The Browser Companyは10月8日(米国時間)、AI機能を中核に据えたWebブラウザ「Dia」の一般提供を開始した。これにより、招待不要で誰でも公式サイトからDiaをダウンロードしてすぐに使用できるようになった。
現時点でDiaの対応OSはmacOSのみで、動作要件はmacOS 14(Sonoma)以上のApple Silicon(M1)搭載Macとなっている。無料で使用できるが、「Dia Pro」というサブスクリプションに加入することで無制限のAIチャット利用が可能になる。なお、無料プランでのチャットの上限については明確な基準が公開されていない。
Diaは、開いているタブに関してチャットを通じてAIに質問や要約、比較などを依頼できるほか、リサーチや文章の作成・リライト、コーディング支援といった機能も備えている。Google「Chrome」のGemini統合、Microsoft「Edge」のCopilotモード、Perplexityの「Comet」などと並ぶ、AIブラウザの一つである。ChromeやEdgeが既存のブラウザにAI機能を追加しているのに対し、DiaやCometはAIを前提に設計されている点が異なる。中でもThe Browser Companyの場合、同社が「Arc」ブラウザ開発時から掲げていた「ブラウザが新しいオペレーティングシステムになる」という思想に基づいてDiaを開発している。
今年6月にDiaのプライベートベータを開始した後、9月にはThe Browser Companyが、チームの生産性向上を支援するソフトウェアを開発・提供する企業Atlassianに買収された。買収の目的についてAtlassianは、「ナレッジワーカー向けのブラウザ」という新たな市場の開拓にあるとしている。The Browser Companyのジョシュ・ミラーCEOは、次世代ブラウザに対する構想が一致したAtlassianの傘下に入ることで、開発スピードを加速し、ユーザーに対して製品の持続性を保証できると述べ、「勝つための契約」と表現した。
The Browser Companyは今後数カ月で、DiaをWindows、iOS、Android、そしてエンタープライズ向けなどあらゆるプラットフォームに展開する予定である。同時に、セキュリティ、データ同期、プライバシーへの投資を強化していく方針も示している。
Diaの開発とクロスプラットフォーム展開を優先する一方、デスクトップブラウザ「Arc」およびモバイル向け「Arc Search」も引き続き存続させる。これらの長期的な計画についても、近い将来に発表するという。

