先週、米国で開催されたNVIDIAのイベントに参加して、NVIDAのSHIELDを入手しました。ニュースなどで報じられているように、参加者に配布が行われたのです。基本的に筆者の製品レビューは、自腹で購入したものなのですが、SHIELDは、国内販売もされておらず、ご存じない方もいらっしゃると思い、紹介することにしました。

NVIDA SHIELDの液晶を開いたところ。開けるとコントローラー類が出てくる

SHIELDは、TEGRA 4を使ったアンドロイドの「ゲームマシン」です。なぜかというと、ゲーム専用機のコントローラーのような形状をしていて、フタの部分が液晶で、開くと2つのアナログスティックやカーソルキー、4つのファンクションボタンなどがあるのです。これまでに携帯用のゲーム専用機はいくつも登場したのですが、最大の特徴は、標準のアンドロイド(最新版はAndroid 4.3Jelly Beanだが2014年4月にKit Katの提供が予定されている)が搭載されており、Playストアも利用でき、液晶はタッチパネル付きなので、形状以外は、ごく普通のアンドロイドマシンとして利用できるのです。

ゲーム機なので、携帯電話のネットワークには接続できませんが、Wi-FiとBluetoothがあって、アンドロイドのタブレット同様にネットワーク接続して利用可能です。

SHIELDの形状は、前述のようにゲーム専用機のコントローラーと同じですが、フタがついていて、そこが液晶になっています。持つとずしりとした重さがあります。Webサイトによると579グラムあるとのことです。重い理由の1つは、大容量のバッテリが搭載されているからです。28.8Wh(ワット時)となっているため、3.7ボルト出力だとしたら、7800mAhになり、普通のスマートフォンに比べるとかなり大きなサイズになります。重いのでスマートフォンのように片手で持つのはツライ感じです。背面を見ると、排気口があり、もしかしたらファンが入っているのかもしれません。SHIELDには、後述するように自宅のテレビなどに接続してゲームを行う機能もあります。

フタの表側は、銀色で、それ以外は黒、材質はプラスティックですが、底面の左右(手のひらで支える部分)は、少し柔らかく、摩擦のあるザラザラした感触があります。滑り止め的な意味があるのでしょう。

感じとしては、PS系よりもXBOX系のコントローラーに似ている感じです。SHIELDに限らず、米国のゲームパッドやコントローラーは、みんなXBOXのものによく似ています。日本国内のゲームパッドがファミコンのそれによく似ているのと同じ感じです。

フタの銀色の部分は、磁石で固定されていて、「カスタムアーマー」と呼ばれています。外れるようになっていて、オプションのカスタムアーマーが用意されているようです。グラスファイバー模様などのアーマーがあり、変えると見た目の印象が少し変わりますが、2種類程度しかなく、変えたとしても周囲は黒なので、大きく印象を変えて、かわいい女の子が持っていても似合うなんてことはなさそうです。

フタを占めた状態のSHIELD。両手に持って使う形状で、なんとなく、宇宙人の戦闘機的な感じがある

本体前面部分ここにコネクタ類が週中している。写真では見えないがスリットの奥にヒートシンクがみえる。左右にあるのがアナログトリガーとパンパーボタン

ゲーム機のコントローラーと同じく、液晶の下には、カーソルキー、アナログスティック2本(押し込みボタン付き)とA、B、X、Yの4つファンクションボタン、アンドロイドのバックキーやホームキーに相当する4つのボタンと緑に光るNVIDIAボタンがあります。また、持ったときに人差し指にあたる部分には、アナログトリガーとバンパーボタンが左右に配置されています。

NVIDIAボタンは電源ボタンを兼ねていますが、起動中に押すと、NVIDAメニュー画面が開きます。また、NVIDAボタンのまわりにある4つのボタンのうち「スタート」ボタンは、一般的なアンドロイドには装備されていないキーです。アンドロイドでは、物理ボタンは原則キー扱いで、キーボードと同じ部分で処理が行われます。なので、「スタートキー」なのでしょうが、NVIDIAは「スタートボタン」としているため、その呼び方に従いました。

最近のアンドロイドには必須の「最近使ったアプリ」ボタンは、ホームキーの連続2回押しで起動します。ホームキーの長押しは、Google Nowになっているので、このような割り当てになったのだと思われます。

また、左右のトリガーボタンの間には、コネクタ類が配置されていて、充電端子兼用のマイクロUSBコネクタ、ミニHDMIコネクタ、マイクロSDカードスロット、ヘッドセット/ヘッドホン端子があります。ここにスリットがあり、その奥にヒートシンクのようなものが見えます。

スピーカーはステレオで、コントローラー面の上部に配置されています。基本的には、ゲーム用に作られた配置といっていいでしょう。

中央の大きなボタンがNVIDIAボタン。周囲にあるのがバックキー(左下)、ホームキー(右下)、ボリュームキー(左上)、スタートボタン(右上)、上部左右の銀色の部分がスピーカー

カスタムアーマーを外したところ。2種類のカスタムアーマーがオプションとして販売されている。価格は19.99ドル

付属のACアダプタとUSBケーブル。ACアダプタはNVIDIAのロゴ入り。USBケーブルにはSHIELDアイコンが付いている

スペックは(表01)のようなものです。画面は、1280×720ドット、液晶サイズは5インチで、標準状態では、横長状態で使います。一部のアプリは、画面の向きに関係なく強制的に縦向き表示するものがあります。また、機能としては、SHIELDにも画面回転機能があるのですが、このとき、コントローラー側の動作を90度ずらす機能はないようです。なので、横になった画面をみながら、直角の方向のキーを動かすという面倒な場面もあるのですが、たいていは、タッチでなんとかなるので、実用上の問題はないでしょう。

■表01
NVIDA SHIELD
SoC Tegra 4
CPU Cortex-A15×4+1
クロック周波数 最大1.9GHz
GPU 専用GPU
画面解像度 1,280×720
画面サイズ 5インチ
ストレージ 16ギガバイト
メモリ 2ギガバイト
無線LAN 802.11a/b/g/n(2.4/5ギガヘルツ)
メモリカード マイクロSDカードスロット
外部モニタ出力 ミニHDMIコネクタ
Bluetooth 4.0
センサー GPS/Gyro/加速度
バッテリ 28.8 Wh
サイズ 158×135×57mm
重量 579グラム

さて、ざっとさわってみたのですが、一般的なアンドロイドをコントローラーで利用するために、いろいろとソフトウェア的な工夫がされているようです。たとえば、左アナログスティックは画面のスクロールに利用でき、右アナログスティックはポインティングデバイスとして動作します。

今週も米国なので、このあたりのソフトウェア的な部分については、次回ご紹介します。

ざっとさわった感じ、全体の仕上げはわるくなく、筆者のようにゲームになれていないユーザーでも1時間程度はゲームで遊べるぐらいの感じで使えます。バッテリもあまり減らない感じがあり、丸一日の外出をカバーできそうな感じがあります。ただ、良くも悪くもアンドロイドなので、アンドロイドのゲームでもいいという人向けでしょうか。

本稿は、2014年3月31日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。