コジマプロダクションが開発を手掛け、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が販売する『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH(以下、デススト2)』が2025年6月26日に発売された。同作は、2019年に発売された『DEATH STRANDING(以下、デススト)』の続編タイトルだ。
発売前にSIEからゲームのプロダクトコードをいただいき、エンディングまでプレイしたので、改めてどんなゲームか、どんな点を楽しめたのか、紹介しよう。ストーリーの重要なネタバレは避けるが、要素的なネタバレは含む。なので、情報一切なしでプレイしたいと考えている人は、ここでブラウザを閉じてほしい。むしろ、「絶対にプレイする」と決めている人は、読まないほうがいいと思う。
実際、筆者がゲームを進めて、“あるシステム”が解放されたとき、「え、そんなことできんの!?」と、超テンションがあがった。ただ、すでにタイトルが発売されたタイミングで、おそらくSNSや実況動画配信などでも情報が出回るころだと思うので、この記事ではそのシステムについても紹介する。繰り返しになるが、ネタバレを回避したい人は、プレイ後にぜひ読んでほしい。
なお、ひとまずエンディングまでにかかった時間は50時間ほど。途中まで丁寧にサブオーダーをこなしていたが、「このままだと100時間かかってもクリアできない」と踏んだため、泣く泣くクリアを優先した結果の時間だ。
物語のおさらい。これから前作『デススト』をプレイする人は絶対に読まないで
まず、前作未プレイの“Someone”に向けて、ゲームの世界観について紹介しよう。物語の舞台は、「BT」と呼ばれる死者が「あの世」から「この世」に“座礁”してくる現象「デス・ストランディング」が発生した世界。BTが生きた人間に接触することで発生する大爆発「ヴォイド・アウト」によって、世界の都市が分断されてしまった。
通信やインフラが機能しなくなり、社会は崩壊。BTを恐れた人々は移動することをやめて、各地に点在する地下シェルターに身を潜めて暮らすようになる。
そんな世界で、主人公のサム・ポーター・ブリッジズは、「配達人(ポーター)」として、人々が必要とする荷物を届ける仕事をしていた。
前作でサムは、アメリカ再建組織「ブリッジズ」から、「カイラル通信」と呼ばれる特殊な技術でアメリカ全土を繋げてほしいと依頼を受ける。そして、各拠点へ物資を運びながら、無事に大陸を横断することに成功した。
ここからは前作のネタバレ部分。『デススト』の世界では、「BB(ブリッジ・ベイビー)」と呼ばれる赤ちゃんが旅をするうえで欠かせない存在だった。この世とあの世の間である「ビーチ」と繋がってるBBは、BTを感知できるため、ポッドに入れられ、“装備品”として使われているのだ。なんて非人道的なのだろう。
しかも、物語の最後、サムと一緒にアメリカを旅した「BB-28」は機能不全と判断され、焼却処分するよう指示される。重い足取りで焼却場へと向かうが、最後の最後でサムは命令を無視し、BBを救うことに決める。亡き娘「ルー(ルイーズ)」と同じ名前をつけたBBをポッドから取り出し、我が子として育てる道を選んだ。とはいえ、焼却命令を無視した以上、戻ることはできない。サムとルーは再建したアメリカを離れ、消息を絶った――。
『デススト2』では、その数カ月後から物語が始まる。ルーと2人で静かに暮らしていたサムの元を、かつてアメリカ横断の旅をサポートしてくれたフラジャイルが訪れ、「メキシコをカイラル通信で繋いでほしい」と依頼を持ちかけてきた。こうして、サムは、ルーをフラジャイルに預けて、再びカイラル通信を繋ぐ旅に出る。
と、ここまでが、前作から今作の冒頭にかけてのあらすじだ。その後、いろいろあって、サムはメキシコから遠く離れたオーストラリアもカイラル通信で繋ぐことになる。「なぜ」「どのように」オーストラリアへ行くのかは、ここでは割愛するが、最初は、「喪失から一歩前へ踏み出すための旅」でもあった。
なお、今作には、「デッドマン」によるネタバレに配慮した解説が用意されているので、そこであらすじを確認してもいい。未プレイでも世界観やストーリーが理解できるはずだ。だが、やはり、今作プレイ前にぜひとも前作はプレイしてほしい。物語が地続きなうえ、そのまま「エピソード2」のような流れで楽しめるだろう。
建設物で配送をより便利に。他プレイヤーとゆるく協力する開発要素は今作も踏襲
ゲームのシステムは、基本的に前作を踏襲。依頼を受けて、荷物を運びながら、カイラル通信を稼働させるためのデバイス「Qpid」をフィールドの各地に接続していく。そのため、ゲームのキモになるのが「配送」である。
依頼された荷物をバックパックに積み、フィールド上を移動して目的地を目指す。そのとき大事なのが、配送ルートを事前にしっかり検討することだろう。マップを見て現在地と目的地の間に何があるか把握し、歩いて進むのが困難そうな崖があったら梯子やロープを準備する必要がある。崖を迂回して起伏の少ないルートを探すのもアリ。どちらを選ぶかはプレイヤー次第だ。
荷物の量にも気を付けなければならない。“伝説の配達人”と呼ばれるサムだが、運べる荷物の重さや数には限度がある。バックパックに荷物を積めば積むほどキャラクターの操作が難しくなるのも『デススト』ならでは。重量が超過している場合、ちょっとしたフィールドの傾斜ですら、バランスを崩して倒れるようになってしまう。
そのため、配送がスタートしたら「オドラデク」と呼ばれるセンサーで地面の起伏を目視チェックしながら、しっかりと大地を踏みしめて進まなければならない。
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荷物を丁寧に積まないとサムはバランスよく歩けない。バックパックのほか、特定のアイテムを収納できるツールハンガーやグレネードポーチなどもあるので有効的に活用したい。「△」ボタン長押しで荷物の配置を最適化してくれる
「荷物を積んで、ルートを検討し、障害物を避けながら歩くゲーム」と、聞くと、超地味に感じるだろう。だがもちろん、常に歩いて配送するわけでない。荷物には、落とすと壊れてしまう「ワレモノ」もあれば、時間内に届けないといけない「速達便」、縦に積めない「ピザ」もある。ゆっくり運んでいたら、アツアツの「ピザ」が冷めてしまう。つまり、効率的な配送が必要なシーンも訪れるのだ。
そこで役立つのが、建設物による開発要素。カイラル通信を繋いだエリアでは、「カイラル・プリンター」でさまざまな建設物を設置できるようになる。たとえば、川をわたるための「橋」をはじめ、「ジップライン」を複数設置すれば、高速で2点間を移動可能。「トランスポンダー」を使えば、サムだけ瞬時にほかのポイントへジャンプできる。トラック「ピックアップオフローダー」に乗って配送するのもいいだろう。
個人的にオススメなのが「ジップライン」。「Lv1」では最長300mまで接続でき、その間をビュンとひとっ飛びできる。今作ではラインを若干曲げることもできるので、障害物を避けながらどのようなポイントに設置するかが腕の見せどころだ。そして、完成した「ジップライン」を使って断崖絶壁の雪山や座礁地帯を駆け抜けていく爽快感は「最高」の一言に尽きる。
もちろん、ほかのプレイヤーとゆるく繋がるオンライン機能「ソーシャル・ストランド・システム」も前作から引き続き搭載。カイラル通信圏内で「ほかのサム」が建てた建設物を利用できるようになるほか、ほかのプレイヤーが通った足跡を確認したり、乗り物を共有したりできておもしろい。
この画期的なオンラインシステムには、今作でもかなり助けられた。充電式の配送トラック「ピックアップオフローダー」の電池残量がなくなりそうな場所に、「発電機」を設置してくれていた“Someone”には心からありがとうと伝えたいし、「あ、ロープを持ってくればよかった」と思うようなポイントでは、ほとんどの場所でロープが設置されていた。しかも、「ほかにもこの道を通ったプレイヤーがいる」ことを知ると、不思議と励みにもなる。
国道の復旧システムも前作に引き続き登場。「国道復旧装置」に必要な素材を入れれば、舗装された道路が出現する。素材投入もほかのプレイヤーと協力できるので心強い。今作では新たに、多くの荷物を運べる「モノレール」や、素材を大量にゲットできる「採掘場」といった施設も登場する。
個人的に国道の復旧は大好物。整備されると序盤の配送はかなり楽になるので、積極的に素材を投入していった。何度も足を運んで素材を投入し、国道が繋がった光景は、感慨深いものがある。みんなで進めよう、国道復旧!
それらの建設物や施設、車両などを駆使して、いかに効果的に荷物を運ぶか考えるのも『デススト』の醍醐味。ちょっとした都市開発ゲームのような楽しさが味わえるわけだ。
とはいえ、いかに便利に配送環境を構築しても、自分の足で進まなければならない瞬間がやってくる。比較的ピックアップオフローダーで進める道が多かったが、断崖絶壁をのぼって各地にジップラインを設置する地道な作業もあるだろう。
そんなとき、心の支えになってくれるのが「ミュージックプレイヤー」だ。大地に足音を響かせる静かな配送も悪くないが、荷物を背負って変わらない風景を延々と進むことに心が折れる人もいるかもしれない。ミュージックプレイヤーを使うと、さまざまな楽曲を再生できて、単調な往復作業が華やかに彩られる。星野源さんや三浦大知さんをはじめとするさまざまなアーティストが提供している楽曲を、配送中のBGMとして流せるのだ。
曲のラインアップは、メインオーダーやサブオーダーの報酬などでどんどん増えていくので、配送のモチベーションにもなるだろう。もちろん、目的地付近でふと音楽が流れる映画のような演出も引き続き用意されている。
予定通りのルートで配送できないアクシデントも待ち受ける。雄大な自然が、ときに牙を剥いて襲いかかってくるのだ。局地的な揺れが発生する「ゲート・クエイク」、激しい「時雨(ときう/タイムフォール)」によって引き起こされる川の「増水」、高温の「カイラル噴石」飛来による「山火事」など、フィールドは常に表情を変える。
そのため、配送ルート上に火災頻発エリアがある場合は放水機銃「タールキャノン」を持っていき、悪天候で川が増水しても大丈夫なようにあらかじめ大型の「橋」を建設しておくなど、日頃から災害への備えが大事なのは、ゲームも現実も変わらない。
さすがに、突然、目の前で雪崩が発生したときは「うおー、危ない」と叫ぶほど焦ったが、そんな環境の変動が、配送にいいアクセントを加えてくれて、よりエキサイティングなものにしてくれた気がした。予定調和だけじゃないからこそ、おもしろいのだ。
【※ネタバレあり】戦闘の幅が格段にアップ! もうBTなんて怖くない!
今作の特徴として感じたのが“バトルの多様性”。そもそも前作では、BTに対抗するための攻撃手段を手に入れるまで、少し物語を進める必要があり、最初はビクビクと怯えながら荷物を運んでいた。
しかし、今作では、対人の電撃武器「メーザーハンドガン」や、遠距離から麻酔弾を撃つ「スナイパーライフル」をはじめ、「アサルトライフル」、「ショットガン」、「グレネードランチャー」といったBTに有効な武器も序盤からバンバン作れて楽しい。個人的には、息を潜めてBTから隠れながら進むのがキツかったので、バトル面の強化はかなりありがたく感じた。
BT以外で登場する敵は、先頭集団「バンデット」、反カイラル集団「ブリガンド」、過激派の「武装サバイバー」といった人間、サムに恨みを持つヒッグスが率いるメカ軍団「ゴーストメック」などさまざま。特に最初は人間を相手に戦うことが多く、遠距離からの「スナイパーライフル」で狙撃するのが超爽快だった。
なお、今回、難易度は「Normal」でプレイ。強力な武器のお陰で、戦闘で苦戦することはほとんどなく、武装サバイバーやゴーストメックが相手のときもステルスに頼ることなく、正面から圧倒的火力で押し切ることがほとんどだった。
ちなみに、『デススト』の世界では、人間の遺体を放置することでも「ヴォイド・アウト」が起こるので、人を殺さないように気をつける必要があるのだが、序盤に登場するのは非殺傷武器ばかり。後半に解放される超強力な「ミサイルランチャー」クラスでなければ、相手を簡単に死に至らしめることはないだろう。ピックアップオフローダーで1度轢いたくらいでも気絶するだけだった(5~6回轢き直したら死んだので注意)。遠慮することなく武器を乱発できて気が楽だ。
また、メモリーを消費して「MPバレット威力強化」や、サムの足音を消す「簡易ノイズキャンセラー」といったスキルを獲得できるシステム「APASエンハンスメント」で、プレイスタイルに合わせたサムに成長させられるのもおもしろいポイント。筆者は当然バトル関連の強化を優先したが、「建設時増水警告機能」など、建設で役立つ能力も用意されている。
そして、記事冒頭で伝えた「え、そんなことできんの!?」と、超テンションのあがったのも、戦闘でのワンシーン。なんと今作、大型BT(キャッチャー)をキャプチャー(捕獲)できるようになるのだ。一度捕まえた巨大BTは、カイラル濃度の高いエリア、主に大型BT戦で、味方として召喚できる。
味方になってくれたBTは、桁外れに強い。大型BTのヘイトを一身に背負ってくれるだけでなく、とてつもない火力で相手の体力を削ってくれる。3体の獣型BT「Bestia」相手に八腕型BT「Octopoid」を召喚したら、余裕の圧倒。なんなら、サムは見ているだけで、バトルが終了してしまった。
ここまでくると、前作まで恐怖の対象でしかなかったBTが、もはや捕獲対象。手持ちのBTを充実させるべく、積極的に座礁地点へ赴きたくなったほどである。
捕まえるには、大型BTの体力ゲージを赤まで減らし、「Exキャプチャーグレネード」をBTの口めがけて投げつけなければならない。結果、出現する白い「BT結晶体」を入手すれば、大型BTゲットだぜ。上空を飛行しているBTなどはなかなか「Exキャプチャーグレネード」を当てられずに苦労することもあったが、見返りは大きい。これにより、BTと戦う楽しさが格段に増えた。
ストーリーは胸アツ。個性豊かなキャラクターにも注目
さて、肝心のストーリーだが、今作も本当によかった。うっかりネタバレしそうなので、あまり語らないでおこうと思う。そのため、ここでは、注目のキャラクターを紹介する。
まず、今作でフォーカスされるのが、かつて「BB-28」という型番で管理されていた赤ちゃん「ルー」だ。デッドマンの調査によると、「BB-28」は、2体存在したことが判明する。固有の型番として管理されるため、同じ型番のBBが複数存在するのは本来ありえない。もし記録が改ざんされたのであれば、誰が何の目的でそんなことをしたのか。そしてルーはどのような経緯でBBになったのだろう……?
もう1人、注目すべきキャラクターが「ニール」。前作をプレイした人なら「クリフ」のような立ち位置と言えば伝わるだろう。現実世界ではすでに死んでいる人物だが、「タールフォール」という現象によって転移させられる「謎の空間」で、サムを待ち構えている。また、BBポッドを接続したときに、サムは、ニールの過去を垣間見ることもあった。それはニールと、サムのパートナーだった「ルーシー」との映像だった――。
ニールとは、「謎の空間」で戦うことになるのだが、あまり強くないし、どこか憎めない。ミステリアスな色気を醸しつつ、“実はいいヤツそう”な雰囲気も漂う。前作で、クリフは「BBを返せ」と執着心まるだしだったが、ニールからあまり負の感情を感じなかったことも理由だろう。
現実では、宿敵の「ヒッグス」が、人類を絶滅に導く「ラスト・ストランディング」を引き起こそうとしている。しかし、「ラスト・ストランディング」には「絶滅体」が必要。そして前作では、アメリカ合衆国の大統領「ブリジット」の魂(カー)である「アメリ」が「絶滅体」で、彼女の「ビーチ」を閉じることで、「ラスト・ストランディング」回避に成功したはず。はたして、今回ヒッグスはどうやって「ラスト・ストランディング」を引き起こそうというのだろうか。
個人的には、ヒッグスもそこまで憎めないと思ったキャラだった。悪役なのは間違いないが、悪そうに見せている端々に人間味をチラつかせる。強キャラ感を出そうとしているのに、トゥモロウにボコボコにされるシーンは、ジャイアンのような、バイキンマンのような、ある種、滑稽ささえ感じた。
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今作でサムは、フラジャイル率いる「跳ね橋部隊」の一員として、オーストラリアを旅する。大きな喪失を経験するサムだが、DHVマゼラン号にいる跳ね橋部隊のメンバーも、みな、さまざまな過去持っていて、それでも、1歩ずつ前に進んでいた
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「跳ね橋部隊」のなかでも、最も長い時間を一緒に過ごすことになるのが、人形に魂(カー)を宿した「ドールマン」。常にサムのことを気遣ってくれるナイスガイな彼をぶん投げて、偵察ドローンのように使うこともできる
『デススト2』を一言で表すならば、「敵と戦い、建設物を作って移動し、誰かと繋がり、荷物を運ぶ」ゲームだろうか。幅の広がったバトルはかなり楽しいが、だからといってバトルアクションメインのゲームになったわけではない。
武器の多彩さも、大型BTゲットシステムも、「荷物を運ぶ」という斬新なゲームデザインや、ゆるく繋がれるオンライン同期システム「ソーシャル・ストランド・システム」があってこそ、より楽しめたのだと思う。
そして、何と言っても、サムと仲間たちの物語は秀逸。最初は、クリフがニールになって、アメリカがオーストラリアになって……、もしや展開がテンプレ化されているのでは、と気になったが、世界観と設定を最大限生かしたみごとなストーリーテリングに、すぐ没頭させられた。
物語を進めると、断片的な過去の映像などから、少しずつ事実の輪郭が見えてくる。……ような、見えてこないような、モヤモヤした状況が続くのだが、終盤で一気に加速して情報が繋がる。そこに押し寄せる悲哀と安堵と感動。さまざまな感情が入り乱れ、まさに脳内で「ヴォイド・アウト」が発生する。そして、エンディングを見終わったあとの充実感と余韻――。最高でした。
前作ほどBTをホラーに感じることもなかったし、武力で押し切れるようになっているので、「BTが怖いから手を出せていない」という人がいたら、もったいない。ぜひとも強化された“棒”を手に、壮大で変わりゆくオーストラリアの自然の世界へ踏み出してみてほしい。












































