東京都の新型コロナ感染拡大対策の一環である事業者向けのガイドラインにより、タイムラインがステップ2に移行、休業要請が緩和され、これまで利用が難しかった施設の営業が再開されている。スポーツジムや映画館、百貨店や学習塾などで、それぞれ感染拡大防止のための対策のもと、少しずつ「日常」が戻りつつある。
オンライン取材のちょっとした不満
外出自粛期間中は時間に余裕があった。なにしろ多くの取材がオンラインなので、移動時間がかからない。5分の余裕があれば発表会などをハシゴすることができる。場合によっては発表会のカケモチなどもこなした。取材として、これでいいのかどうかはわからないが、やはり、新製品などの実物に触れないというのは取材で得られる情報の量としてちょっとした不満を感じる。
だが、サービスや施策などについての発表会は、もうオンラインで十分なような気もする。だが、それを伝える側として加えることができる付加価値をどうやって見出すかはよく考える必要がありそうだ。もちろん、情報の送り手のみならず、受け手としてもそれは同様だ。
従業員の健康のために、緊急事態宣言解除後も在宅勤務を引き続き継続する企業もある。そんな働き方の変化の中で、これからの社会基盤が再構築されていくのだろう。
サブスク動画はあまりにもラクだ
時間に余裕があったので、今、話題のテレビドラマ「愛の不時着」を見た。韓国tvNで放送された全16回のシリーズでヒョンビン、ソン・イェジンの主演だ。日本ではNetflixが配信し、高い人気で視聴されている。物語のストーリーや見所についてはネタばれの心配もあるのでここでは書かない。
ネット配信では基本的にCMが入らない。明らかにオンエアのときにはここにCMが入ったはずというところもあるが、何ごともなかったかのように次のシーンに進む。これは、Netflixのような見放題のサブスクサービスならではだ。なにしろ、各回が終わると、そのまま次の回に自動的に進む。もう止まらない。16回分を見終わるのはたいへんだったが、極端な話、放っていくだけで話が進んでいくのであまりにもラクチンだ。
日本のテレビ番組については、各社が個別に配信サービスをサブスクリプションとして提供している。東京の民放なら、日テレがHulu、TBSがParavi、フジテレビがFOD、テレ朝がテレ朝動画といった各局の独自サービスがある。
民放テレビ局の番組を放送終了から一週間無料で見れるTVerといったサービスもあるが、こちらは見逃し配信的な色合いが強く、ドラマをシリーズまるごとまとめてみるといった用途には使えない。
こうした視聴の仕方はネット配信が一般的になる前から自分でやってきた。手元のビデオデッキはドラマ専用に近いもので、ゴールデンタイムのドラマを全録するように設定してある。ただ、CMをスキップしたり、次の回に進んだりといった作業はリモコンを使って自分で操作する必要がある。何よりも保存容量には限界があるので、録画済みのドラマをクールごとに削除するのがめんどうくさくてたまらない。BDに焼く? そんな行為は数年来やっていない。わざわざ自分で保存しなくても、見たいときにはいつでも見れる世の中になるだろうし、すでになりつつあるからだ。
また、この新型コロナ騒動で、春からのドラマの放送予定がいろいろ変わってしまい、新ドラマのオンエアはしばらくお預けみたいになっている。そんな状況の中で、韓国ドラマを見たり、過去に放送されて見逃していた民放ドラマを配信サービスを使ってまとめて見た結果、コストのことを考えなければ、配信の方がずっとラクだと痛感した。NHKにもNHKオンデマンドがあるが、もともとCMがないのでこちらはビデオデッキの録画でもよさそうだ。
コロナの影響で「リアルタイム視聴」が増加
テレビドラマのネット配信は、ちょっと努力すれば無料で楽しめるものを、少しのラクをするためにカネを払ってサービスを受ける形態だ。ビデオデッキの普及は、テレビの時間軸を崩壊させたが、ネット配信はCMが支える番組制作の枠組みにちょっとした変化を与えるようになった。その将来が興味深い。
ニールセンによれば、メディア消費時間の増加がどの国においても確認されているという。もちろん外出自粛の影響が大きい。
一方、ビデオリサーチはテレビ視聴傾向の変化についてのプレスリリースを出して、この4月のテレビ視聴状況に関して、
在宅勤務や休校でテレビ視聴が終日増え、朝のピークは7時台から8時台に移動
12-18時の時間帯でのテレビ視聴が大幅に増加
リアルタイム視聴率ではコロナ感染拡大の情報に注目が集まり報道番組が高視聴率獲得
といった傾向を紹介している。世の中ではリアルタイムでテレビを見る人が増えたということなのだろう。それもコロナの影響だ。
新型コロナが行動に与えた影響は、今の時点では一時的なものなのか、恒久的に続くものなのかはわからない。だが、何も変わらないということはなさそうだ。そもそも日常が戻ってくるというのはどういうことなのか。今こそ、自分自身の行動について再確認をすることで、豊かな未来を得るためにすべきことを考えるときなのかもしれない。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)