ソフトバンクは、成層圏を飛行する「空飛ぶ基地局」HAPSを使い、日本上空から地上のスマートフォンへ通信サービスを提供する試験に成功したと明らかにした。音声通話やメッセージ、動画視聴、ビデオ通話などを実際に利用でき、2027年以降の国内商用化を目指すとしている。

  • 飛行船型のHAPS(High Altitude Platform Station)。画像はソフトバンク発表記事から

    飛行船型のHAPS(High Altitude Platform Station)。画像はソフトバンク発表記事から

HAPS(High Altitude Platform Station)は、高度約20kmの成層圏に通信機器を搭載した機体を滞空させ、広範囲へモバイル通信を提供する仕組み。地上の携帯電話網と同じ電波を利用できるため、衛星通信向けの専用端末などを用意せず、既存のスマートフォンをそのまま接続できる。

今回の試験では、米Sceyeが開発した飛行船型HAPSを米ニューメキシコ州から1万5,000km以上飛行させ、高知県の室戸岬沖上空に滞空。4G LTE相当の基地局をソフトバンクのコアネットワークへ接続し、地上のスマートフォンとの双方向通信を行なった。

音声通話やSNS、動画視聴などに加えて緊急地震速報や津波警報などの緊急速報メール、海上保安庁への118番緊急通報も検証。地上基地局との電波干渉を抑えながら、地上ネットワークと同等の通信性能を実現できたとしている。

またHAPSを介してドローンを遠隔制御し、自動飛行や映像伝送を行なう試験にも成功。HAPS本体にサーバーを搭載して成層圏でデータを処理するエッジコンピューティングも検証し、クラウドで処理する場合と比べて通信遅延を40%以上削減したという。

ソフトバンクではHAPSを大規模災害で地上基地局が利用できなくなった場合の通信復旧や、山間部、離島、海上などへの通信エリア拡大に活用することを想定している。