先に概要をご紹介したRadeon RX 9070 XT/Radeon 9070の性能比較掲載がやっと解禁になったので、早速性能をお届けしたいと思う。ちなみに国内発売開始は3月7日(金)の午前11時との事だ。
評価機材
概要の際にご紹介した様に、Radeon RX 9070 XT/9070はAMDのReferenceの提供が無いので、OEMパートナーから提供された製品での比較となる。今回は
ASUS TUF Gaming Radeon RX 9070(Photo01~11)
ASUS TUF Gaming Radeon RX 9070 XT(Photo10~22)
の2枚を利用した。
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Photo02: 3ファン構成。TUF Gamingらしいかなり大きな構成。寸法は328mm×125mm×62mm、重量1437.9g(いずれも実測値)。結構重い。
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Photo03: 裏面もフルカバード。
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Photo06: HDMI×1、DisplayPort×3であるが、HDMIが一番下側になっている。
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Photo07: ブラケット取付用の穴はあるのだが、ブラケットそのものは別売り。そろそろ1Kgを超えるカードは、標準でブラケットを用意しても良いと思うのだが。
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Photo10: GPU-Zによる情報。定格だとBoost 2540MHzなので、4.3%ほどのOC設定である。メモリは2518MHz。本来はGDDR6 20Gbpsなので、若干OCっぽいがこれはOSC側の問題でOC動作を狙ったわけではないと思われる。
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Photo11: Power Limitは-30%~+10%。定格のTBPは220Wなので154W~242Wの範囲ということになる。
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Photo13: このアングルでも見分けは不可能。ちなみに寸法はこちらも328mm×125mm×62mmと全く同一だが、重量は1452.3g(いずれも実測値)と14.4gほど重い。8pinの補助電源コネクタ1個分の重さだろうか?
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Photo14: こちらも見分けがつかないというか、補助電源コネクタの数以外、基板もチップも何もかも同一なのではないか? という気もする。
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Photo15: 見かけは当然同じ。ちなみにこの"25°07'37.0"N 121°28'13.6"E"は、、ASUS LiGong Building(華碩電脳立功大楼)の所在地である。
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Photo16: 補助電源コネクタを除くと、Photo05と差が無い。
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Photo17: HDMI/Display Portの上に、丁度USB Type-Aくらいの穴が開いており、手探りでコネクタを刺そうとするとこれに引っかかりがちなのがちょっと不便。
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Photo18: スロットの奥にヒートシンクが透けて見える。
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Photo19: 外見から判断できる、TUF Gaming Radeon RX 9070との唯一の違いが8pin補助電源コネクタの数である。
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Photo20: このアングルで見ても、やはり基板とかコンポーネント、カバーなどは共通と考えざるを得ない。
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Photo21: こちらは定格のBoostが2970MHzのところ、3060MHzまで引き上げられている。OC率は3%といったところ。
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Photo22: Power Limitは同じく-30%~+10%。TBPが定格だと304Wなので、212.8W~334.4Wの範囲ということになる。
また性能の比較用にはAMD経由で
ASRock Radeon RX 7800 XT Phantom Gaming 16GB OC(Photo23~31)
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Photo23: 今回唯一ASRockの製品となった。Amazonでの実売価格は\93,680。
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Photo24: 3連ファンだが、フル稼働時もファンの騒音は静かだった。320mm×126mm×53mm(実測値)とやや小ぶりではあるが、重量は1309.3g(実測値)と重さはそれなり。
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Photo25: ヒートシンクのカバーの造形がちょっと面白い。配線が引っかかったりすることを防止するためだろうか?
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Photo28: こちらはHDMIが一番上側になる。他にDisplayPortが3つのスタンダードな構成。
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Photo29: ヒートシンクがむき出しになっている。ブラケットはベースとなるメタルプレートに取り付ける形。
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Photo30: 補助電源コネクタは8pin×2。ファンのカバーが結構複雑な造形になっているのが判る。
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Photo31: こちらからはヒートシンクがほぼむき出しになっている。ヒートパイプの取り回しが結構複雑だ。
の他、ASUSより
ASUS TUF Gaming Radeon RX 7900 XT OC Edition 20GB
ASUS Dual GeForce RTX 4070 OC Edition 12GB GDDR6X(Photo32~40)
ASUS ProArt GeForce RTX 4070 Ti SUPER 16GB GDDR6X OC Edition(Photo41~49)
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Photo33: 寸法は265mm×120mm×50mm、重量952.2g(いずれも実測値)。比較的コンパクトな製品の筈なのだが、むしろ実際よりも大きく感じてしまうのは高さと厚みがそれなりにあるためだろうか?
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Photo34: 裏面はフルカバード。ヒートシンク用の開口部が小さいのは、ぎりぎりまで基板が来ているため。
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Photo35: 一応角を丸めてはあるが、ProArt GeForce RTX 4070 Ti SUPERに比べると角ばったデザインのためか、ゴツく感じてしまう。
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Photo36: 長さは短めだが高さがあるので、幅広ケースでないと苦しそう。
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Photo42: 295mm×102mm×50mm、1074.1g(いずれも実測値)とそれなりに大きいはずなのに、Dual GeForce RTX 4070 OC Editionよりも小さく感じるのはデザインのおかげか?
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Photo43: 裏面も、ファンの開口部にロゴを合わせるといった感じで、Gaming向けとは異なるデザイン方向なのが判る。
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Photo44: 角の曲率が大きいためか、ずっと柔らかい印象を受ける。補助電源コネクタは12VHPWRの関係で、変換ケーブルが付属する。
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Photo45: やはり他の製品と比べるとあか抜けた印象をこのアングルからも受ける。
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Photo46: 曲率の大きさに加え、あまりブラケットからはみ出していないあたりが小さく感じる要因だろうか? こちらもHDMIは一番下側。
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Photo47: 見事なかまぼこ型。こういうカードもなかなか見たことが無い。
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Photo48: 12VHPWRコネクタがちょっと奥まった位置にあるため、着脱には気を遣うのが難点といえば難点か(挿しが甘いと燃える原因になりかねないので、しっかり奥まで挿入している事を確認するのがちょっと難しい)。先に変換コネクタなり電源から12VHPWRケーブルなりを装着してからケースに入れることをお勧めしたい。
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Photo49: ヒートシンクが3ピース構造というのも珍しい。
をお借りして行った。
テスト環境は表1に示す通りである。本当だったらRyzen 7 9800X3Dあたりを用意したかったのだが、ちょっとタイミング的に間に合わずRyzen 7 7800X3Dとなってしまった。
■表1 | |||
CPU | Ryzen 7 7800X3D | ||
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M/B | ASUS PRIME X670E-PRO WiFi-CSM | ||
BIOS | Version 3208 | ||
Memory | Crucial CP16G60C48U5.M8B2VENGEANCE CMK32GX5M2D6000Z36 DDR5-6000 CL48 16GB×2 |
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Video | ・ASRock Radeon RX 7800 XT Phantom Gaming 16GB OC ・ASUS TUF Gaming Radeon RX 7900 XT OC Edition 20GB |
・ASUS TUF Gaming Radeon RX 9070 ・ASUS TUF Gaming Radeon RX 9070 XT |
・ASUS Dual GeForce RTX 4070 OC Edition 12GB GDDR6X ・ASUS ProArt GeForce RTX 4070 Ti SUPER 16GB GDDR6X OC Edition |
Driver | Radeon Software Adrenalin Edition 25.2.1 | Radeon Software Adrenalin Edition 24.30.31.03 Press Build | GeForce Game Ready Driver 572.60 WHQL |
Storage | Crucial P3 Plus 1TB(M.2/PCIe 4.0 x4)(Boot) Crucial P3 Plus 2TB(M.2/PCIe 4.0 x4)(Data) |
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OS | Windows 11 Pro 英語版 24H2 Build 26100.3323 |
グラフ中の表記は
RX 7800 XT :ASRock Radeon RX 7800 XT Phantom Gaming
RX 7900 XT :ASUS TUF Gaming Radeon RX 7900 XT OC Edition
RX 9070 :ASUS TUF Gaming Radeon RX 9070
RX 9070 XT :ASUS TUF Gaming Radeon RX 9070 XT
RTX 4070 :ASUS Dual GeForce RTX 4070 OC Edition
RTX 4070 Ti Super:ASUS ProArt GeForce RTX 4070 Ti SUPER
となっている。また解像度表記も何時もの通り
2K :1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K :3200×1800pixel
4K :3840×2160pixel
としている。
Game Benchmarkについては以前とほぼ同じ設定であるが、ちょっと変更した部分もあるので、変更したものだけ追加で説明を行う。大筋は以前と変わらない。基本的なスタンスは
- FSR/RSR/DLSSなどのSuper Resolutionやフレーム生成機能は全て無効化
- NVIDIAに特有の描画サポート(NVIDIA Reflexなど)は使わない。
- AMDのFidelityFXについては、NVIDIAのGPUでも利用できるものはそのまま利用。そうでない機能(例えばFidelityFX Denoiser)は無効化
としている。今回はあくまでもGPUの生の性能比較であり、Super Samplingの有無は利用するタイトルによって状況が変わってくるからだ。とりあえずFSR4とかDLSS4の様なフレーム生成は最新タイトルに限られるし、古いものならDLSS 3までとかRSR(Radeon Super Sampling)でカバーできるからあとはユーザーの好み(どこまでの描画劣化を許容できるか)で決まる話であり、ベンチマークに採用するための基準が定まらないためである。
◆3DMark v2.31.8372(グラフ1~3)
3DMark v2.31.8372
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark
ではまず3DMarkから。Overall(グラフ1)を見ると、負荷の軽いNightRaid/WildLifeはGeForce無双といった感じになっているが、SolarBay以降になるとかなりRadeon RX 7090/7090 XTが健闘しているのが判る。特筆すべきはRay Tracingを多用するPortRoyal/SpeedWayや、Vulkan ray tracingを使うSolarBayでRadeon RX 7090がRadeon RX 9700 XT以上の性能を出し、GeForce RTX 4070は凌いでいる事だ。流石にGeForce RTX 4070 Ti Superには及ばないが、こちらはRadeon RX 7090 XTの相手であって、同等以上のスコアを出している。スコア、といってももうCPU性能は関係ない(同じCPUを使っている)から、実質的にはGraphics Score(グラフ2)と傾向は同じであり、純粋にこうした負荷の高いレンダリング処理で同等以上の性能を出している、としてよいかと思う。元々CESにおける発表で、Radeon RX 9070 XTはGeForce RTX 4070 Ti相当、Radeon RX 9070はGeForce RTX 4070 Super対抗という位置づけが成されていたが、3DMarkの結果を見る限りこの目標は達成できているように思う。
ところでRadeon RX 9070 XT/9070はPCI Express Gen5対応のGPUとされており、これをPCI Express Testで確認してみた(グラフ3)。結果はご覧の様にGen 4の場合のほぼ倍の帯域が利用できており、正しくPCI Express Gen5であると確認できた(後でSandraでも同じテストを行う)。