたチームにならないのはわかりみが深いです。ありがとうございます。

ゼロス:選手が希望するオーダーと監督の考えたオーダーが違ったときはどうしますか。

おこめ:必ず話を聞くようにしています。どうしてそういうオーダーにしたのか、その理由を考慮して自分の考えたオーダーと照らし合わせます。そこで、選手の話が理に適っており、勝率が上がると思えれば、選手の意見を聞きます。ところで、オーダーっていつ決めてますか? 選手の調子を見極めるのが重要なので、FAVは前日に決めています。まぁ、バリエーションが少ないことも関係してると思いますが(※)。
※「クラロワリーグ アジア 2019」シーズン1でFAV gamingは、ほかのチームよりも選手が少ない4人体制で編成していました。

フチ:調子によってオーダーを決めるのはよくわかります。ただ、自分は、もう少し前に決めたいですね。急に決まるとその都度話し合いが発生するじゃないですか。体力的にもキツいですし、時間的にももったいないので。

おこめ:じゃあ、明日のオーダーはもう決めました? まあ、だいたい読めますよね。明日はシーズン2の開幕戦なので、初戦は勝ちたいから、2v2はRADとライキで、1v1はみかんかな。

フチ:うちのシングルは壊滅的なので。というか、なんと答えればよいのか(笑)。

ルイス・おこめ・ゼロス:「はい」か「いいえ」で答えればいいんだよ。

フチ:いや、おかしい、おかしい。言うわけない。

おこめ:明日の試合で、オーダーがどうなっているか楽しみだね。