インテルがCOMPUTEX TAIPEI 2026で公開した携帯型のゲーミングPC向けプロセッサ「Intel Arc Gシリーズ」のArc G3について、改めてパフォーマンスや機能面など主要情報の詳細をお届けする。あわせて、Arc G3と同様にIntel 18Aベースの新たなプロセッサとして4月に発表されていた「Wildcat Lake」の情報もまとめてお届けする。
今回の内容は、同社が日本国内の業界記者向けに製品の技術詳細を解説する目的で定例開催している催しで、6月18日に開催された「Intel Tech-Talk」から取り上げるものだ。
Arc Gシリーズ、同社初の「携帯ゲーミングPC向け」プロセッサ
Arc GシリーズはIntel最新の半導体製造技術、Intel 18Aプロセスによるプロセッサだ。基本的にはPanther Lakeベースであり、Panther LakeからGPU規模を据え置きつつ、さらに省電力寄りに演算器の構成を組みなおしたようなチップで、ハードウェア制御やソフトウェア面でもハンドヘルドPC用途にあわせた最適化が施されている。
これまでにも携帯型のゲーミングPCで同社プロセッサを搭載するデバイスは存在していたが、主に小型のモバイルノートPC向けの省電力チップを流用していた。携帯ゲーミングPC向けとしてゲーム性能と省電力の両立を主眼に専用設計したプロセッサは、同社初だ。
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このセグメントのデバイスに対しては、例えば従来はCore Ultra 200Vを利用していたりした。Arc G3は省電力だがGPU規模は最大であるなど、チップの設計レベルから携帯ゲーミングPCの用途に特化した同社初のプロセッサだ
搭載デバイスのリリース開始は今月からはじまる。チップは「Arc G3」と「Arc G3 EXTREME」の2モデルがあり、各スペックは以下の表の通り。
| モデル | Arc G3 | Arc G3 EXTREME |
|---|---|---|
| 製造技術 | Intel 18A | Intel 18A |
| コア数 | 14 (Pコア×2、Eコア×8、LP Eコア×4) | 14 (Pコア×2、Eコア×8、LP Eコア×4) |
| 動作周波数 | ターボ時最大4.6GHz | ターボ時最大4.7GHz |
| スマートキャッシュ | 12MB | 12MB |
| PBP (Processor Base Power) | 25W | 25W |
| MTP (Maximum Turbo Power) | 80W | 80W |
| Minimum Assured Power | 15W | 15W |
| Configurable TDP Range | 8~30W | 8~30W |
| 対応メモリ | 最大でLPDDR5X 8533 MT/s、容量96GB | 最大でLPDDR5X 8533 MT/s、容量96GB |
| GPU | Intel Arc B370 | Intel Arc B390 |
| Xeコア数 | 10 | 12 |
| GPUクロック | 最大2.2GHz | 最大2.3GHz |
| GPU TOPS | 90TOPS (Int8) | 113TOPS (Int8) |
| レイ・トレーシング | 対応 | 対応 |
| NPU TOPS | 46TOPS (Int8) | 46TOPS (Int8) |
なお、以前掲載したこちらのリンクのCOMPUTEXの記事で、Arc G3のチップとして掲載していたパッケージはやはり取り違えで、正しくはWildcat Lakeだったようだ。追って確認したところ、CPUやGPUのコア数の違いでタイルの大きさがSKUにより物理的に異なることはあるが、パッケージサイズとタイル(ダイ)の構成はArc G3とPanter Lakeは共通ということで間違いない。Wildcat Lakeは、Arc G3およびPanter Lakeとはタイル構成から違いがあり、わかりやすい点ではCPUタイルとGPUタイルが分かれておらず、I/Oタイルも別チップとなっている。
Arc Gシリーズでフルスペックのモデルとなる「Arc G3 EXTREME」のスペックを確認するとCPUは14コア、GPUとしてXe3アーキテクチャベースの12基のXeコアを備える。CPUは2基のPコア、8基のEコア、4基のLP Eコア。Panter LakeのCore Ultra シリーズ3と比べると、Pコアは2基削減されているが、EコアとLP Fコア、Xeコアの規模は維持している。
違いはコア構成だけでなく、携帯型ゲーミングPCに不要、または優先度の低いリソースを専用アルゴリズムで整理し、ゲーム時に重要なGPU側へ電力を回しやすい設計へと変更も加えている。XeコアとPコアをゲーム動作に集中させ、バックグラウンドのシステムの最低限の処理にはEコアをわりあてているようなイメージだ。省電力動作時にはPコアへの電力供給を完全にカットできるようにもしている。

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携帯型ゲーミングPC向けに最適化した「Intelligent Bias Control(IBC)」技術を採用している。Eコアを優先的に使うスケジューリング、CPU/GPU間の電力配分をゲーム向けに安定させる制御を担う。Pコアへの電力供給をオフにするPコアパーキングの仕組みも導入した。また、ゲームプレイ中のフレームレートの落ち込みや揺れを、電力供給のスイッチングのタイミング調整によって抑制することで、プレイ体験を損なわず、安定した電力でハードウェアを動作させることに成功している
省電力面で注目の新機能として「Endurance Gaming」も挙げられる。これは30/40/60fpsなどの目標フレームレートを設定し、その目標を維持する範囲で電力を絞るという機能だ。プレイのシチュエーションに応じて、最大性能ではなく、「30fpsでよい」と割り切ることで、バッテリー駆動時間を延ばすことができる。


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例えば外出先でのバッテリーで動作などで威力を発揮しそうな「Endurance Gaming」。最高性能ではなく、許容できるFPSをターゲットに設定することで、バッテリー駆動時間を延ばす。Forza 6やGTA Vでもバッテリーで6時間近く遊べる
そして、上記のように省電力に振りながら、GPUはPanter Lakeと同様にXe3アーキテクチャベースであり、なかでもArc G3 EXTREMEはCore Ultra シリーズ3の最上と同じ「Arc B390」を搭載している。Xe3アーキテクチャということで、XMXエンジンを使った超解像はじめ、XeSS 3の最新技術を使用することができる。
XeSS 3でも目玉となる技術は「XeSS マルチフレーム・ジェネレーション (XeSS-MFG)」だろう。「GPUが実際にレンダリングした」フレームとフレームの間に、「AIで生成した」フレームを挿入することで、フレームレートを上げる(スムーズな動きの映像をつくりだす)ことができる。
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4倍マルチフレーム生成などであれば目に見えて飛躍的にFPSが上がる。しかしながら、GPUが実際にレンダリングしたフレームよりも、AIで生成したフレームが方が多い映像を見ているというのは、ちょっと複雑な気持ちになる
肝心のArc Gシリーズの実際の性能であるが、「Arc G3 EXTREME」を搭載するMSIの「Claw 8 EX AI+」をお借りして、編集部で各種テストを実施したレビュー記事を別途掲載しているので、確認いただきたい。
【レビュー】Arc G3 Extreme搭載「MSI Claw 8 EX AI+」を試す - Intelが携帯型ゲームPC市場に本格参入
https://news.mynavi.jp/article/20260623-4619862/
Intel 18AをエッジAI向けに浸透させるWildcat Lake
Wildcat Lake(開発コードネーム)は、「Intel Core シリーズ3 モバイル・プロセッサー」の製品名で今年4月に発表され、今四半期中に出荷を開始した新型プロセッサだ。名称からモバイルPC向けの廉価版CPUのような印象を受けるが、Intelは「価格志向のユーザーや企業、エッジデバイス向けに、高度なパフォーマンス、卓越したバッテリ駆動時間、AI対応機能を提供する製品」と、エッジAIも担う製品と位置付けている。
Intel 18Aで製造し、アーキテクチャはPanther Lakeベースだが、チップタイルの構成を見ると、Panther Lakeとは異なりGPUが独立したタイルではなく、CPUタイルと統合されている。
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Panther LakeではIntel 3プロセスのGPUタイルを組み合わせていたが、Wildcat LakeはIntel 18AのCPUタイル相当部分にGPU機能が含まれている。また、I/Oタイルが別チップなのもPanther Lakeとの違いで、2つのチップをパッケージ上で接続している
Core Ultra シリーズ3の下位モデルとのすみ分けは複雑になりそうだが、電力あたりの性能効率が良く、ローカルAIに十分な性能を持つ最新アーキテクチャを、より小規模なパッケージで実現できるので、エッジ(組み込み)と、近年話題のフィジカルAIのデバイスでの利用も期待しているようだ。
Intel側でロボティクス開発キットを提供しているほか、Intel Coreに最適化された「OpenVINO Physical AI Framework」と「Physical AI Studio」も発表した。将来の大規模展開にもつながるかたちで、小規模ラボなど手ごろな環境からフィジカルAIの開発をスタートできるというメリットがある。
Physical AI Studioにより、データの収集、モデルのファインチューニング、最適化、量子化を一貫して行うことができ、事前検証済みのファインチューニングされたVLA(Vision・Language・Action:視覚・言語・行動)モデルをシームレスにエクスポートして実環境へ導入できる。また、OpenVINO Physical AIは、シリコンに最適化された推論ランタイムを備えたオープンソースのロボティクス・ライブラリ。シームレスなモデルエクスポートを実現するため、Physical AI StudioやLeRobotなどのオープンソースのロボティクス・モデル開発環境との統合もサポートしている。




COMPUTEX TAIPEI 2026でIntelが公開していた、Physical AI Studioのデモンストレーション。まずはロボットアームを人間の手で何度か操作して、モノをつかんで仕分けする動作を学習させると、その後はAI推論による自律動作にて、ロボットアームがモノつかんで仕分けを実行しているというもの


Intel Tech-Talkで披露されたデモ。写真のロボットアームは数万円ほどの安価なキットだが、IntelベースのノートPCにPhysical AI Studioを導入すれば、このような簡易な環境でも、先のCOMPUTEXのデモのような人の動作を覚えさせる学習と、推論による自律動作の実行をはじめることができる
OpenVINO Physical AIはプレビュー版がGitHubにて提供開始されており、2026年後半に一般提供を開始する予定。Physical AI Studioは既に無料で提供を開始している。











