富士通クライアントコンピューティング(FCCL)のPC「FMV」が2025年春にリニューアルします。1月16日、都内で開催された発表会で、FCCL代表取締役社長の大隈健史氏がリニューアルの背景を紹介しました。
FMVブランド刷新。コロナ禍を経てPCの立ち位置が変化
ブランドリニューアルの背景には、オンライン化が進む社会の変化があります。新しいFMVのコンセプトは下記の3つ。
- シンプルでわかりやすいこと
- 時代にあった価値観であること
- 日本の暮らしを応援すること
FMVロゴは従来、「V」のみ大きく表記されていましたが、文字が全て同じサイズのロゴへ変更。またブランド名は「よりわかりやすく統一されたものに」と、これまでノートPCは「LIFEBOOK」、デスクトップPCは「ESPRIMO」としてきたブランド名を、ノートPCで「Note」、デスクトップPCで「Desktop」に刷新します。
大隈氏はコロナ禍を経て仕事や授業、行政サービスなどがオンラインへ変化したことで「PCが日本の暮らしや働き方に欠かせないツールへと再定義された」と説明しました。
FMVは1992年に初代デスクトップPC「FMV-DESKPOWER」シリーズを発表。約30年にわたり技術の進化や市場の変化に対応した多くの製品を発表してきており、今回も社会の変化に対応すべくFMVブランドの幅広いラインナップを残しながら、より個性を際立たせていくPCを提供するとしました。
若手社員が企画、“本当に欲しい”を体現した「Note C」
ブランドリニューアルを象徴する新製品が、若年層向けのノートPC「FMV Note C」です。
開発プロセスをゼロから見直し、Z世代の若手社員が「自分達が本当に欲しいものを作る」という社長直下の「FMV From Zeroプロジェクト」により企画開発されました。Note Cのブランドマネージャーも20代の社員が担当しています。
Note Cの開発の指針となったのは「心地よい」というキーワード。若い世代の開発陣が自らの大学生時代を振り返ったり、実際の大学生へヒアリングしたりしてリアルな声を調査する中で、そもそも若年層にとってPCは「これまで不要だったのに、大学で急に必要となる」もので、「基本的には興味がない」もの、という状況が見えてきました。
多くのことをスマホで済ませられるようになったいま、Note Cブランドマネージャーの堀志織氏は「PCを使う時間、頑張る時間を心地よくしたい。そんな思いが詰まったPC」と紹介。いい意味で、これまでのFMVらしからぬデザイン、カラーに仕上がっています。
FMV Note Cの特徴は「アルミ削り出しの洗練された外観」「ファンレス設計で静音駆動」「大学生の使い方に合った独自アプリの搭載」など。
本体は全体の凹凸を徹底的に少なくするため、アルミを削り出して作る切削筐体を採用。排気口も省き、図書館などで使いやすいよう稼働音が静かなファンレス設計としました。若手開発陣の要望を、エンジニアチームが熱解析を繰り返して実現したものだといいます。
カラーは外側が3機種ともシルバー、内側(キーボード面)がエクルベージュ/ミストグリーン/スモークグレーの3色に分かれており、堀氏は「あえてわかりやすい色にしなかったのでどの色を買おうか迷う。色を迷う体験こそが満足感や心地よさの1つだと考えている」と説明しました。
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Note Cの天板。3色ともシルバーを採用
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底面。四隅のゴム脚とネジ以外の凹凸がなくつるりとしている。排気口も省かれた
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左右側面のインタフェースはUSB 3.2 Gen2x2 2基とヘッドホン・ヘッドセット兼用端子のみと割り切った仕様
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閉じた状態からディスプレイを片手で開けられる「ワンハンドオープン」構造とした
搭載アプリは、AIメイクアップアプリ「Umore」や、4つの機能を1クリックで呼び出せる「Float Access」、オンライン会議などの投影資料を自動キャプチャする「Quick Capture」など。
大学生が資料作成やオンライン授業、Web会議などで役立つ独自アプリとなり、中でも新開発の「Float Access」は画面キャプチャ/ウィンドウの最前面固定/クリップボード/ファイル検索を1クリックで呼び出せます。
ファイル検索機能ではAIを活用し、日付やファイル形式、キーワードなどで必要なファイルを高速で検索できるとのこと。またウィンドウの最前面固定は、例えばオンラインでの講義中にブラウザで調べ物をするとき、講義画面を最前面に固定するような使い方を想定しており、堀氏自身も「一番よく使っている機能」だと話しました。
本体の構成はプロセッサがIntel Core Ultra 5 134U、メモリが16GB、ストレージが256GB SSD、ディスプレイが13.3型(1,920×1,200ドット)、インタフェースがUSB 3.2 Gen2x2 2基とヘッドホン・ヘッドセット兼用端子など。顔認証機能も搭載します。
学生を応援する「GOOD CAMPUS LIFE Project」
FMVブランドのリニューアルに加え、FCCLは新たに学生を応援する「GOOD CAMPUS LIFE Project」を立ち上げました。大隈氏は「大学との協業や競争活動を発展させ、学生の価値観を深く理解し、社会や学生を応援する取り組み」と説明します。
第1弾では、大学生にとって身近な「ファッション」の分野からPC作業をサポートすべく、早稲田大学繊維研究会の学生とともにアウター「CUSHION JUMPER(クッションジャンパー)」を開発。
これはPC作業を心地よくする工夫が凝らされたウェアで、袖口が柔らかいクッションになっていたり、背中の下部に着脱式の座布団が内蔵されていたり、収納式フードがネックピローにもなったりします。フードは被ると周囲を適度に遮断できる簡易パーテーションとしても活用でき、集中しやすくなるとしました。
このほか「FMV Note C」の発売にともない、俳優の八木莉可子さんを主演とする全9話のTikTokドラマ「うぇいだけが青春ですか?」を発表。大学生活をがんばる学生の本音や葛藤を描いた作品で、1月18日から順次公開されます。
八木さんは2024年3月に大学を卒業したばかり。大学時代はコロナ禍ながら、勉強に加え友人と遊ぶ時間、キャンパスライフなどすべてが充実した生活となり「総じて学びの期間だった」と振り返りました。Note Cについては撮影中に「私も実際に現場で使わせていただいたがすごく使いやすくて、かわいくて、タイピングがとてもしやすい」と語っていました。
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俳優の八木莉可子さん。TikTokドラマ「うぇいだけが青春ですか?」ではリズムに合わせながら心の声を歌う「ポエトリーディング」に挑戦した。FMVのノートPCは使いやすく見た目も可愛く、大学生におすすめとアピール
14型Copilot+ PCで世界最軽量をうたう「Note U」も登場
FMVシリーズの2025年春モデルとしてはこのほか、Intel Core Ultra 7 258V(開発コード名:Lunar Lake)を搭載したCopilot+ PC「FMV Note U」や、シンプルなデザインで見やすい27型/23.8型の液晶一体型デスクトップPC「FMV Desktop F」も登場しています(詳細はニュース記事をご参照ください)。
FMV Note Uは約848gと軽量な14型ノートPCで、47 TOPSのAI処理プロセッサ(NPU)をCPUに内蔵。マイクロソフトが提供するCopilot+ PC向けのAI機能が使用できます。FMV Desktop FはFMV FシリーズをYouTubeやNetflixなどの動画配信サービスをまとめた視聴アプリと、専用リモコン「Videoポータルリモコン」が搭載・付属し、スマートテレビのように操作できるようになっています。
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Lunar LakeことIntel Core Ultra 7 258Vプロセッサを搭載し、Copilotキーも装備。47 TOPSのAI処理プロセッサ(NPU)をCPUに内蔵し、Copilot+ PCで提供するAI機能を活用できる