スマホやタブレットでも、長文を入力したり細かく操作したりするときは「マウスがあれば早いのに」と感じる場面があります。iPadOSやiOS、AndroidはBluetoothマウスに対応しているため、1つ持っておくとタブレットをノートPCのように使えて便利です。とはいえ、サブ用途のために高価なマウスを買うのは少しためらわれます。

  • ダイソーの「ブルートゥース 5ボタンマウス 静音タイプ」。カラーは白と黒の2色展開で、今回は白を購入しました

    ダイソーの「ブルートゥース 5ボタンマウス 静音タイプ」。カラーは白と黒の2色展開で、今回は白を購入しました

そこで今回ダイソーで買ってきたのが「ブルートゥース 5ボタンマウス 静音タイプ」。550円ながら、Bluetooth接続・静音クリック・「戻る/進む」のサイドボタンまで備えた多機能モデル。USBレシーバーが不要なので、スマホやタブレットのポートを塞がずに使えるのもポイント。とはいえ550円のマウスだけに、実際に使ってみると価格なりの惜しい点もいくつか見えてきたので、そのあたりも正直にお伝えします。

  • 商品名:「ブルートゥース 5ボタンマウス 静音タイプ」
  • 販売元:ダイソー
  • 価格:550円
  • カラー:白、黒の2色(今回購入したのは白)
  • 接続方式:Bluetooth 5.0(USBレシーバー不要)
  • 電源:単3アルカリ乾電池1本(別売)
  • 本体サイズ:約6.3×9.8×3.2cm
  • パッケージ正面の左下の穴を見ると、中身のマウスの色が白か黒かがわかります。

    パッケージ正面の左下の穴を見ると、中身のマウスの色が白か黒かがわかります。

550円でBluetooth・静音・5ボタンという欲張り仕様

このマウスの魅力は、何といっても550円で機能がひと通りそろっていることです。Bluetooth 5.0接続(接続距離8m)に対応し、左右クリックは静音仕様。さらにホイール手前のボタンで分解能を800/1200/1600DPIの3段階に切り替えられます。本体は左右対称に近い形で、左側面にはWebブラウザの「戻る/進む」に使えるサイドボタンを備えています。ただし、この持ち方と利き手の関係については、あとで詳しく触れます。

  • 上から見ると左右対称に近い形。左右クリックとホイール、ホイール手前にDPI切り替えボタンを配置しています

USBレシーバーが不要なので、ノートPCやタブレットのポートを塞ぎません。電源は単3アルカリ乾電池1本ですが、電池は付属しません。別売りなので、別途用意する必要があります。買ってすぐ使うつもりなら、手持ちの単3電池があるか確認しておきましょう。なお筆者の実測では、単3電池込みで約77gでした。内蔵バッテリー式ではないため、電池が切れても入れ替えるだけで使えるのは利点です。外出先で使うなら、予備の単3電池を1本バッグに入れておくと安心です。

まずMacにつないで、いきなりつまずいた

筆者はふだんMacを使っているので、まずはMacにつないでみました。マウスとしては問題なく動くのですが、肝心の「戻る/進む」サイドボタンがまったく反応しません。あれ?と思ってパッケージを見返すと、側面に「※macOSではサイドボタン機能を使用することができませんのでご了承下さい」としっかり書かれていました…。

買う前にきちんと読まなかった筆者のミスですが、サイドボタン目当てだっただけに、これは正直ショックでした。Macだけで使うつもりの方は、この点をくれぐれもご注意ください。サイドボタンが目当てなら、対応状況を必ず確認してから購入することをおすすめします。

  • パッケージ側面には「macOSではサイドボタン機能を使用することができません」と明記。購入前にしっかり確認を

    パッケージ側面には「macOSではサイドボタン機能を使用することができません」と明記。購入前にしっかり確認を

ただ、Macでもまったく道がないわけではありません。USBマウスやBluetoothマウスのボタン・ホイール・カーソル速度を自由にカスタマイズできるユーティリティ「ステアーマウス」(開発・販売:プレンティコム・システムズ)を使ったところ、Macでもサイドボタンを機能させることができました。

ブラウザの「進む/戻る」だけでなく、Spotlight、調べる、通知センター、Siri、クイックメモ、ステージマネージャ、電源、イジェクトなど、さまざまな機能を割り当てることも可能です。

価格は1,980円の有料ソフトですが、30日間は無料で試せます。「Macでどうしてもサイドボタンを使いたい」という人は、こうしたユーティリティを利用するのも選択肢のひとつです。

  • 「ステアーマウス」を使えば、Macでもサイドボタンに機能を割り当てられました

形は左右対称でも、実質は右利き向け

本体は左右対称に近い形をしていますが、「戻る/進む」のサイドボタンは左側面の1か所にだけ配置されています。右手で持つと、ちょうど親指のあたりに2つのボタンが来るので、自然に押せます。一方、左手で持つと、これらのボタンは薬指や小指で押すことになり、かなり操作しづらくなります。

  • 右手で持った場合の親指側にサイドボタンが来ます。左手だと薬指・小指での操作になり、実質的に右利き向けです

    右手で持った場合の親指側にサイドボタンが来ます。左手だと薬指・小指での操作になり、実質的に右利き向けです

形こそ左右対称ですが、サイドボタンまで快適に使えるのは事実上、右手で持つ場合に限られると考えてよさそうです。左利きの人は、この点を踏まえて検討したほうがよいでしょう。

さらに、右手で持ったときも、2つのサイドボタンの押しやすさには差があります。手前にある「戻る」ボタンは親指の自然な位置にあって軽く押せるのですが、前方にある「進む」ボタンは少し遠く、親指を伸ばさないと届きにくいため、押しにくいと感じました。よく使う「戻る」が押しやすいのは救いですが、「進む」も多用する人は、この押し分けにくさが気になるかもしれません。

スマホやタブレットでも使えるが、サイドボタンにはひと手間

気を取り直して、タブレットでも試してみました。対応OSはWindowsのほか、macOS、iOS、iPadOS、Android OSと幅広く用意されています。筆者の「iPad Pro」で試したところ、「設定」→「Bluetooth」からデバイスを選ぶだけで接続でき、ポインタ操作ができました。USBレシーバーが不要なぶん、USB Type-CやLightningのポートを充電に使えるのは身軽です。

ただし、iPad Proでサイドボタンなどの多ボタン機能を使うには、「設定」→「アクセシビリティ」→「タッチ」→「AssistiveTouch」をオンにし、「ポインティングデバイス」の「デバイス」から接続中のマウスを選んでボタンを割り当てる必要があります。

  • iPad ProにBluetooth接続したところ

    iPad ProにBluetooth接続したところ

また、筆者が試した範囲では、ブラウザの「戻る/進む」を直接割り当てる項目は見当たりませんでした。割り当てられるのは、ホーム、通知、コントロールセンター、Siri、スクリーンショット、スクロールなどのシステム操作が中心です。

対応OSに含まれていても、すべての機種やアプリで同じように使えるとは限りません。とくにスマホやタブレットでは、アプリ側の対応状況によって操作感が変わる点には注意が必要です。

  • サイドボタンを使うにはAssistiveTouchの設定が必要です

    サイドボタンを使うにはAssistiveTouchの設定が必要です

加えて、スマホ単体で使うぶんにはマウス操作はあまり実用的ではありません。iPhoneにつないでみましたが、画面サイズを考えると実用性は高くないというのが率直な感想です。むしろ、画面の大きいiPadにBluetoothキーボードと合わせて使い、ノートPCのように扱う使い方でこそ、このマウスは活きてきます。

静かなのは「左右クリックだけ」という落とし穴

「静音タイプ」とうたわれていますが、ここも注意が必要です。実際に静かなのは左右クリックのみで、ホイールの押し込み、サイドボタン・DPIボタンは普通に「カチカチ」と音が鳴ります。

左右クリックは確かに静かですが、押し心地はカチッと明確というより、少しやわらかめです。しっかりしたクリック感を好む人は、最初は頼りなく感じるかもしれません。

とはいえ、操作の大半を占める左右クリックが静かなのは確かに快適で、Web会議中の資料共有や、家族が寝ている夜間、図書館やカフェでの作業では恩恵を感じます。「すべてのボタンが無音」と期待しすぎなければ、価格を考えると十分に静音の名に値する仕上がりです。

マルチペアリング非対応と、スリープ復帰のクセ

実用面で気をつけたいのが2点。1つはマルチペアリングに対応していないことです。複数の機器を登録して切り替える機能がないため、PCとタブレットを行き来する使い方だと、その都度ペアリングし直す必要があります。「家ではPC、外ではタブレット」と頻繁に持ち替える人には地味にストレスかもしれません。

もう1つはスリープ復帰のクセです。約10分操作しないと自動でスリープに入り、復帰にはいずれかのボタンのクリックが必要。多くのメーカー製マウスのように「動かせばすぐ復帰」とはいきません。筆者が使っていても、しばらく放置したあとに動かそうとして反応せず、一度クリックして待たされる場面がたびたびありました。このワンテンポの遅れは地味にストレスで、常用のメインマウスとして酷使するより、必要なときにサッと使うサブ用途のほうが向いている印象です。

底面とホイールは「価格なり」、マウスパッドが安心

細部にもコストダウンの跡は見えます。底面には一般的なマウスのようなソール(滑りを良くする樹脂シート)が貼られておらず、本体と一体成形のプラスチック足になっています。そのぶん机の素材によっては滑りがやや鈍く感じるため、マウスパッドと併用したほうがよさそうです。読み取りは赤色LEDの光学式なので、ガラスなど光沢面では反応しにくい点も一般的な光学式マウスと同様です。

  • 裏面。電池は単3を1本。底面はソールがなく一体成形のプラ足のため、マウスパッドの併用が無難です

    裏面。電池は単3を1本。底面はソールがなく一体成形のプラ足のため、マウスパッドの併用が無難です

ホイールやクリックの質感も、やはり価格相応です。ホイールはプラスチックがむき出しで、回したときの感触はやや安っぽく感じました。1回のスクロール量も少なめで、長いWebページでは何度もホイールを回す必要があります。白い本体は表面がテカりやすく、使っているうちに指紋が目立ってくるのも気になりました。

  • 接続・ペアリング方法のマニュアルが同梱されています

    接続・ペアリング方法のマニュアルが同梱されています

それでも「550円」で割り切れば優秀なサブマウス

あらためて整理すると、このマウスは静音クリック(左右)・戻る/進むボタン・USBレシーバー不要・軽量な乾電池式と、550円とは思えない機能を備えています。一般的なBluetoothマウスと比べてもかなり安価で、コスパは高いといえます。安いので、万一壊れても惜しくないのも気楽です。

一方で、Macでは標準のままだとサイドボタンが使えない(別途、サードパーティ製の有料ソフトが必要)、実質的に右利き向けで左手では使いにくい、「進む」ボタンが少し遠い、静音なのは左右クリックのみ、マルチペアリング非対応、スリープ復帰にひと手間、底面ソールなし、といった“惜しい点”もはっきりあります。メインで長時間使う高機能マウスの代わりというより、タブレット用・持ち歩き用・手持ちのマウスが不調なときの緊急用といった、サブ用途で本領を発揮するアイテムです。

Windows PCやタブレットでときどきマウスを使いたい人、クリック音を抑えたい人にとっては、気軽に試せる1台。購入前には、自分の使う機器でやりたい操作(とくにサイドボタン)に対応しているか、利き手(左利きの人はとくに)、複数機器で使い回すか(マルチペアリングの要否)、手の大きさとの相性、そして店頭で色(白/黒)をパッケージ左下で確認しておくと、より失敗しにくいと思います。筆者のように裏面の注意書きを見落とさないよう、お気をつけください。