FCNTが8月28日に“手が届くハイエンドスマホ”のarrows Alphaを発売した。AI機能の統合やデザイン改良のほか、シリーズで定評のある堅牢性や防水性も高めた注目のスマートフォンだ。

発売に先立ち、FCNTの本社にあるメディア初公開の「地下実験室」を見学する機会に恵まれた。arrowsシリーズの技術を支える極秘エリアで、外部の人はほぼ入ることがないという。写真を中心にぜひ楽しんでいただきたい。

  • 8月28日に発売したarrows Alpha。8万円台の価格帯で展開し“手が届くハイエンドスマホ”をうたう

    8月28日に発売したarrows Alpha。8万円台の価格帯で展開し“手が届くハイエンドスマホ”をうたう

タフなarrowsの頑丈試験を「地下実験室」で体験!

FCNTの本社は神奈川県大和市中央林間エリアにある。同社のルーツは富士通の携帯電話事業(富士通 モバイルフォン事業本部)で、2016年に分社化して富士通コネクテッドテクノロジーズが設立。2018年に投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループが7割の株式を取得し、富士通の連結対象から外れた(翌年2019年に本社所在地を中央林間に移転)。2021年にポラリスの完全子会社となり「FCNT株式会社」へ名称変更したが、2023年に半導体の価格高騰や円安といった市況の悪化を受け民事再生法適用の申請に至った。

その後レノボグループが出資する新会社「FCNT合同会社」が設立され、2023年10月から旧FCNTの事業を引き継いでスタート。現FCNTとして初のフラッグシップ機が最新モデル「arrows Alpha」(アローズ アルファ)で、この開発に関わる試験も「地下実験室」で行われている。

関連記事:充実装備ながら8万円台、FCNTが“手が届くハイエンドスマホ”「arrows Alpha」発表 NTTドコモ版も用意

  • FCNTの本社地下にある「地下実験室」の一部。地下ながら天井が高く圧迫感はない

    FCNTの本社地下にある「地下実験室」の一部。地下ながら天井が高く圧迫感はない

  • arrows Alphaのタフ性能(FCNTカタログより)。落下への対応や耐衝撃はもちろん防塵防水で、塩水、氷結や高温などにも耐性がある

    arrows Alphaのタフ性能(FCNTカタログより)。落下への対応や耐衝撃はもちろん防塵防水で、塩水、氷結や高温などにも耐性がある

  • オーディオ関連の試験

    オーディオ関連の試験

  • スピーカーの試験

    スピーカーの試験

  • ノイズキャンセリング性能のテストを行う防音室。新幹線や雑踏など実際の生活に近い騒音を天井に備え付けたスピーカーから出し、雑音に満ちた部屋の中と静かな外で通話し音声がクリアに届いているかを確認する。実際に試したところ、うるさい環境でも通話相手には音声のみが届き問題なく通話できた

    ノイズキャンセリング性能のテストを行う防音室。新幹線や雑踏など実際の生活に近い騒音を天井に備え付けたスピーカーから出し、雑音に満ちた部屋の中と静かな外で通話し音声がクリアに届いているかを確認する。実際に試したところ、うるさい環境でも通話相手には音声のみが届き問題なく通話できた

  • 急速充電の試験。写真はarrows We(2021年12月発売)とarrows Alphaの充電速度の違い。0%の状態から同時に充電し15分後、arrows Alphaは50%以上充電できている

    急速充電の試験。写真はarrows We(2021年12月発売)とarrows Alphaの充電速度の違い。0%の状態から同時に充電し15分後、arrows Alphaは50%以上充電できている

  • 1.5mコンクリート面落下の試験(6面+12稜+8角の26方向)

    1.5mコンクリート面落下の試験(6面+12稜+8角の26方向)

  • コンクリートに叩きつけられても問題なく起動

    コンクリートに叩きつけられても問題なく起動

1.5mコンクリート面落下試験の様子を動画で。※音が出ます

  • 円錐落下試験(60cm)

    円錐落下試験(60cm)

  • 円錐の重さは40gほど

    円錐の重さは40gほど

  • Vビット(鋭鉄)落下試験

    Vビット(鋭鉄)落下試験

  • Vビット落下試験はディスプレイで最ももろい稜(エッジ)にあえて力を加え強度を確認するもの。当てる場所を変えながら何度か試す

    Vビット落下試験はディスプレイで最ももろい稜(エッジ)にあえて力を加え強度を確認するもの。当てる場所を変えながら何度か試す

  • 電源キー押し下げ試験

    電源キー押し下げ試験

  • 繰り返し落下試験(10cm)。落下方向は6面+4稜の計10方向。落下回数はなんと1.2万回(1,200回×10方向)にのぼる

    繰り返し落下試験(10cm)。落下方向は6面+4稜の計10方向。落下回数はなんと1.2万回(1,200回×10方向)にのぼる

  • アスファルト面落下試験

    アスファルト面落下試験

  • ハンドソープによる手洗い試験

    ハンドソープによる手洗い試験

  • 実際に人の手で計1,100回洗われる

    実際に人の手で計1,100回洗われる

  • むき出しのUSB Type-Cポートを洗い流してもなんのその。問題なく起動

    むき出しのUSB Type-Cポートを洗い流してもなんのその。問題なく起動

  • 近距離無線通信(ここではFeliCa)のテストエリア。地下ゆえに「外部の電波が届きにくいメリットがある」とのこと

    近距離無線通信(ここではFeliCa)のテストエリア。地下ゆえに「外部の電波が届きにくいメリットがある」とのこと

  • JR グリーン車の天井に付いているICカードリーダーライター。自席の上にスマホをかざして反応しても隣の席のリーダーライターまで反応しないよう、ミリ単位で部品を動かし調整する

    JR グリーン車の天井に付いているICカードリーダーライター。自席の上にスマホをかざして反応しても隣の席のリーダーライターまで反応しないよう、ミリ単位で部品を動かし調整する

  • 電波の放射特性をチェックする試験(電波暗室)

    電波の放射特性をチェックする試験(電波暗室)

  • 360度回転させて電波の放射をモニターする

    360度回転させて電波の放射をモニターする

  • 電波暗室の隣に空いたスペースにはかつてワンセグ電波をチェックする暗室があったという

    電波暗室の隣に空いたスペースにはかつてワンセグ電波をチェックする暗室があったという

突如現れた「台所の流し台」。手書きの回数表が味わい深い

「地下実験室」は新機種の開発時に加え開発中にも必要な試験を都度行う形で使われている。特にarrowsシリーズで定評のある堅牢性に関する試験設備が充実していたことが印象的だった。具体的には26方向からの1.5mコンクリート面落下試験、アスファルト面落下試験、繰り返し落下試験、円錐落下試験、ねじり試験……などなど。火災のリスクがあるバッテリー関連の試験など外部へ委託するものもあるが、ここまでやるかという驚きがあった。

個人的に最も面白かったのはハンドソープによる手洗い耐性を確認する試験。指定の液量濃度、浸漬時間、洗浄時間などが設定され、各種端子を洗い流す評価手順が厳密に定められており、しかも一定回数を経た後は分解して浸水チェックも行われる真面目な評価項目なのだが、無機質な試験エリアに突如「台所の流し台」が登場したインパクトは大きく、かつ基本は一人の担当者が「1,100回スマホを手洗い洗浄」し、その結果を「正」の字で記録するという古き良き熱量も非常に味わい深かった(とても褒めています)。ちなみにこの評価項目は早くても1週間ほどかかるそうだ。

  • 手書きで書かれた手洗い試験の回数表

    手書きで書かれた手洗い試験の回数表