仕事をするには自宅の仕事場がもっとも効率が高い。大げさかもしれないが、外出先でノートPCを使うのに比べて倍くらいはかどるイメージだ。マルチモニタ環境というのもあるが、良質なキーボードのおかげというのも大きい。

昨今のノートPCは、薄型軽量化のあおりをうけて、キーボードの打鍵感が多少犠牲になっている。いわゆる浮き石型といわれるアイソレーション式のものが多く、キーストロークも浅い。しっかり打鍵しないと誤入力が多くなってしまう。指先に常に緊張感がつきまとう。各社各様に、その打鍵感の向上に工夫をこらしているが、どうしたって高級キーボードの打鍵感には及ばないというのが正直な感想だ。

自宅の仕事場で使っているのは東プレのREALFORCEシリーズの製品「REALFORCE108UH」だ。発売直後に購入したのですでに10年近く使っていることになるがビクともしていない。このキーボードでいったい何文字くらい原稿を書いてきただろうか。静電容量方式のキーボードで耐久性にも優れているそうだが、その売り文句通りでさすがだと思う。

HHKBからBluetoot対応の白色モデルが登場

HHKBのBluetoothモデル(白色)

その静電容量方式のキータッチをコンパクトキーボードで実現し、多くの愛好者に支持されている製品にPFUのHappy Hakking Keyboad(HHKB)がある。PFUはスキャナ製品のベストセラー「ScanSnap」のメーカーとしても知られている。

HHKBは、2016年ついにBluetooth対応機(墨色)が発売されたが、今回、待望の白色モデルが追加された。7月14日からの発売で、すでに予約の受付が始まっている。

有線版と同様に、キーピッチもフルキーボードと遜色がない秀逸なキーボードだ。さすがにタッチタイプはそれなりにマスターしていて文字の入力はキートップを見なくても大丈夫だが、キーボードで文字入力をするようになって四半世紀がたつものの、フルキー最上段の数字や記号を入力するときには未だにどうしてもキートップをチラッと見てしまう。特に「7」と「8」などは、キートップを見ないで入力するのは難しい。だから、キートップを見ることはほとんどないけれども、一瞥しただけでキーがわかることは重要で、そのためにも白いキートップに黒の刻印が望ましい。そういう意味で、白色製品の追加は大歓迎だ。

押下圧45gは、自宅で使っているREALFORCEと同じなのでタイプしてもまったく違和感がない。だから少し長めの出張時にはスーツケースの中に24型モニタとともにHHKBを忍ばせて持参する。自宅の仕事場との落差を少しでも少なくするためだ。モバイル的にキーボードだけで530gというHHKBはかなりの重量になるが、自宅にいるときとほとんど同じ打鍵感が得られるので、これがやめられない。それに白が追加されてもはや盤石といってもいい。

キーボードに少しの贅沢を、そして極上の打鍵感を

キーボードは長持ちする。電子デバイスで10年以上使ってもまったく平気というのは珍しい部類に入るのではないだろうか。マウスだってそんなに耐久性はない。最近は、iPadにキーボードを接続してPC代わりに使うというスタイルがトレンドのようだが、出先はともかく自宅では、キーボードにちょっと贅沢をすることを考えてみてはどうだろう。文字を入力することが楽しくなるに違いないし、きっと仕事だってはかどる。その極上の打鍵感をぜひ体験してほしい。iPadは数年で買い換えることになっても、キーボードはずっと使えるコストパフォーマンスの高い周辺機器だ。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)