富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が、同社の製品に冠してきたFMVブランドをリニューアル、最初の新製品として「FMV Note C 」を発表した。

「FMV」は富士通製パソコンが名乗ってきた「FM」ブランドを発展させるかたちで1993年に誕生したブランドだ。これまでの約30年間「FujitsuのF、マイコンのM、DOS/VとVictoryのV」、「Fujitsu Multimedia Vision」、「Fujitsu PC Materializes your Vision.」など、その意味合いを少しずつ変えながら、ITとその市場の変化に対応してきた。

今、働き方や暮らし方、人々の意識の変化が起こるなかで、それを支えるFMVも、まさに進化のときだとしてブランドリニューアルすることになったという。

  • FCCLのPCブランド「FMV」ロゴが均整のとれたデザインへリニューアル

FMVリニューアル、3つのコンセプトで再定義

ロゴも変わった。FMVの3文字を示す均整のとれたデザインとなり、テーマカラーも白と黒になった。そして誕生したのが「FMV Note C」だ。

同社代表取締役社長の大隈健史氏は、川崎の拠点が企画、営業、開発、サポートを担い、出雲の工場で製造される同社製品が、店頭シェアナンバーワンを継続していることをアピール。今回のブランドリニューアルが、社会の変化に伴った製品の再定義であり、FMVも変わるときがきたとした。

  • FCCL 代表取締役社長の大隈健史氏

リニューアルのコンセプトは3点で、シンプルでわかりやすいこと、時代にあった価値感を提供すること、そして日本の暮らしを応援することだ。それらを満たした上で、この製品が欲しいと感じさせる魅力を兼ね備えた製品を提供するという。

製品名はシリーズ名として、FMV Note、FMV Desktopが定義される。従来製品のFMV LIFEBOOK UHシリーズは、FMV Note Uとしてリブランドされる。今回は、848gを実現した世界最軽量のCopilot+ PCも登場した。634gを誇るムサシとはいかないまでも、意欲的な製品だ。

  • FMV Note U。高い性能とバッテリー駆動時間を兼ね備えた、14型で世界最軽量のCopilot+ PCをうたう

新しいFMVを象徴するNote C。社長直下でゼロから企画

そして、FMV Note Cは、新しいFMVを象徴する製品となる。

大隈氏によれば、若年層はFMVがアクセスできていなかった顧客層に相当するという。その世代に認めてほしいという強い願いが込められている。企画開発プロセスをゼロから見直し、社長直下のプロジェクトとして、20代の若手をプロダクトマネージャーに任命した。

また、ブランドマネージャーには同社の堀志織氏 佐藤快氏が着任、2022年にGOOD CAMPUS LIFE Projectをスタートした。

そして、それに加えて3名の若手が2023年にプロダクトマネージャーに着任し、社長直下で製品作りが始まった。

高校生だったそれまではほとんど興味をもたれない存在のパソコン。なんだか難しいですませてきたムードが強い。なのに大学への入学で突然必要になるのがパソコンだと若い彼らはいう。

それを「心地よい」に対象に感じてもらえるように随所をこだわる。確かにスマホで何でもできるが、それでもがんばる時間を支えるのはパソコンだ。がんばる時間を心地よい時間にするのがNote Cだと彼らは考えた。

  • 若手リーダーのもと、社長直下のプロジェクトで生まれたFMV Note C。PC作業を心地よいものにする目的で開発された

ノイズレスデザインを狙い、静かで快適なパソコンを実現したいと考えた。多くの大学生は買ってから後悔するのがファンの音なのだという。十分な性能を引き出すには冷却が重要だが、でもうるさいのはカンベンというわけだ。

また、大学生はサブディスプレイを使わないということで新規アプリの提供でウィンドウの切り替えなどの便利を実現した。

キャンパスライフ専用のアウターも。PC作業のモヤモヤ解消

現役大学生の調査をするなかで、令和の大学生は忙しいという感覚をいつも抱え、それでも遊びよりも勉強を優先し、アルバイトに時間を使うらしいことがわかった。

大学生はパソコンに対するモヤモヤに正面から向き合っている、そんな令和大学生の「モヤトリアム」を解消する新たな支援ができる企画として、早稲田大学の繊維研究会とキャンパスライフ専用の「CAMPUS WEAR」を共同開発するなどの活動も進行している。

パソコンは差別化が難しい。Windowsパソコンであれば、プロセッサで処理能力が決まり、ディスプレイサイズとメモリの量が作業環境を担う。だからこそ、魅力ある製品となるためにはその「見かけ」は重要だ。

特に、大学生は見かけでパソコンを選ぶといってもいい。それで得られる心地よさ、持っていてうれしい所有感こそが、新生FMV第一弾の狙いだ。だが、あくまでもこれは第一弾である。FMVの刷新は始まったばかりだ。

  • キャンパスライフ専用の「CAMPUS WEAR」。なんと後ろ側に取り外しできる座布団が入っている