アップルが11月6日に発売する「A20 Pro搭載iPad mini」を先駆けて数日間試しました。iPadユーザーの目線から最新モデルの魅力と課題を考察してみたいと思います。
筆者はA20 Pro搭載iPad miniを購入しました。決め手はアップルが開催した発表会で本機に触れて、有機ELを採用するSuper Retina XDRディスプレイの高画質です。薄さと軽さ、防塵・耐水性能にも惹かれましたが、最初に心を動かされたのは映像の美しさでした。
有機ELの高画質に感動。筆者が選んだiPad miniは?
筆者が購入したのは256GBのWi-Fiモデル、カラーはミッドナイトです。Nano-textureガラスのオプションを付けて、Apple Storeでの総額は153,800円でした。
筆者はiPad本体のストレージにあまりファイルを保存しないので、容量だけなら128GBでも足ります。それでも256GBにしたのは、Nano-textureガラスを選びたかったからです。このオプションは256GB以上のモデルに限られます。屋外を含む外出先で使う機会が多いため、照明や日光の反射、映り込みを抑えるためにオプションを追加する意味があると考えました。
一方でセルラー通信は普段ほとんど使いません。外ではiPhoneのテザリングで済ませているため、今回はWi-Fiモデルを選びました。
色はスターライトと迷いました。会場で両色を試すと、背面の指紋が目立ちにくいのはスターライトでした。それでもミッドナイトにしたのは、iPadシリーズとしては初めて選べる色だったからです。いずれSmart Folioを付けることを考えて、表面のヨゴレには神経質になりすぎないことにしました。
新しいiPad miniは、従来の8.3インチ液晶から8.5インチの有機EL「Super Retina XDRディスプレイ」に変わりました。HDRコンテンツ再生時のピーク輝度は最大1200nits。数値以上にその表現力の豊かさが実感できます。
今年の9月にハワイで、iPhone 18 Proを使って撮影したフラダンスのHDRビデオを再生してみました。夜のステージだったので、背景の暗闇の黒色がしっかりと深く沈み、反対にダンサーの衣装やアクセサリーにスポットライトがあたって光輝く明部は明るさの飽和を抑えて引き締まった映像を再現します。色のバランスも肉眼で見たままの印象に近く、違和感なく自然に引き込まれます。旅先の空気まで思い出せるような生々しさがありました。これからiPad miniで、写真やビデオを観賞する時間が一段と楽しくなりそうです。
Nano-textureガラスは映像を鑑賞する時間だけでなく、屋外でウェブブラウジングやノート系アプリでメモを取る場面でも光の写りこみを抑えてくれることが期待できます。ただ、やはりクリアな標準ガラスとは見え方が変わるため、すべての方に勧めたいオプションではありません。残念ながら、発売前に手元で試すことができたiPad miniの実機は標準ガラスのモデルでした。アップルの直営店舗にNano-textureガラスのモデルが展示されている場合もあるので、確認してから店頭で見比べてみるとよいと思います。
手に持つと実感できる軽さ。ケースの選択が悩ましい
筆者は2021年にアップルが発売した第6世代のiPad miniを使ってきました。展示会や発表会では、立ったまま人と対面しながらApple Pencilでメモを書き留める機会がよくあり、iPad miniがデジタルノートとして活躍します。
今回試したのはWi-Fi+Cellularモデルで、質量はA17 Pro搭載モデルの297gから263gに軽量化されました。厚さも6.3mmから5.4mmになっています。片手で持ち続けるデジタルノートとして、この実感できる軽さはうれしい進化です。筆者が購入したWi-Fiモデルは、さらに軽い255gです。
薄さと軽さを損なわないカバーという点では、アップル純正の専用アクセサリーであるSmart Folioはよくできています。テックウーブン素材は手触りも好印象ですが、汚れ方や耐久性は数カ月使ってから評価したいところです。
一方、取材に出かけている時には、うっかり誤ってiPadを落としてしまうリスクにも備えたいところです。Apple Pencilを装着したまま保護できる、より頑丈なケースも別途探すつもりです。軽さを求めて買った端末に、どこまでプロテクションを目的とした頑丈なケースを足すべきなのか…。iPadのケース選びにはいつもこの悩みが付きまといます。
筆者がアップルに望むのは、かつてiPad Pro向けに用意されていたSmart Keyboard Folioのような、薄いキーボード付きカバーをiPad miniのために作ること。メールや短い原稿を書く作業まで、このサイズで済ませられたら最高です。
ただ残念ながら、新モデルも含めて歴代のiPad miniには、ペアリングや給電の手間をかけることなく、iPadにMagic KeyboardやMagic Keyboard Folioを装着するための専用端子であるスマートコネクタ端子が搭載されたことがありません。アップル純正のiPad mini専用キーボードの登場を予想できる材料はありませんが、まずはBluetoothキーボードなどを組み合わせながら自分に合う使い方を模索してみます。
内蔵スピーカーも進化。耐水対応で使い方は広がるか
もうひとつ、新しいiPad miniに魅力を感じたポイントは、iPadシリーズ初となるIP67等級の防塵・耐水性能です。筐体の密閉性を高める設計とともに、新しいステレオ仕様の内蔵サウンドシステム「Acoustic Display」が採用されました。
専用ウーファーがディスプレイのカバーガラスを振動させて中低音域を再生し、高音域は別途設けたツイーターユニットが担います。Apple Musicで配信されている楽曲で、第6世代のiPad miniの内蔵ステレオスピーカーによるサウンドと聴き比べると、新しいiPad miniは特に中高音域の音ヌケがよく、声の輪郭や張りと艶が向上していました。音場の広がりにもいっそうの豊かさを感じます。
-

筐体の密閉性を高めるため、従来は側面フレームに設けていたスピーカーの開口部を省き、カバーガラスを振動させて音を再生する「Acoustic Display」を採用。本体を横向きにした左右側部にツイーターユニットを載せています。ディスプレイ側面の細いスリットが音の出口
ただ、音量を上げると本体の振動も若干強めに感じます。振動が気になる場合にはイヤホンやヘッドホンを組み合わせるとよいでしょう。
耐水対応のiPadは画期的だと思います。バスタイムのコンテンツ鑑賞がいっそう楽しくなりそうです。筆者は普段、原稿の草稿をiPadとApple Pencilで手書きしながら整理することが多いので、この作業を長風呂の時間にもできたらと以前から考えていました。次は、Apple Pencilも耐水対応になれば理想的です。
もっとも、IP67は浴室でのあらゆる使い方を保証するものではありません。高温のお湯、または石けんやシャンプーなどが付着する環境での使用はやはり注意が必要です。もちろん濡れた状態での充電も避けるべきです。
2種類のApple Pencilに対応
A20 Pro搭載iPad miniは、現行モデルである2種類のApple Pencilに対応しています。上位のApple Pencil Proは23,800円、スタンダードモデルのApple Pencil(USB-C)は14,800円です。
そもそも「iPadは持っているけれど、Apple Pencilは必要ないので使ったことがない」という方も少なくないと思います。絵を描いたり長いテキストを書いたりすることがなくても、冬なら通勤時間に手袋をしたままでもiPad miniのタッチ操作がスムーズにできるといったメリットもあるので、新しいiPad miniの購入を考えている方は、この機会にApple Pencilを試してみることをおすすめします。まずはApple Pencil(USB-C)で十分だと思いますが、Apple Pencil ProはiPad miniの本体側面にある磁気コネクタに装着するだけでペアリングと充電ができるため、ペンを頻繁に使う方にとってはベターな選択肢です。
筆者は今回、新しいiPad miniをSuper Retina XDRディスプレイの映像にひと目ぼれして興味を持ちましたが、実機を数日間試して、あらためて本機の軽さや耐水対応による安心感も含めて、毎日仕事に使うデジタルツールとして買い足す理由も確かめられました。納得のいく買い物になりそうです。





