バンダイナムコを訪れ、モバイルゲームの開発者と懇談したAppleのティム・クックCEO。翌日には、日本のアプリ開発者との懇談会に参加しました。会には、LINEヤフーのような大きな企業だけでなく、個人のアプリ開発者も参加。ティム・クックCEOは「Appleのプラットフォームならば個人も自宅でアプリ開発でき、ボタン1つで世界に配信できます。みなさんがアプリ開発で情熱を追いかけることは素晴らしいと感じます。Appleも、開発ツールの提供などで皆さんの情熱を応援します」とエールを送りました。

  • 日本のアプリ開発者との懇談会に参加し、エールを送ったAppleのティム・クックCEO(左)

    日本のアプリ開発者との懇談会に参加し、エールを送ったAppleのティム・クックCEO(左)

雨にまつわる災害を防ぎたい!「アメミル」

まずティム・クックCEOがチェックしたのが「アメミル」。島津ビジネスシステムズが開発した天気アプリで、開発担当者は「雨にまつわる災害を防ぎたいという強い思いがあり、アプリを作った」と語ります。開発チームは5人と少数精鋭ですが、そのうち4人が気象予報士で、信頼できる気象情報を提供できることが大きな強み、とアピールします。

  • 「アメミル」のアプリ

    「アメミル」のアプリ

アメミルは、Appleの最新技術へいち早く対応しているのが特徴。CoreML、ライブアクティビティ、最新のソフトウェアデザイン「Liquid Glass」を駆使して、AIによる天気予報、雨雲マップ、ARによる雨雲の可視化を可能にしています。

今後、ユーザーのカレンダー情報と連携し、一人ひとりに寄り添った予報や解説を提供することを目指しているそう。さらに、現在のCore MLモデルを、今年のWWDCで発表したFoundation Models Frameworkを用いてオンデバイスで動作させることを計画しています。

ティム・クックCEOは「災害から多くの人を守りたい、という情熱はとても素晴らしいと感じます」と評価しました。

同名アニメと同時に制作・リリース「怪獣8号 THE GAME」

続いては、アカツキゲームスが開発した「怪獣8号 THE GAME」をチェックしました。iPhoneの高いマシンパワーを最大限に活用し、高精細なグラフィックスと迫力のあるサウンドで巨大怪獣とのバトルを体験できるゲームです。

  • 「怪獣8号 THE GAME」のアプリ

    「怪獣8号 THE GAME」のアプリ

怪獣8号は、全世界で配信されている同名のアニメと同時に制作・リリースされるのが特徴。アニメとゲームが同時に全世界でリリースされることはこれまであまりなく、新しい試みといえます。ティム・クックCEOは「ゲームは非常に滑らかですね。芸術品といえるクオリティで、非常に感銘を受けています」とコメントしました。

Image PlaygroundでLINEスタンプを作成「LINEスタンプメーカー」

LINEスタンプメーカー」は、LINEのオリジナルスタンプを作成できる無料アプリ。Apple Intelligenceの「Image Playground」を利用し、写真ライブラリ内の人物などを組み合わせたスタンプが作成できる機能を新たに備えました。

  • 「LINEスタンプメーカー」のアプリ

    「LINEスタンプメーカー」のアプリ

Image Playgroundが日本語にも対応し、無料で導入のハードルが低く、さらにプライバシーや安全性にも配慮していることから「これはすぐに導入するべきだ」と判断し、採用を決めたそう。今後の計画として、Image Playgroundのカスタマイズ性を活かし、8個のスタンプを一度に瞬時に作成できる機能を実装する予定です。

ティム・クックCEOは「クールなスタンプを作って世界に向けて販売したい、と考えるクリエイターに情熱をもたらしているのは素晴らしい」とコメント。デベロッパーにツールやApp Storeを提供し、彼らの情熱を支援するAppleの姿勢と重ね合わせていたようです。

ゲーム会社を卒業し、個人でアプリを開発「KaruQ」

KaruQ」は、数学をモチーフとしたパズルゲーム。掛け算や割り算といった計算を、ゲーム感覚で直感的にプレイできるように工夫しています。

  • 「KaruQ」のアプリ

    「KaruQ」のアプリ

KaruQを開発した桑木龍司さんはゲーム開発歴35年のベテランで、以前は家庭用ゲーム機用のゲームソフトを開発する会社に勤務していたそう。iPhoneとApp Storeの登場により、個人でもゲーム市場に参入できることを知ってモバイルゲームに参入し、これまでApp Storeで40タイトル以上を公開している実力派です。

たとえ個人でも、世界175カ国に向けてアプリを販売できる

4社のアプリを体験している最中、何度も「素晴らしい」と目を丸くしていたティム・クックCEO。ひととおり体験を終えたあと、ティム・クックCEOに「先ほどの桑木さんのように、個人や学生でもアプリを全世界に発信できるのがApp Storeの魅力だと思います。アプリ開発を目指す個人開発者や学生にメッセージをお願いします」と尋ねてみました。

「自宅でもアプリが開発ができ、ボタンを押すだけで世界の175カ国に対して配信、販売できるのは、本当に素晴らしいことです。以前なら、個人の方はとてもそんなことはできませんでしたが、App Storeでそれを可能にしました。住む場所に縛られず、朝9時から夕方5時まで働く、と型にはめられることもありません。日本のApp Storeにおけるデベロッパーのみなさんの収益は、2024年は約7兆円に達しました。ぜひ起業家を目指してみてください」

さらにティム・クックCEOは「私たちも日々、情熱を持って取り組んでいます。アプリ開発を目指すみなさんも、ぜひ情熱を持ち続けてください。私たちは、みなさんのプロダクトを世界に送り出すためのツールを提供し、情熱を応援します」と激励しました。