アップルは米ロサンゼルスで現地時間10月28日、世界各地から200人を超えるクリエイターやメディアを招き「Apple Experience」を開催しました。WWDCや9月の新製品発表会のような基調講演ではなく、実機に触れながら製品を体験するイベントです。
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アップルがロサンゼルスで開催したイベント「Apple Experience」で、新しいMacBook ProやiPad miniを一堂に集めて披露しました。ステージにはCEOのジョン・ターナス氏が登壇し、PROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Proの魅力を語りました
冒頭にはCEOのジョン・ターナス氏が登壇して参加者に挨拶し、Macで初めてタッチ操作に対応したMacBook Proを自らプレゼンテーションしました。会場ではMacBook ProとiPad miniを中心に、実機を試しながら担当者の説明を聞くこともできました。製品の質感や、便利な使い方をその場で確かめられたことも筆者にとっては大きな収穫でした。アップルがこのイベントで紹介した製品を振り返ってみましょう。
初もの尽くしな「タッチ対応と高画質OLED」のMacBook Pro
ターナス氏はMacBook Proを紹介する際、アップルがMacBook Proを「ユーザーのためにもっとよいMacBook Proにするために腐心してきた」ことを強調しました。「この素晴らしい製品を、まったく新しいレベルへ引き上げること」が、Macに初めて有機ELの高画質と、タッチ操作への対応を合わせて実現した「PROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Pro(以下:MacBook Pro with Touch)」の開発目標だったといいます。
本体にはキーボードとTouch ID、そしてトラックパッドを残したまま、必要に応じてタッチスクリーンも使い分けられることが本機の特徴です。文字入力や精密なポインティングは従来どおりの操作で行い、スクロールや拡大縮小、画面上の項目選択では指を使う。Macの使い方を置き換えるのではなく、新しい操作方法を加える提案です。
新モデルは有機ELディスプレイを採用して、14インチは1.38kg、16インチは1.82kgとなり、それぞれ同じM5 Proを搭載した前世代モデルとの比較で220g、320g軽くなりました。実際に持ち比べると重さの差は劇的ではありませんが、筐体が薄く、縦横も少し小さくなったことは実感できます。発表会ではタッチ対応を実現するための具体的な開発上の苦労は詳しく説明されませんでした。一方、実機に触れてみると、iPadのように画面を平らにしてタッチ操作することができないのが少し気になりました。
ただ、MacBook Pro with Touchはその詳細な構造が明らかになっていませんが、ディスプレイと本体をつなぐヒンジの部分を改良したことで、ユーザーが斜めに立つ画面にタッチした時にグラつかない安定した操作感を実現しています。新しいApple M6チップと、Liquid Retina XDRディスプレイを搭載する14インチのMacBook Proと比べてみてもヒンジがしっかりとしている手応えがありました。
操作感は快適だが「タッチの必然性」を拡大したい
PROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Proには、14.2インチと16.3インチの2サイズがあり、AppleシリコンはApple M5 ProまたはM5 Maxを搭載します。ディスプレイはM4搭載機以降のiPad Proも採用するタンデムOLEDで、最大120Hz、ピーク輝度2000nits、コントラスト比1000万対1に到達します。
実機の映像を目の当たりにすると、黒が深く沈み、明部のきらめきや色彩の鮮やかさに息を吞んでしまいます。暗部から明部へ穏やかに移る階調感の繊細な表現力も見事です。
タッチ操作はiPad同様に、タップやスワイプ、ピンチによる拡大・縮小に対応し、レスポンスも良好です。複数の指を使うジェスチャーも滑らかでした。音楽制作アプリケーションのLogic Proでは画面上に鍵盤を表示し、10本の指でピアノを弾くように音源の演奏もできました。タッチ入力は最大10本までの指によるマルチタッチ操作を受け付けますが、Apple Pencilは残念ながら使えません。生体認証もFace IDではなく、指の指紋を認証するTouch IDです。
Macに初めてDynamic Islandも搭載されました。対応するアプリケーションのライブアクティビティ表示は同時に最大2件まで。iPhone 18 Proシリーズの最大3件よりもひとつ少なくなっています。デジタルインターフェースはThunderbolt 5、HDMIのほか、MacBook ProシリーズらしくSDXCカードスロットを継承しました。
一方で、ディスプレイにタッチするために腕を伸ばし、斜めに傾けた状態でタッチ操作を続けた時の疲れにくさはどれほどでしょうか。また、指紋の付着はどこまで目立たないように抑えられるでしょうか。ディスプレイには耐指紋性コーティングが施されており、Nano-texture処理の有無に限らず指紋を抑える工夫は凝らしているようですが、実際には少し長く使い込んでみないとわかりません。
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トップにDynamic Islandを配置。同時に2件まで、対応するアプリのライブアクティビティを表示できます。写真や動画をフルスクリーン表示にすると、Dynamic Islandが配置されている領域はブラックアウトするので、写真や映像が欠けて気になるようなことはありません
Apple Storeの税込販売価格はPROLED XDRモデルが499,800円から、Liquid Retina XDRモデルは339,800円からです。M6を選べるのはタッチ非対応の14インチモデルです。タッチディスプレイや有機ELの高画質が不要なユーザーには、この約16万円の差も大きな悩みどころです。
MacBook Pro with Touchはディスプレイの美しさと、極めて滑らかなタッチ操作にフラッグシップらしい完成度があります。一方、タッチやOLEDはWindows PCに先行例があり、Macならではの革新性にはもうひと押しが欲しいところです。例えば180度まで開けるディスプレイで、Apple Pencilを使ってイラストを描いたり精密な図面を引いたり、MacBook Pro with Touch独自の使い方に、これからぜひ出会えることを期待しています。
新しいMacBook Proでまず注目したいのは、美しいPROLED XDRディスプレイがもたらす豊かな表現力です。M6搭載モデルを同時期に発表・発売し、タッチ対応をあくまで選択肢のひとつとして位置付けたアップルの判断は正解だったと、筆者は考えます。日常的にMacBook Proを使う中で、タッチ操作がどのような価値ある使い方につながるのか。アップルとパートナーであるデベロッパの今後の動向にも注目したいところです。
iPad miniはディスプレイが圧倒的にキレイになった
今回発表された新製品の中でも、筆者は特にA20 Proチップを搭載するiPad miniの魅力に惹かれました。
本体の厚さは5.4mm、Wi-Fiモデルの質量は255g。前世代のA17 Pro搭載iPad miniとタテヨコサイズが変わらないのに、ディスプレイのベゼル(縁)を24%細くしたことで、サイズが8.3インチから8.5インチまで大きくなりました。有機EL方式のSuper Retina XDRディスプレイは黒が深く沈み込み、最大1200nitsのピーク輝度と、200万対1の明暗コントラストを再現します。オプションとしてNano-textureガラスも選べます。
Super Retina XDRディスプレイは圧倒的に高い描写力を備えています。Apple Pencil Proによる操作もとてもスムーズでした。ハンズオンエリアではイラストレーションや動画の編集も、パワフルなA20 Proチップを搭載する新しいiPad miniが軽々とこなすデモンストレーションを体験しました。
本体に内蔵するオーディオシステムも大きく変わりました。アップルが「Acoustic Display」と名付ける新しいビルトインのオーディオシステムは、本体側面の小さな開口部に高音域を担うトゥイーターを配置し、低音域はディスプレイの背面にアクチュエーター(振動素子)を配置して、カバーガラスを震わせてサウンドを再現します。従来あったスピーカー穴をなくした密閉構造は、IP67等級の防塵・耐水性能にも寄与します。iPad miniを屋外や医療現場など、本体が水で濡れる可能性のある場所で使うプロフェッショナルユーザーも増えていることから、今回iPad初の防塵・耐水対応が実現したそうです。
Apple TVの映像コンテンツを視聴すると、コンパクトな本体から想像する以上に太く力強いサウンドが再生されます。音量を上げるとiPad miniの筐体が強めに振動しはじめます。置き方によっては、iPad miniに直接触れているテーブルなどが一緒に振動してノイズを生み出してしまうこともあり得るので、アップル純正アクセサリーのSmart Folioを使って、本体を立てて使うこともおすすめします。テックウーブン素材のSmart Folioは、背面スタンドの位置を変えて角度を調整できます。動画をハンズフリーで楽しむのにも便利です。
カラーはスターライトとミッドナイトの2色で、後者はバックパネルに指紋が付くとやや目立つことがあるため、なおさらケースの併用も選択肢になります。
今秋はアップルによる新製品ラッシュが続いています。年末までさらに追加の製品発表もあるのでしょうか。まずはMacとiPadのラインナップに登場する新製品に注目しましょう。








