今年の1月に50周年を迎えたアイオーデータ(旧アイ・オー・データ機器)。Windowsよりも前のPC-98時代からさまざまな周辺機器を世に送り出しており、アイオー製品にお世話になった人も多いはず。そこで、PC&デジタル業界で長年活躍してきたライターさんに、思い出に残っているアイオー製品を挙げてもらい、選んだ理由や気に入っていたポイントなど、当時のエピソードを振り返ってもらいました。今回は、カメラマンの大浦タケシさんです。
2001年を過ぎた頃だったと思う。自分としては初めてとなるデジタル一眼レフカメラを手に入れた。それ以前のデジタル一眼レフというと、クルマが買えてしまうような価格のものばかりで、しがないフリーランスのカメラマンにははるか縁の遠いものであったのだが、ようやく金額的に何とか手の届くものがリリースされたのである。購入当初は、来たるべく未来をちょっと先取りしたようで、とても嬉しかったことを記憶している。
そのカメラと同時にメモリーカードも手に入れた。確か、カメラには16MBのコンパクトフラッシュ(CFカード)が同梱されていたが、これだけではとても心細い。当時、コンパクトフラッシュを使うカメラは持っておらず、カード自体も所有していなかったこともあり、買い揃える必要があったのである。
現在、半導体不足などからメモリーカードは驚くほど高騰しているが、当時は今よりも高価なデバイスであった。安価なMP3プレーヤーを分解して中のマイクロドライブを取り出し、コンパクトフラッシュの代わりに使用する、なんて話もあったほどだ(マイクロドライブはコンパクトフラッシュと同じ形状で互換性があった)。
そのような状況なので、大容量のカードを一気に何枚も買い揃えるのは爪に火を灯すような筆者の経済状況では厳しかった。また、JPEGフォーマットよりもはるかにファイルサイズの大きなRAWフォーマットで撮影し、パソコンで現像して仕上げるフローが当時の自分は今以上に未熟で、とりあえずJPEGフォーマットの画像が記録できればそれでよしとした。結果、購入したのは256MBのコンパクトフラッシュ2枚だった。そして、そのコンパクトフラッシュこそが、アイオーデータ製だったのである。海外ブランドのものよりもちょっと安かったことが、購入の決め手としては大きかったと記憶している。
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アイオーデータが当時販売していたコンパクトフラッシュ(筆者が実際に購入したものとは異なる)。容量は32MBで(32GBではない)、現在の高画素ミラーレスのRAWフォーマットならば1枚も保存できない容量だ
その後、アイオーデータのコンパクトフラッシュは10年ほど使用した。最初の数年はカメラ誌の取材などで持ち出すことが多かった。もちろん撮影フォーマットはJPEGで、カメラの画素数も300万ほどだったので、容量的に不足を感じるようなことはなかった。やがてデジタル一眼レフの扱いにも慣れ、ブツ撮りなどに使う頻度が増えていく。そのような撮影ではRAWフォーマットの場合がほとんどだったが、数カット撮影したらその都度コンパクトフラッシュをカメラから抜いて、カードリーダー経由でパソコンに画像を保存する…という恐ろしく効率の悪いやり方でやり繰りしていたこともあり、容量の小ささはさほど気になることがなかった。
ただ、RAWフォーマットの扱いに慣れてくると同フォーマットの使用頻度は急激に高まり、さらにカメラが高画素化していったため、256MBのコンパクトフラッシュでは容量がまったく足りず、だんだんと出番の機会は減っていったのである。しかしながら、アイオーデータのコンパクトフラッシュは、自分のデジイチ黎明期を支えて今日につないでくれた大切なデバイスのひとつであったと思っている。
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都城盆地から見る霧島山。天孫降臨の地としても知られている。撮影は2003年。デジタル一眼レフの扱いに慣れ、仕事でも本格的に使い始めたころの写真である EOS 10D・EF17-40mm F4 L USM・絞り優先AE(絞りF4・1/45秒)・ISO200・アイオーデータ製コンパクトフラッシュに記録

