CyberZ、エイベックス・エンタテインメント、テレビ朝日は3月15日に、eスポーツの大会をVR空間で体験する「V-RAGE」β版をオープン。新型コロナウイルスの影響で無観客試合となった「RAGE Shadowverse 2020 Spring GRAND FINALS」を、VR会場にて観戦してきました。
多彩なアクションがイベントに参加する臨場感を提供
「V-RAGE」は、クラスター社のバーチャルプラットフォーム「Cluster」を使用したイベント空間。Clusterは、バーチャル空間に設置されたイベント会場に遊びに行けるサービスで、これまでにも、バーチャルYouTuberのVRライブや、企業のカンファレンスなどが行われてきました。
スマートフォンやPCと接続したディスプレイ上での閲覧もできますが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着すれば、VRの世界に飛び込んだような没入感を味わえます。人によっては、「セカンドライフ」や「PS HOMEのイベント特化型」のイメージといえば理解しやすいかもしれません。若い世代には、『ソード・アート・オンライン』のナーブギアを使った世界観でしょうか。
「V-RAGE」内では、アバターを歩かせて移動します。行きたい場所へジャンプできるわけではないので、もどかしさはありますが、“会場に来ている感”が増していい感じでした。また、アバターは「拍手」や「サイリウム」などのアクションを実行できます。ただボーっと観戦するのではなく、イベントに参加している臨場感を味わえるでしょう。
PC版ではまだ実装されていませんでしたが、スマホ版は画面上にチャットが流れるようになっていました。視聴者のコメントを見ながら観戦できる仕様です。このあたりは、普通の動画配信を観つつ、会場にいる臨場感も体験できるという、「いいとこどり」なポイントでしょう。
VR版では、コントローラーを使ったアクションも。先述した「サイリウム」の動作は、アバターの目の前にサイリウムアイコンが登場するだけでしたが、コントローラーを使えば実際にサイリウムを手に持って、自由に振ることができました。ちなみに、VR版は「VIVE」や「oculus」などのHMDに対応。PS VRは2020年内に対応する予定です。
Clusterでは、サーバー1つにつき50人まで入室可能。同じサーバーにいる場合、ほかのアバターの動きがわかります。現時点では最大200サーバーまでの同時接続できるそうなので、最大で1万人が同時にイベントに参加できる計算です。
また、指定のURLを共有することで、知り合い同士で同じ専用のサーバーに入ることもできます。この専用サーバーは、今後音声チャット機能を実装する予定。よりVR空間でのコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。
遠方開催でもVRなら会場の臨場感を味わえる
今回の「V-RAGE」では、eスポーツイベント「RAGE Shadowverse 2020 Spring GRAND FINALS」を開催。会場内には大きなスクリーンで試合の様子を映していました。試合を観るだけであれば、正直、通常の動画配信のほうが観やすいでしょう。しかし、VR空間でほかのアバターと一緒に観戦することによる、“現場感”や“盛り上がりの共有”は、動画配信の比ではありません。
「V-RAGE」は、一度体験すると、VRに対する印象がガラリと変わります。「百聞は一見にしかず」をまさに体現しているので、ぜひとも体験してほしいところ。写真や動画などでもイメージをつかめると思います。
今回の「V-RAGE」は、コロナウイルスによる無観客試合の対応だったかもしれませんが、観客を集めた会場でのイベントとともに、「V-RAGE」でもイベントを実施することが、本領といえるのではないでしょうか。なぜならば、開催地近辺に住んでいるファンはリアルの会場に足を運び、遠方のファンはVR会場で現場に近い熱を味わうという選択肢を提供できるからです。
「V-RAGE」は、夏から秋を目処に本格始動する予定。イベント限定で発売したアバター用衣装を後日リアルでも郵送してくれたり、「V-RAGE」内に設置したゲームで遊べるようになったりと、正式ローンチ時にはさらなる機能が追加されるとのことです。
すでにVTuberのライブイベントが成功していることもあり、eスポーツに限らず、新たなイベント観戦、参加手段として、定着する可能性は大いに秘めているでしょう。