iPhoneから出力される信号と聞けば、映像信号に音声信号、文書ファイルなどのデータ信号を思い浮かべますが、それらは基本的に1と0の組み合わせで表現されるデジタル信号。一方、世の中には時間とともに連続的に変化するアナログ信号が存在します。いろいろできるiPhoneのこと、両方に対応していても不思議ではありません。
USB-Cポートを搭載する現行モデルのiPhoneは、デジタル以外の信号を受発信できません。USBでは、デジタル信号だけでなく電力も扱われますが、入出力される信号はすべてデジタルです。
たとえば、USB-Cで接続するイヤホンが存在しますが、それはアナログのオーディオ信号が出力されているのではなく、そのイヤホンの端子部に搭載されたデジタル信号をアナログ信号に変換する装置(DAC IC)による働きです。一部のiPhoneは映像出力にも対応していますが(DisplayPort Alt Mode)、それもUSB-Cの高速差動信号線を利用しデジタルの映像信号が出力されるからです。
ただし、かつてのiPhoneはアナログ信号出力に対応していました。Lightning以前に利用されていた30ピン端子「Dock」では、アナログ音声信号用のピンとコンポジット映像信号ピンが用意され、DACなどのICを利用せず直接取り出すことができました。DockはUSBのデータ信号(デジタル)とアナログ信号が同居する、ユニークな端子規格でしたが、次代のLightningでは完全デジタル化されています。
つまり、iPhoneの設計は「直接アナログ信号を端子から出す設計」から「デジタル信号を出力し必要であれば外部でアナログ変換」へと変化しています。完全にデジタル化したほうが端子を小型化できる、iPhone本体の設計自由度も高くなるといったメリットがあり、進化の方向性としては合理的といえるでしょう。
