Mozillaは、7月21日(米国時間)にWebブラウザ Firefoxの新バージョンとなる「Firefox 153」をリリースした。Firefox 153は、Firefox 152から5週間でのバージョンアップとなった(米国の建国250年の休暇を考慮してのことだろう)。Firefox 152では、2026年6月18日にマイナーバージョンアップの152.0.1が、2026年6月23日にマイナーバージョンアップの152.0.2が、2026年6月25日にマイナーバージョンアップの152.0.3が、2026年6月30日にマイナーバージョンアップの152.0.4、2026年7月7日にマイナーバージョンアップの152.0.5、2026年7月14日にマイナーバージョンアップの152.0.6がリリースされている。その詳細は、多少長くなるので、最後にまとめた。今回は、152.0.6からのアップデートとなる。
Firefox 153のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 153は、図2のようになる。
新規に、Firefox 153をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 153の新機能
では、Firefox 153の新機能を見ていこう。
- Windows版:HDR動画の再生が可能に。この機能を利用するには、Windowsの[設定]→[ディスプレイ]で、ディスプレイのHDRモードを有効にする必要がある。「HDR動画ストリーミング」にのみ対応しているノートPCのディスプレイは、現時点ではサポートされていない。スマートフォンで特定の向きで撮影された一部の動画は、現在HDR動画として表示されない
- 「コンテナ」機能を使うことで、仕事、ショッピング、プライベート、銀行取引といったオンライン上の活動を、同じブラウザウィンドウ内でそれぞれ別のアカウントにログインした状態で使い分けることができる(プライバシー保護の役立つ)。
- 開いているページをQRコードで共有可能に。タブを右クリックし、[共有]→[QRコードを生成]を選択すると、QRコードが表示される。あとは、コピー、印刷物に利用するなどすればよい
- PDFをPDFサイドバーにドラッグすることで、複数のPDFを結合可能に
- PDFエディターを使用して、PDF内に新しいページとして画像を追加可能に
- アドレスバーに「pick color」、「color picker」、または「eyedropper」と入力し、[Pick a color]クイックアクションを選択することで、どのページからでも素早く色を抽出してコピー可能に
- Appleのシステム全体で利用可能なフルスクリーン切り替えのキーボードショートカット[Globe-F]に対応
- 適格Webサイト認証証明書(QWAC)の検証および表示は、eIDAS規則に基づき行っている
- オーバーレイ付き動画への対応を強化し、コンテキストメニューから動画への操作にアクセスしやすく
- Webサイトが現在地にアクセスしている際、位置情報の許可アイコンを赤色で強調表示するように。また、以前は表示されていなかった検索結果ページでも、この許可アイコンが表示されるように。
- スマートウィンドウ:(この機能はprogressive roll outである)
- スマートウィンドウのアシスタントから、AIモデルを直接確認・選択可能に
- [新しいタブ]に、Webサイトの入力やWeb検索ができる、「アドレスバー」が追加
- アドレスバーに「labs」または「experiment」と入力し、[Firefox Labsを開く]クイックアクションを選択することでFirefox Labsを素早く開けるように
- Firefoxは現在、新しい画像フォーマット「JPEG XL」への試験的な対応を提供している。JPEG XLは、WebP、JPEG、PNG、GIFよりも一般的に優れた圧縮性能を持ち、これらに取って代わることを目指して設計されたフォーマットである。設定内の「Firefox Labs」パネルから有効にできる
続いて、修正点である。
- 拡張機能は、デフォルトではローカルファイルにアクセスできなくなった。ユーザーは、「すべてのWebサイトのデータへのアクセス」とは別に、新たに設けられた「コンピュータ上のローカルファイルへのアクセス」という権限を通じて、このアクセスを許可または取り消すことができる
- すべてのユーザーに対して、ローカルネットワークへのアクセス制限がデフォルトで有効に。Firefoxでは、ローカルネットワーク上のデバイスや、使用中のデバイス上のアプリやサービスに接続する際、Webサイト側から許可を求めることが必須となる
- 古いCookie設定が設定UIから削除。該当するモードを使用しているユーザーは、デフォルトの動作である「クロスサイトCookieを分離する」に切り替える必要がある
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベースで63件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が20件、4段階で上から3番目の「Moderate」が35件、4段階で上から3番目の「low」が8件となっている。
- DOM:ナビゲーションコンポーネントにおける同一生成元ポリシーのバイパス
- Audio/Video:cubebコンポーネントにおける境界条件の誤り
- WebRTCのAudio/Videoコンポーネントにおけるメモリ解放後使用
- DOM:ナビゲーションコンポーネントにおけるメモリ解放後使用に起因するサンドボックス脱出
- Disability Access APIコンポーネントにおけるメモリ解放後使用に起因するサンドボックス・エスケープ
- JavaScript:WebAssemblyコンポーネントにおけるJIT誤コンパイル
- Audio/Video:Playbackコンポーネントの境界条件が正しくない
- DOM:Workersコンポーネントにおける権限昇格
- DOM:ナビゲーションコンポーネントにおける権限昇格
- DOM:Bindings(WebIDL)コンポーネント内の無効なポインタ
- Graphics:ImageLibコンポーネントにおける情報漏洩
- Disability Access APIコンポーネントにおける無効なポインタに起因するサンドボックス・エスケープ
- JavaScript:WebAssemblyコンポーネントにおける境界条件の誤り
- JavaScript:WebAssemblyコンポーネントにおける整数オーバーフロー
- :JITコンポーネント:JavaScriptエンジンのJITコンパイル誤り
- Disability Access APIコンポーネントにおけるメモリ解放後使用に起因するサンドボックス・エスケープ
- グラフィックスコンポーネントにおける不適切な境界条件
- Graphics:WebRenderコンポーネントにおける権限昇格
- Firefox 153でのメモリ安全性の問題
- ネットワーク:HTTPコンポーネントにおけるメモリ解放後使用
- Web Audioコンポーネントでの境界条件の不正
- グラフィックス:WebGPUコンポーネントにおけるメモリ解放後使用
- Workersコンポーネントでの、DOM内のサンドボックス回避
- ナビゲーションコンポーネントでの、DOM内のサンドボックス回避
- プロセスサンドボックスコンポーネントにおけるサンドボックス回避
- ネットワークコンポーネントの境界条件が不適切なため、サンドボックス回避が発生
- Firefox 153でのメモリ安全性の問題
- Firefox ESR 140.13およびFirefox 153でのメモリ安全性の問題
- Firefox ESR 115.38、Firefox ESR 140.13、およびFirefox 153でのメモリ安全性の問題
今回のアップデートは、前回同様、数が多い。
Firefox 152でのマイナーバージョンアップ
Firefox 152で行われたマイナーバージョンアップは以下の通り。152.0.1では、以下の修正が行われた。
- Intel Raptor Lakeプロセッサで発生していた、頻繁なクラッシュの修正
- macOS版:システムの印刷ダイアログから「PDFとして保存」などのPDF関連のオプションを選択した際、ファイルが保存されずにプリンターへ印刷ジョブが送信されてしまう問題の修正
151.0.2では、以下の修正が行われた。
- 一部の言語において、[設定]セクションの見出しが翻訳された名称ではなくプレースホルダーのテキストで表示されていた問題の修正
- 表示言語を変更すると、新しいタブのコンテンツがその言語と一致しない問題の修正
- 一部のMP4動画ファイルの再生に支障をきたす可能性があったリグレッションの修正
- Proton Driveのように、一度に多数の暗号化・復号処理を行うサイトでの動作が遅くなる可能性があったパフォーマンスリグレッションの修正
152.0.3では、以下の修正が行われた。
- 言語パックをインストールしていると、起動時に極端なメモリ使用やフリーズが発生する可能性があった問題の修正
152.0.4では、次の新機能が追加された。
- 「Smart Window」が新機能として追加。Firefoxに組み込まれた新しいAI機能で、開いているタブを連携させ、関連情報を関連付け、より迅速に的確な回答を、ユーザーの操作性を損なうことなく提供するものだ。今回、以下の機能強化が行われた
- タブを閉じるよう指示できるように。必要に応じて確認ステップが入り、後から元に戻すオプションも用意されている
- 閲覧履歴の結果に画像が表示されるように
- 回答にフィードバックをする際、一般的な理由から選択したり、送信前に共有される内容をプレビューできるように
修正は、以下の通り。
- macOS版:「保存」や「開く」パネルなどのシステムダイアログ内で、コピー、貼り付け、取り消し、やり直しなどのキーボードショートカットが機能しない問題の修正
- 「設定」の検索結果から[Cookieとサイトデータを管理]ダイアログを開くと、リストが空の状態で表示される問題の修正
- ページ内リンクをクリックすると、キーボードフォーカスが誤った位置に移動してしまう問題の修正。これにより、[Tab]キーを押した際、期待通りにリンクの位置から移動するように
セキュリティ関連の修正は1件。いずれも深刻度は4段階中上から2番目の「High」である 。
- Firefox 152.0.4でのメモリ安全性の問題
152.0.5では、以下の修正が行われた。
- 「支払い方法の管理」リストにおいて、保存されたカードの有効期限がないとリストが空の状態で表示される問題の修正
152.0.6では、以下の修正が行われた。
AI機能「Smart Window」で、以下の機能が追加。
- ページ上のテキストを選択すると、内蔵アシスタントを使用して要約、説明などをすばやく行うことが可能に
- 「新しいタブ」にショートカットの列を追加し、過去のサイトに戻りやすく
AI機能「Smart Window」は、機能全体がprogressive roll out(段階的実装)なため、すべての機能が使えるかは環境によって異なるので注意されたい。さらに、以下の修正が行われた。
- 設定画面がデザイン変更され、メールトラッキング保護を無効にできない問題を修正
- macOS版:macOS 26でファイル選択ダイアログを使用した後にフリーズが発生することがある問題を修正
- レガシーな自動設定(autoconfig)形式を使用してホームページが設定されている一部のエンタープライズ構成において、ホームページが読み込まれない問題の修正
セキュリティ関連の修正は2件。いずれも深刻度は4段階中上から1番目の「Critical」である。
- JavaScript:WebAssemblyコンポーネント内の無効なポインター
- DOM:Navigationコンポーネントにおけるサイト分離
バージョン152では、マイナーバージョンアップも多い。すみやかにアップデートすべきであろう。







