5月27日に発売されたIO Interactive最新タイトル『007 ファースト・ライト』。極めて高い自由度で大作フランチャイズとなった、『Hitman』シリーズの開発スタジオが手掛ける新作ゲームタイトルで、2020年の発表から2025年6月のゲームプレイ公開、2026年1月のデモ開催を経てようやく正式リリースにこぎつけた形です。

NVIDIAも開発・プロモーションに一枚噛んでいるようで、今年1月にアメリカで開催されたデモではNVIDIAと共同開催するような形が取られていました。今回同社から正式リリースに先駆けて外部レビュー用の環境にアクセスする機会を得られたので、この記事で取り扱おうと思います。

忙しい方向けにまとめておくと、Hitmanシリーズが実現していた自由度をそのままに遊びやすく整理されている印象。昨今の大作ゲームにしてはCPU負荷が小さく、便利な描画設定を備えて快適に遊べるよう手が尽くされています。

  • 『007 ファースト・ライト』をNVIDIA DLSS 4で遊ぶ。『Hitman』開発スタジオがおくる版権コラボ

    『007 ファースト・ライト』をNVIDIA DLSS 4で遊ぶ。『Hitman』開発スタジオがおくる版権コラボ

取材協力:NVIDIA

映画だけじゃない『007』フランチャイズ。FPSゲーム興隆の祖でもある

『007 ファースト・ライト』は、007フランチャイズにおいては『007 レジェンド』から14年ぶりの新作ゲームタイトルです。今でこそ映画のイメージがかなり強い007シリーズですが、古くはゲームにおいてもNINTENDO 64向けに発売された『ゴールデンアイ 007』がとても著名。FPS視点かつ映画のような演出をデザインに導入したゲーム性や、最大4人で遊べた対戦モードが大きく人気を博し、1995年に公開された映画『007/ゴールデンアイ』の興行にまで強く影響を与えたといいます。

一方、今回ゲームとして開発を務めたIO Interactiveは『Hitman』シリーズを手掛けてきたスタジオです。同シリーズはターゲット排除のためにあらゆる手段を講じられる高い自由度が特徴で、状況が戦場に限らないことも他のステルスゲームとは一線を画していました。今では『HITMAN』『HITMAN 2』『HITMAN 3』が『Hitman World of Assassination』として統合され、遊びやすく整理されている点もポイントです。

ちなみに、『007 ファースト・ライト』自体は過去のジェームズ・ボンド作品を直接参照しない完全オリジナル作品。最近でいえば、2006年公開の『カジノ・ロワイヤル』からダニエル・クレイグが演じてきた007に詳しくなくても問題なく楽しめるはずです。墜落した輸送ヘリコプターから命からがら脱出してきたにもかかわらず軽口を叩き、MI6の指揮担当者と自信過剰なやり取りを交わすチュートリアルでは、これまでの“ジェームズ・ボンド”観をいったん打破しようという思想が感じられました。

  • 今作のボンド。パトリック・ギブソンが演じています

    今作のボンド。パトリック・ギブソンが演じています

  • 颯爽と登場した『007/カジノ・ロワイヤル』でのダニエル・クレイグとはとても対照的

    颯爽と登場した『007/カジノ・ロワイヤル』でのダニエル・クレイグとはとても対照的

  • 低体温症の危険がすぐそこに迫っているとは思えない態度

    低体温症の危険がすぐそこに迫っているとは思えない態度

  • Amazon MGM StudioとIO Interactiveのコラボレーションです

    Amazon MGM StudioとIO Interactiveのコラボレーションです

箱庭ステージのギミックを駆使してゆっくり進行するHitmanとは異なり、流れるように大きく転換していくシチュエーションが本当に映画のよう。今日日あまり見なくなってきたかんたんなQTEが挟まりますが、特別邪魔でもないのでよいでしょう。長尺の会話シーンを漫然と垂れ流すよりもインタラクティブで、マルタでの訓練フェーズはとても映画らしさを感じられるチュートリアルでした。

  • 007のゲームをプレイしていて007みたいだなあと思える贅沢さ

    007のゲームをプレイしていて007みたいだなあと思える贅沢さ

  • たまにQTEが用意されているのでぼんやり眺めていると失敗します

    たまにQTEが用意されているのでぼんやり眺めていると失敗します

詳細にゲームの内容に触れることはしませんが、007ではお馴染みの「M」や「Q」、「マネーペニー」がもちろん登場します。車両訓練には年季の入ったアストンマーチンDBSが唸りを上げ、ライカ製カメラが衝撃波を発射。腕時計はこれでもかとクローズアップされ、ケースにはOMEGAのブランドロゴが燦然と輝きます。

  • アストンマーチンDBS。ぶつけました

    アストンマーチンDBS。ぶつけました

  • ライカQ。ドイツ製メーカーですが、コラボモデルの発売などで縁があるメーカーです

    ライカQ。ドイツ製メーカーですが、コラボモデルの発売などで縁があるメーカーです

  • ボンド・ウォッチといえばオメガ

    ボンド・ウォッチといえばオメガ

ちなみにこのボンド・ウォッチ、『007 ファースト・ライト』でのコラボレーションとしてオメガ公式サイトには特設ページが公開されています。好みのデザインのNATOバンドを選べて嬉しいシーンですが、アップになる場面で盤面をよく見るとクロノグラフ。オメガによると007でボンドが装着するシーマスターとしては初めてのことらしく、ゲームというメディアミックスで行われるものとしてはなかなか挑戦的な試みなのではと感じました。

IO Interactive独自のゲームエンジン「Glacier」を体感

今作のゲームエンジンにはHitmanでも採用されている「Glacier」が継承されています。フォトリアルで高品質なグラフィックをこれでもかと実現し、莫大なオブジェクトをスムーズに描画してゲーム体験を高めている模様。AMD FSRとNVIDIA DLSSが搭載されており、NVIDIA DLSSフレーム生成ではゲーム内で明示して6倍生成に固定することも可能でした。

  • 適応型スーパーサンプリング技術なる項目で設定可能。FSRは2.0との記載があります

    適応型スーパーサンプリング技術なる項目で設定可能。FSRは2.0との記載があります

  • DLSSフレーム生成は倍率を変更可能。ほとんどの場合6倍も必要ないので、2倍かダイナミックで十分だと思います

    DLSSフレーム生成は倍率を変更可能。ほとんどの場合6倍も必要ないので、2倍かダイナミックで十分だと思います

  • レイトレーシングはまだありません。NVIDIA協賛なのに珍しい

    レイトレーシングはまだありません。NVIDIA協賛なのに珍しい

今回は、最近の新作ゲームで設定の充実が見られる「垂直同期」項目に注目してみましょう。その昔60Hzモニターが主流だった時代、ティアリングを抑制するために活用された技術ですが、昨今でも便利に活用できます。筆者は240Hzモニターを活用しているので、インターバルを2に設定することで垂直同期を導入し、副次的に120fpsへのフレームレート制限としても用いています。

フレーム生成で乱暴にフレームレートを引き上げてティアリングを抑制する手段もありますが、負荷もそれなりに増大しがち。NVIDIA Appでフレームレートを制限するよりも、あれば垂直同期の設定を活用することで適切にリソースを制限し、ゲーム画面をなめらかに眺めつつ消費電力を抑制できます。

  • 垂直同期のインターバル設定から行います

    垂直同期のインターバル設定から行います

  • あらゆるシーンで安定した映像出力が可能。垂直同期をとにかく無効化してしまうのはもったいない

    あらゆるシーンで安定した映像出力が可能。垂直同期をとにかく無効化してしまうのはもったいない

個人的にはレイトレーシング設定の欠落がとても惜しく感じます。作品冒頭の夜間作戦ではライティングがあまりにチープで、やや没入感を損ねるシーンがありました。レイトレーシング・パストレーシング設定の実装はぜひ期待したいところ。

  • 霧の中をタクティカルライトで照らしているにしても今ひとつ

    霧の中をタクティカルライトで照らしているにしても今ひとつ

  • 一方、鏡の表現は異常に忠実です

    一方、鏡の表現は異常に忠実です

なんか気の利いた結び

『Hitman』フランチャイズの盤石な展開から、今回強力な版権を導入してナラティブの強化を図ってきた『007 ファースト・ライト』。昨今大作ゲームを遊んでいるときによく形容される「映画みたいだ」を地で行く演出で没入感を高めつつ、Hitmansシリーズを愛好してきたプレイヤーを取りこぼさない自由度をしっかり維持した作品に仕上がっています。もちろんNVIDIAの関与もあり、GeForce環境でNVIDIA DLSSを有効化した状態でかくつきを感じるシーンはほとんどありませんでした。

なお、NVIDIAでは現在この『007 ファースト・ライト』とのバンドルキャンペーンを実施中。対象のグラフィックスカードや搭載する製品、BTOパソコンを購入することで、PRAGMATAと引き換えられるコードを入手可能です。実施期間は6月10日、引き換えは7月8日まで。既定の数量に達し次第終了します。