ソフトバンクグループの孫正義会長は2月3日、都内で開催された企業向けAIイベントに登壇し、企業用AIの開発・販売についてOpenAIと提携することを発表した。

  • 孫正義氏

    ソフトバンクグループ代表取締役会長 兼 社長執行役員 孫正義氏

ソフトバンクとOpenAIが50%ずつ出資する「SB OpenAI Japan」が企業向けAIを開発・販売

孫氏が登壇したイベントは「AIによる法人ビジネスの変革」と題され、孫氏のほかOpenAI CEOのサム・アルトマン氏、arm CEOのレネ・ハース氏も登壇するという豪華な顔ぶれ。参加者は国内主要企業の経営層が中心で、オープニングで挨拶を行ったソフトバンクの宮川淳一代表取締役社長執行役員 兼 CEOによれば、会場にいる経営者たちの企業の株価を合算すれば国内企業の株価の時価総額の半分を超えるという。

宮川氏に続いては、ソフトバンクグループ代表取締役会長 兼 社長執行役員である孫氏が、手に小箱を持って登場。さっそく「OpenAIとの間で合弁について調印しました」と報告。そして小箱から水晶玉を取り出し、今日は「この『クリスタル』について話をします」と切り出した。

  • 調印後の孫氏・アルトマン氏

    この日の午前に合弁について両社が調印した

  • 水晶玉を手に持つ孫氏

    水晶玉を手に持つ孫氏

孫氏はまず、アメリカで行った「Stargate」の発表に言及。トランプ米大統領が就任初日に自ら時間を割いて発表したことについて、「これはアメリカにとっても一私企業の発表ではなく、国家を挙げたプロジェクトになったということ」と語り、1年前には「10年以内」、数カ月前に「2~3年以内」と予測していたAGIの時代の到来について、「AGIはそれよりももっと早くやってくると実感している」とした。

そのAGIについて、孫氏は「企業、とりわけ大企業から始まると考えています」といい、その理由について「大企業や企業のグループは、圧倒的な量のデータを持っています。AGIを達成するには、ふんだんで良質な、しかもある程度限られた世界のデータがあるということが大変重要な材料になる」という点を挙げた。

そしてAGIの時代の企業活動について「エージェントが我々に代わって24時間365日、次々と仕事をこなしていく。これまでは検索をしたりメールをしたりと人間が能動的に動かなければいけませんでしたが、今後はAIが自らエージェントになって自ら能動的に働き続けてくれる。我々が寝ている間も仕事をしてくれて、AIエージェントがAIエージェントと仕事のやり取りをして、バトンタッチをしながらこなしていく」とイメージを描いてみせた。

そしてここで、その企業向けAIを「クリスタル・インテリジェンス」と名付けた、と冒頭から手にしていた水晶玉の意味について種明かし。ただし「クリスタル」のスぺルは英語そのままの「Crystal」ではなく「Cristal」となっている。

このクリスタル・インテリジェンスの開発・販売を行うのが、ソフトバンク側とOpenAI側が50%ずつ出資する「SB OpenAI Japan」となる。ソフトバンク側の出資形態は、ソフトバンクグループ株式会社とソフトバンク株式会社が中間持ち株会社を設立し、そのかいしゃがSB OpenAI Japanに出資するという形態になるという。この提携とジョイントベンチャー設立については、まさにこの日の朝に調印されたばかりだという。

  • 新会社「SB OpenAI Japan」

    新会社「SB OpenAI Japan」にはソフトバンクとOpenAIが50%ずつ出資