今年の1月に50周年を迎えたアイオーデータ(旧アイ・オー・データ機器)。Windowsよりも前のPC-98時代からさまざまな周辺機器を世に送り出しており、アイオー製品にお世話になった人も多いはず。そこで、PC&デジタル業界で長年活躍してきたライターさんに、思い出に残っているアイオー製品を挙げてもらい、選んだ理由や気に入っていたポイントなど、当時のエピソードを振り返ってもらいました。今回は、かつてアイオーデータのライバルであるバッファロー(旧メルコ)に所属していたライターの奥川浩彦さんです。
筆者が中古のPC-9801VM21を買ったのは1989年。その後、PC-9801DAに買い替え、DA専用増設メモリスロットに挿したのは、理由は覚えていないがアイ・オー・データ機器(現:アイオーデータ)ではなく、メルコ(現:バッファロー)製のメモリだった。ちなみに、SCSI接続のハードディスクは、今はなきICMだった。
当時、アイオーデータもメルコも主力製品は増設メモリ。その後、アイオーデータは1991年にグラフィックボード、1995年には外付けハードディスクを製品化している。
メルコも1992年にLAN製品、1993年にグラフィックボード(ウィンドウ・アクセラレーター)、1994年にCD-ROMドライブとハードディスクを製品化。両社は、周辺機器の総合メーカーへと変革していった。
筆者は、1995年に転職でメルコに入社。アイオーデータとはライバル関係の会社だったが、筆者が担当した広報は、展示会の会場でアイオーデータの広報担当とランチに行ったこともあり、良好な関係だった。
筆者は2000年にメルコを退職。2003年、メルコはLinkStation、アイオーデータはLANDISKでNASを製品化。筆者が最初に購入したアイオーデータの製品は、このLANDISKだった。初代LANDISKはHDL-120U(120GB)、HDL-160U(160GB)、HDL-250U(250GB)のラインナップで、筆者が選んだのはHDL-120Uなのだが、20年も前のことなので、LinkStationではなくLANDISKを選んだ理由なども含め、細かなところは覚えていない。
ちなみに、アイオーデータは初代LANDISKの発売前に、LANコンバーター「LAN-iCN」「LAN-iCN2」という製品を発売していた。外付けハードディスクをLANに接続してNASとして利用するもので、アグレッシブだった当時のPC周辺機器業界を感じさせる製品だ。
話をLANDISK「HDL-120U」に戻そう。筆者としても初のNASであるHDL-120Uは、ファイルサーバーとしても利用していたが、液晶テレビのハイビジョン録画にも利用していた。
今では、テレビに接続したUSBハードディスクに録画する機能は当たり前となったが、当時はUSB録画できるテレビはなかった。筆者が2006年に買った東芝のREGZA 37Z2000は「LAN HDDハイビジョン録画機能」に対応していた。この機能については、当時のカタログに「市販のLAN HDDを接続し、LAN経由でのハイビジョン番組を録画することができます。録画、再生などの操作に加え、録画しながらその番組の再生ができる追っかけ再生機能も実現しました」と書かれている。
当時、市販のLAN HDD=NASに録画できる機能は目新しかった。現在でも、NASはどの家庭にもあるものではなく、20年前に自宅でNASを利用している人はかなり少なかったと思われる。機能面では今どき“追っかけ再生”は当たり前だが、20年前は特別な機能の1つだった。そもそもハイビジョン画質で録画できることが画期的だった。
少し時代を確認しよう。地上波のデジタルハイビジョン放送は以下のような歴史がある。
- 2003年12月 地デジハイビジョン放送が東・名・阪で開始
- 2006年12月 地デジハイビジョン放送のカバーエリアは全国約8割
- 2007年12月 地デジハイビジョン放送のカバーエリアは約92%
- 2011年7月 アナログ放送が終了
各社のハイビジョン録画環境は、以下のような感じだろう。
- 2003年4月 Blu-rayレコーダー(HDDなし)発売。価格は約45万円
- 2004年12月 Blu-rayレコーダー(HDDあり)発売。価格は約32万円
- 2007年秋 実売10万円を切るBlu-rayレコーダー(HDDなし)登場
- 2008年 Blu-rayレコーダー(250GB HDD搭載)が10万円を切り普及した
2006年時点で、ハイビジョン録画ができるBlu-rayレコーダーは高価だった。筆者も、アナログ録画のDVDレコーダーを使用していた。その時代に、REGZA 37Z2000とアイオーデータ HDL-120Uを組み合わせて、ハイビジョン画質で録画できることは画期的だった。
もう1つ、HDL-120Uに関して深く印象に残っていることは、120GBのハードディスクを160GBに換装できたことだ。ネット上に手法が掲載されていて、記憶ではPCをCD-ROMからLinuxで起動してHDL-120UにLAN接続し、情報を書き換えると160GBのドライブが認識されるというものだ。今ではSDカードやUSBメモリ程度の小さな容量だが、当時少しでも大容量化できたのは有益だった。
人生初のNAS、人生初のハイビジョン録画、記憶に残る製品であったが、使用期間はそれほど長くなかった。2009年から始まった「家電エコポイント」で、エアコン、冷蔵庫に加え、アナログ放送終了が迫るテレビを購入すると数千円~数万円のポイントがもらえることになった。テレビの録画機能は2008年にUSB録画、2009年にUSB W録画(2番組録画)と進化していたので、家電エコポイントを利用して4年ほどで買い替えることにした。購入したREGZA 37R1はW録画に対応していて、主役の座を4Kテレビに譲った今現在もサブ機として使用している。一方、REGZA 37Z2000と160GBに換装済みのHDL-120Uはセットにしてネットオークションで売却。そのときの付属品の写真が残っていて、取扱説明書、リモコンに加えHDL-120Uが写っている。
その後、NASはRAID 1(ミラーリング)に対応した「HDL2-Sシリーズ」、その後継機の「HDL2-Aシリーズ」と、アイオーデータ製のNASを3世代使用した。120GBで始まった筆者のNASライフは2TB、4TBと容量も増え、機能も充実した。
広報代理業で起業した筆者は2015年から、当時無名に近かった台湾NASベンダー「Synology」の日本の広報を3年間担当した。大手代理店とのコンペで筆者が選ばれたのは、メルコ、マイクロンテクノロジーなどテック企業の広報経験に加え、NASの使用経験も理由の1つだと思われる。現在は、SynologyのNASが5台、QNAPのNASが1台。メインの4ベイのNASは8TB×4台、RAID 5で20TBほどとなった。
振り返ると、2013年に川崎にオフィス兼住居を移したころは、挑戦者ブランドの「VULKANO FLOW(ボルカノフロー)」を使用していた。関東地方で放送されていなかった「たかじんのそこまで言って委員会」「ノブナガ」といった番組を、名古屋の自宅のBDレコーダーで録画し、遠隔視聴していた。
現在、手元にあるアイオーデータの製品は、外付けBlu-rayドライブ「BRP-UT6C」。今どきBlu-rayディスクですか?と言われそうだが、筆者は利用頻度が高いのだ。






